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異世界と私と銃とファンタジー  作者: 白築 える
ルーツ国の披露宴
89/217

食事、食事、犯罪者!?


待つこと五分ほど。

イルミスがやって来た。


「イルミスさん。」

「鈴か。その水筒は買ったのか?」

「はい!最初は鉄製の買わされそうになりましたがステンレスのを十銀貨で買いました。やっぱり長旅には水は必要ですよね。」

「重要だが、ステンレスで十銀貨?普通一銀五百銅貨ぐらいが相場じゃないか?」

「あれ?もしかして、ボラレた?」

「そうみたいだな。」

「あの店員いつか殴る。私の食事代が減っちゃうじゃない!」

「…。」

「思ったんだけどステンレスとかの合金は一般にあるのに鋼の製造方法は秘匿されてるんですね。」

「相手に強い武器を与えないためだな。」

「さすがにチタンはないか。確かあれって精錬難しいって書いてあったし。」


実はこの記録は古いものであり鈴の居た地球ではチタンの精錬は飛躍的に進化しており容易に加工することができる。


"スズ、その知識古くない?“

『え?』

"たしかスズが見てたサイトの更新結構と言うか…かなり前だよ。“

『そ、そうなのか。』

「おっと飛鳥が来たな。」

「まだお主ら二人だけか。鈴殿は結構大きめの水筒持っておるのぅ。」

「これボラレた。」

「ボラレたとな?」

「うん。十倍の値段で買わされたの。」

「成敗する必要がありそうじゃな…。」

「食べ物の恨みは恐ろしいぞ…!」


二人が不吉な事を言い出しているとそこへアームとアラスがやって来た。


「おう!鈴ちゃんと飛鳥ちゃんは何を話していたんだい?」

「雑貨屋の店員を始末する方法。」

「お、おう…。」

「アイリスが居ないようだが…。まだ来ていないのか。」

「一番遅いとは珍しいな。」


噂をしてはなんとやら。

アイリスが集合場所へやって来た。


「おまたせ。ちょっと水汲みに行っていいかしら。」

「いいぞ。」

「あ、手伝おうか?」

「じゃ、お願いできる?」

「まかせろー!」


鈴とアイリスは井戸へ向かう。

リンほどの力は無いが、そこらの冒険者以上の力はある。

鈴はせっせと桶を上げる。


「よし。上がったよ。」

「ありがと。後はこの水筒に水を入れて……魔法を掛ける。」


アイリスは二重詠唱合体(ダブルスペルコアレス)で水と治癒魔法を同時に発動させる。

水が一瞬光ったと思ったが水自体には代わりは無いように見える。

鈴には魔力が無いのでそれを確認できないが、この水には治癒効果が付加されている。

今回付加したのは疲労回復効果がある治癒魔法だ。

水分補給と疲労回復ができて一石二鳥である。


「アイリス何したの?」

「ん、水に疲労回復効果がある魔法を付加したのよ。」

「おお!ぜひ私めにも。」

「しょうがないわね。水筒貸しなさい。」

「ははー。」


鈴はアイリスに水筒を差し出すと魔法を掛けてもらった。

これで鈴の水も疲労回復のあるポーションに変わったのだ。


「それじゃ戻りましょ。」

「うん。」


二人はイルミス達の元へ戻ると、最終確認を行った。

武器の点検、防具の点検、食料の点検。

鈴は何も点検する物がない。

武器はいつでも出せる状態であり、防具は着ていない。

食料はバッグが膨れ上がるほど入っている。

そして肩掛け水筒である。

イルミス達でなければ遠足に行く少女にしか見えないだろう。


「よし、皆大丈夫だな?いくぞ。」

「おー!」


南門を通過し街道へ出る。

ここからアルゼンまでは七日間だ。


「途中に何個か村や街があるから補充はそこでしよう。」

「あ、鈴殿。夜リン殿と試合させて欲しいのじゃ。」

「リンと~?いいよー。いくらでもこき使ってくれていいよ」

"え?“

「おお!そうか!夜が楽しみだのう。」

「じゃ、俺はアイリスちゃんと楽しく遊ぼうかな!」

「おさわり禁止ならいいわよ。」

「くっ!おさわり禁止だと…!」

「当たり前でしょ。寝てる間に変なことしないでよね。」

「大丈夫だ。俺が見張ってる。」

「頼んだわよアーム。」

「やれやれ。楽しそうだな。」


王都を出てから数時間後、一同は食事を済ませまた歩き始めた。

途中何度か魔物に遭遇したが、すべてイルミス達が倒してしまい鈴は完全遠足気分になっている。


「ふんふんふーん。」

「楽しそうね。」

「だって遠足みたいで楽しいんだもん。」

「遠足って貴方ね…。」

「皆でワイワイすること無かったから楽しくてしょうがないんだよ~。」

「向こうの世界ではなかったの?」

「あー…。……なかった。」

「深くは聞かないわ。」


鈴は異世界から来たと言うことを説明しただけであり、自分の置かれていた状況までは説明していない。


「ふんふふーん。お?」

「よし、街が見えてきたな。今日はあそこで宿を取ろう」


一同は街へと歩みを進める。

一時間ほどで街に着くとまず宿を取る事にした。

宿はイルミス達がいつも利用する宿リンカードに泊まる。

宿代はイルミスが六人分払い、三部屋借りることになった。

この宿にはベッドが一部屋最大でも二つしか置いていないからだ。


「部屋割はいつもどおりな。」

「ああ。分かった。」

「!異議あり!」

「却下。」


アラスの異議申立てはアームに寄って即却下されたのであった。

各自部屋に入るとバッグと武器を起き、休憩に入る。


「ふう。後で食事行かないとね。」

「ここ食堂付いてないの?」

「えぇ。この宿は別なのよ。その分安いからいいのよね。」

「なるほど…。じゃ、早速食べに行こう!」

「だろうと思ったわ。」


鈴とアイリスは部屋を出て鍵を閉めると、近くの食堂へと向かった。

あたりを見渡すと食堂がチラホラあるが鈴はもっと大きな店を探していた。

なぜなら鈴いわく おいしいごはんが食べれるから! だそうだ。


「うーん。アイリス~この街で一番大きな食堂ってどこにあるかわかる?」

「そうね…確かあっちに有った気がするわ。」

「よし行こう!」

「ちょちょ!引っ張らない!」


アイリスが指示を出して、鈴がアイリスを引っ張っていく。

小言が嵐のように鈴に向けられているがそんなのは無視して頭には どんな食事がまっているんだろう! と言う考えしか無かった。

案内された場所にはいかにも豪華そうな店が有った。


「うほー!これは入るしか無い!」


そういうとアイリスを引っ張って店の中へ入っていく。

店の中は王城で使用されている照明と同じものを使っている。

アイリスは店の中の魔力が薄いのを感じ取っていた。

店全体をカバーするための光を発するためそれ相当の魔力を食うのだ。

それが三機ほど天井に設置されている。

入り口から入り込む魔力でなんとかバランスを保っている状態である。


「あ、あそこの席が空いてるね。行こ!」

「だから引っ張らない!」


二人が座ると店員がこちらへやって来た。


「いらっしゃいませ。こちらがメニューになります。」

「高いわね…鈴あまり―」

「ここからここまでください。」

「は?」

「かしこまりました。」

「ほら、アイリスも早く頼む!」

「えぇ…このルーツ牛ステーキを頼むわ。」

「かしこまりました。今から調理するので少々お待ちください。」


そう言うと店員は奥へ入っていった。

鈴は満面の笑みで食事が来るのを待っているがアイリスが鈴を呆れた目で見ている。

その視線に全く気づいていない。


「早くこないかな~。」

「…。」


七分ほどしてアイリスの料理が運ばれてきた。


「お待たせいたしました。ルーツ牛ステーキでございます。」


鈴はそれに釘付けになってしまう。

溢れ出る肉汁。

そして焼き加減。


アイリスがナイフを入れるとステーキはいとも簡単に切り分けることができた。

切断面から肉汁が溢れだす。

鈴はそれを見てよだれを飲み干す。


「それじゃ先食べてるわ。……そんなに凝視しないでくれる?」

「ん?ああ、ごめんごめん。すごい美味しそうだったからつい。」

「(相変わらずの食い意地ね。)」


そんなことを思いながら肉を口に運んでいく。

またしても鈴からの視線が気になるがいちいち気にしていたらキリがないためアイリスはその視線を無視することにした。


アイリスが半分を食べ終わる頃鈴の注文した料理が一気に届いた。

色とりどりのサラダ、ステーキ、ライス、シチューにグラタン。


「お待たせいたしました。これで全部でございます。」

「うひょー!頂きます!」


鈴は色々な料理に手を付けては口の中へ入れていく。


「そんなに入れて味わかるの?」

「………美味しければ………いいの!」


鈴は口の中の食べ物を飲み込んだ時に話すが、また口の中に入れている。

それの繰り返しで話しているのだ。


「………おいしい………おいしい。」

「変な人に見えるわよ。…まぁこれだけ料理があれば周りからの視線も自然と集まるけど…。とりあえず喋りながら食べるのやめなさい。」

「…。」

「とたんに静かになるのよね。」


アイリスも鈴に構うのを止めて自分の料理が冷めないうちに食べ始めた。



*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*



「くっそー。アイリスちゃんも鈴ちゃんも飛鳥ちゃんも居ないなんて…なんで野郎と夕食を食いに行くことに…。」

「野郎で悪かったな。」


アームとアラスは夜になった町中を歩いていた。

消費した食料や水を買い足し、食堂へ向かう途中だ。

二分ほど歩くと食堂についた。

二人は適当な料理を頼むと一息つく。


「ふう。」

「ここは王都から近いから栄えてるけど次からなんだよなぁ。もう少しいい飯が食える店に行きたかったぜ。」

「食べれれば同じだ。」

「本当アームは無関心だな。食事も女の子も。枯れてるねぇ~。」

「枯れてないぞ。」

「またまたぁ~。」


そんな話をしていると料理が運ばれてきた。

アームはバランスよく頼んでいるが、アラスは肉ばかりだ。


「大体女に反応しない男なんて居ないんだぜ?」

「そりゃあ後世を残すには必要だからな。」

「なら何でアームやイルミスは反応しないんだ?」

「あほか。お前みたいに節操のない行動はしないからだ。」

「あほとはなんだよー。それにしてもこの肉うめぇな。」


アラスは運ばれてきた肉を頬張っている。

一方アームはサラダを食べていた。


「あ!もしかしてアレか!男色か!?」

「ゲホ!」


アームは突然の言葉にむせてしまった。

アラスが突拍子もない事を言ったからだ。


「お前は何ていうことを言ってんだ!」

「え?違うの?」

「違うわ!」

「そんなに怒んなって!」


これにはアームも怒る。

アラスが思いつきで言ったため少し声が大きかったのか近くのテーブルから視線が向けられている。


「おい聞いたかあいつ男色だってよ。」

「うわ怖!ケツ守らないと。」


こそこそと話す声が聞こえてくる。

アームは頭を抱えて顔を歪めているのであった。



*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*



二番目に早く出ていた飛鳥とイルミスは物資の補給を終え、食堂に向かおうとしていたのだが、飛鳥が近道をしようと街の道もわからないのに裏道に入ってしまいどこにいるのかわからなくなってしまった。


「ここはどこじゃ…。たしかこの道をまっすぐ行けば大通りだったはずじゃ…。」

「とりあえず大通りに戻るぞ。こっちか?」


イルミスも裏通りなど入ったことが無いため道がわからない。

入ってきた道も幾重にも分かれ道が有ったため正確に戻ることはできないだろう。


「行き止まりのようじゃ。」

「そうだな。誰だこんな作りにしたのは。」


二人が壁の前に立っていると後ろから声がかかった。


「よう。兄ちゃん。こんな所でデー卜か?」

「場所を考えなよ。場所を。ククク…。」


後ろを振り向くと八人ほどの男女が戯れていた。


「ああ、調度良い所におったな。大通りへの道わかるかのぅ?」

「そんなことよりさ俺達と遊ばねぇ?良い薬あるんだ。気持ちよくなれるぞ。」

「困った。話を聞いてくれぬ。」

「そりゃそうだろ。こいつら一般人じゃないからな。」


イルミス達が無視すると相手が逆ギレしだした。

どうやら気が短いようだ。


「無視すんじゃねえ!もういい!男は殺せ!女は輪姦せ!」

「どうやら穏便に事が解決できそうに無いのじゃ。」

「修行の成果でも試すか。」

「道中散々試していたではないか。」


さらに無視して話していると短刀を抜刀した男が斬りかかってきたのだ。


「気が短いのぅ。」


飛鳥はそう言うとイルミスに向かっていた男を蝿を払うかのごとく手を振るう。

たったそれだけで男は横に吹き飛び壁に体を打ちつけ失神した。

それもそうだろう。

飛鳥の使う剣術は固い体表を持つアシッドレックスをも斬り裂く技がある。

その勢いで腕を振られたら吹き飛ばされるのは当たり前だ。


「どれ妾がおなごをやろう。イルミス殿は残りを頼む。」

「了解だ師匠。」


相手は体格の小さな少女に仲間を吹き飛ばされたのを見て動揺していた。

そこへイルミスと飛鳥が飛び込む。

魔力で強化された脚力、腕力の暴力が振るわれる。


「な、こ、こいつらはや―カハッ!」

「ウグッ!」

「このメスが!アガ!」

「この野郎!ガッハ!」

「糞!この!ギッ…!」


一瞬で五人が制圧され残りは二人だ。


「このやろうじょgjぽjごあjg」

「既に何を言っているかわからぬ。」

「とっとと倒して表通りに戻ろうか。」

「そうじゃな。」


イルミスと飛鳥は一瞬で相手に詰め寄ると、相手を殴り飛ばす。

殴り飛ばされた男はは壁に打ち付けられ、もう一人がそこに重なるようにたたきつけられた。


「いっちょ上がりじゃ。イルミス殿、もう少し魔力を落ち着かせるのじゃ。」

「了解。それじゃ、戻るとするか。」


イルミスと飛鳥は無事に大通りに出ることができたのだった。


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