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異世界と私と銃とファンタジー  作者: 白築 える
リール国と観光とアルニカ
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トレーニング





「あーよく寝た。」

「素晴らしい朝じゃ。」


二人が部屋から出ると、部屋の前にはイルミスたちが立っていた。


「えーっと何がどうしたの?」

「そうじゃ。どうかしたのかのぅ?」

「今何時だと思ってるの?」

「え?八時ごろじゃないの?」

「妾もてっきり八時頃かと思ったのじゃが。」

「なーにが八時よ。私達何時間待ったと思うのよ。」

「えっと、一時間?」

「三十分じゃ。」

「三時間よ!おかげで外は大雨よ!」


アイリスが外を指さす。


「えーそれは関係ないと思う」

「そうじゃのぅ。妾達が寝ていたのと天気は関係ないのじゃ。」


正論である。


「スズ、飛鳥。今度からお前たちの同室は禁止だ。」

「分かりました…。」

「うむ…。」

「とりあえず今日は生憎の雨だ。宿を一日延長しておいた。飛鳥、俺の部屋で魔力の運用方法を詳しく教えてくれないか?」

「おお!いいぞ。教えてやるのじゃ。」

「俺も参加していいか?」

「あ、俺も行くぜ。」

「皆同時に教えてやるぞ。妾に任せるのじゃ。」

「私も面白そうだからいくわ。」

「あれ?私だけやること無い?」

「それじゃ行くのじゃ。」


そう言うと皆イルミスの部屋へと行ってしまった。


「うーむ。やること…。」


そう考えながらスズは部屋の中にもどる。

スズはベッドに身を投げ出し、後悔する。


「このベッド硬った…!こ、腰が…。」

"スズって意外と…。"

『う、うるさい!』

"そういえば前衛が増えて更にやること無くなりそうだね。"

『銃が使いづらくなる。』

"そもそも遠距離武器と近距離武器は相性が悪いからね。"

『んー。この際敵の中に飛び込んでみる?サブマシンガンなら小回りも効いていいし、二丁拳銃でガン=カタのアシストも入るしね。』

"でも普通の服だから一発でも当たれば致命傷は確実だよ。"

『それはそうだけどね。』

"よくゲームでも特攻していって邪魔で撃てなかったりしてたよね。"

『そうそう斜線上に出られて撃てない挙句かってに死んでく人いたよね。』


スズのやっていたVRFPSはFF(フレンドリーファイア)が仕様であり変更できないゲームだった。

仲間の後ろから銃弾を連射などしたらすべて味方にあたってしまう。


『まぁアイリスも同じような感じだし、後衛は今までどおりでいいかな。』

"戦闘時は私とスズが臨機応変に切り替えていけば今まで以上に戦えると思う。実際にこの間のM134(ミニガン)も私なら扱えるし。それに盾も出せるからね。"

『盾ってライオットシールド?』

"うん。"

『まあ、あれなら多少の銃弾程度の攻撃は防げるけど…。』

"対ライフル弾用のシールドもあるよ。"

『なんでも出せるのね。』

"色々制約はあるけどね。"


その後もリンと話をして今後の戦術や今後の話をして時間を潰していたのだった。

その頃イルミス達はと言うと、基礎である魔力の扱いを練習していた。

アイリスはいつも使っている魔力の使い方と違うのを興味津々で見ている。


「妾の使う魔力は体の中で循環させる。まずは魔力を体の中で循環させるのじゃ。」

「そうは言ってもなぁ…。」

「難しいな。」

「だー!できねええ!」

「魔力自体使ったことないだろうから魔力を感じ取れてないんじゃないかしらね。」

「む、その可能性もあるか。」


アイリスの言うとおり、イルミス達は剣と槍でやって来たため魔力の操作以前に魔力というモノを扱えない。


「どうしたものか…。」

「魔力ってどんな感じのものなんだ?」

「魔力か?ふむ…体の中にある温かいものと言っておくかのぅ。」

「だー!わからねえ!飛鳥ちゃんもっといい方法は無いの?」

「うーむ…。ならこうじゃ!」

「え?何して―あだだだだだ!」


飛鳥はアラスが持っている魔力の波長を合わせずに体に流し込み無理やり体に循環させた。

その時にアラスの体に激痛が走る。


「今のでわかったかのぅ?」

「いてて…なんとなくわかった気がするぜ…。」


そう言うとアラスは目を瞑り、集中しだした。


「ん。わずかだけどアラスの魔力が循環してるわね。」

「そうじゃな。やはりこの方法が手っ取り早いのぅ。っということで二人にもやるのじゃ。」


そう言うとイルミスとアームにも同じように魔力を無理やり循環させた。


「ぐっ!」

「…結構来るな…。」

「…だがなんとなくわかったぞ。」

「ああ、俺もだ。」


二人は集中しだすと魔力が体を循環し始める。

どうやらアラスと同じく無理やり魔力を認識させる方法は正解だったようだ。

三人共乱れや漏れがあるが体に魔力を循環できている。


「できるようになったが、体から漏れておるのぅ。これでは修行中に魔力が尽きてしまうぞ。」

「そんなこと言っても、難しいんだぜ…。」

「そうだな。これはアラスと同じだ。」

「こう、魔力を循環させる過程で飛び出てしまう。」

「循環させるスピードが早過ぎるのじゃ。もう少しゆっくり循環させるのじゃ。最初からそのスピードではのぅ。」

「……こうか?」


そう言うと三人は魔力を循環させるスピードを何とか緩めることに成功した。


「漏れが先程より少なくなったのぅ。この調子で漏れと乱れを正して行くのじゃ。」

「よーし、俺頑張っちゃうぞー。」

「これ!アラス殿!魔力が乱れておるぞ!」

「ゴメンナサイ。」

「うむ。それで良い。イルミス殿は大分安定して来ておるな。」

「魔力さえわかれば後は楽だからな。」

「ふむ。意外と余裕に見えるな。イルミス殿はその状態で剣を持つのじゃ。そして剣にも魔力を流してみるのじゃ。もちろん循環させ体に戻すのじゃよ。」

「やってみよう。」


イルミスはベッドに立て掛けていた剣を持つと剣を構え魔力の循環を始めた。


「ん?……これは…。」

「魔力が乱れるじゃろ?」

「ああ。剣に流れた途端魔力の操作がおぼつかなくなる。」

「ふむ。」


飛鳥はアームの剣を手に取るといつものように魔力を循環させる。


「む?…ふむ。」

「どうしたんだ?」

「イルミス殿、妾の刀でやってみるのじゃ。」

「分かった。…こっちのほうが流しやすいが、まだ乱れるな。」

「どうやら妾の刀は魔力が流れやすいようじゃ。流星刀だからかのぅ…。とりあえず、三人は妾より少しむずかしい魔力操作が必要なようじゃ。」

「まじで!?」

「まじじゃ。」


その後のトレーニングで皆ある程度の早さまで魔力の循環スピードを上げることができるようになった。

武器との循環は予想以上に難しく、夕方になっても安定させることが出来なかったのだった。





翌朝、雨もすっかり上がり太陽が晴れ晴れと出ていた。

イルミスは宿の三部屋を一日延長する。

外は先日の雨の影響で土がむき出しの道はぬかるみが多数ある。

そんな中、イルミス達は街の近くの草原に来ていた。


「リン殿頼んだぞ。」

「わかった。」


リンは草原に藁人形を創造、設置すると少し離れた。

何をしているのかと聞かれれば、それはイルミス達三人のトレーニングである。


「よいか?循環させた魔力を一点で爆発させるのじゃ。そうすれば人にもよるがAにも並ぶ速度、攻撃力を得ることができる。じゃが、使えば魔力が減るゆえそこだけ気をつけるのじゃ。」

「よ~し!俺からやるぜ?」


そう言うと剣を構え仮想敵である藁人形に向かって走りだした。


「おらああ!あああああああぁぁぁぁぁ―」


アラスは魔力の循環スピードを加速させ敵の少し前で開放した。

いつも以上の速度で突き進むアラス。

しかし、慣れてない事をしたためか体が急加速に着いて行けずに藁人形を斬るどころか通りすぎて行き、地面に転がったのだった。

それを見ていた飛鳥はアチャーと言った顔をしている。


「いてて。確かに早くはなったが体がついて行かねえな。これはトレーニングする必要がありそうだな。」

「がんばれー。」

「リンちゃん!俺頑張るよ!」


その頃飛鳥がいる場所では。


「あのように体が慣れていないと、急加速で制御不能に陥ることがあるから気をつけるのじゃ。」

「了解だ。」

「ああ、わかった。」

「(これ絶対いい忘れてたのね。)」


続いてアームが藁人形に向かって直進していく。

先ほどのアラスの失態を見ていたためか魔力の循環スピードは遅めだ。

アラスと同じタイミングで開放し、一気に加速する。

普段の二倍程度の早さだ。


「ぐおおお!」


アームは辛うじて槍を引くとそれをつきだした。

しかし、体のほうが早すぎたため槍を引いてから突き出すまでの動作が間に合わなかった。

ほぼ体当たりで突き刺したようなものだ。


「タイミングが合わないな。」


リンはそんなつぶやきを聞きながら古い藁人形を消し、新しい藁人形を創造し地面に突き立てた。

次はイルミスだ。

三人の中で一番魔力操作が上手い。


「いくぞ。」

「頑張るのじゃ。」


イルミスはアラスと同等のスピードで開放すると一気に加速する。

それに合わせて腕を振る際にも魔力を開放し、斬撃速度を増加させた。


「斬った!」


イルミスの高速の斬撃は藁人形の腕を切断し、脇腹付近にまで達していた。


「おお!イルミス殿初めてにしてはやるのぅ。」

「だが真っ二つとは行かなかったな。」

「自分に厳しいのぅ。リン殿、藁人形を新しく出してくれないかのぅ?」

「はいよー。」


リンが新しく設置すると飛鳥が構える。


「よく見ておくと良い。これを極めれば…こうなる!」


飛鳥は三人とは比べ物にならない速度で魔力を循環、開放すると藁人形の後ろに瞬時に移動していた。

そして剣を収めると同時に藁人形が斜めに斬り落とされた。


「ひゅ~。やるー。」

「これは凄いな。」

「今のは体すべてを加速させていたのか。いつ刀を抜いたのか分からなかったぞ。」

「動き出すと同時に抜いておったぞ。そして斬った後は戻したのじゃ。」

"リンは同じことできる?"

『無理。出来てもあれの半分程度の速度しか出せないよ。』

"ザンネン。"


スズは普通の人の枠から外れていることに気が付いていないようだ。

その後各自がトレーニングをしていく中、アームがいまいち調子を掴めていなかった。


「アーム殿、何か困っているようじゃのぅ。」

「そうなんだ。槍だと敵に致命傷を確実に当てないと逆に反撃を受ける恐れがある。それに深く刺さりすぎた時、抜けなくなる恐れがあるからな。」

「ふむ…。それは致命的じゃな…。刃の部分を十文字にしてみたらどうじゃ?」

「そうか。それなら刺さりすぎも防げるな。今度ルーツ国に立ち寄ったら相談してみるか。」

「なんじゃ?普通の鍛冶屋ではだめなのか?」

「俺らの武器は鋼を使っているからな。普通の鍛冶屋では扱えないんだ。」

「鋼か。それなら妾の国なら扱えるぞ。」

「…それはいいことを聞いた。」


アームは一瞬呆けた顔をしたが、いいことを聞いたと思った。





各自のトレーニングは太陽が落ちた後まで続いた。

三人はひたすら魔力の扱いや解放した時のタイミングや体の制御を叩き込んでいたのだった。

そしてリンは一日中藁人形を出し続ける作業をしているのであった。


『さすがに飽きた。』

"それわかる。"

「だっはー疲れた。もう魔力も体力もないぜ。」

「そうだな。」

「イルミスはよくそこまで動けるなー。俺なんて制御で精一杯だぜ?」

「お前は最初から全力すぎるんだよ。」

「今日はここまでにするかのぅ。」

「そうね。皆お疲れ。」



その後六人は宿に戻りイルミスの部屋に集まっている。

今後の予定を決めるためだ。


「リール国の王都に行こう。」

「よっしゃああああああ水着美人ひゃほおおおおお!」

「で、そこで休憩したのち西の島国アルニカまで船で渡ろう。」

「妾の故郷を案内してやろう。アームには言ったが、アルニカには鋼を扱う鍛冶屋がある。そこで皆の武器もメンテナンスに出すとよい。」


後ろでアラスが騒いでいるが、五人はそれを無視して話を進める。


「鋼を扱っているのか?」

「うむ。あまり本土に行くものが少ないからのぅ。あまり知られていないのじゃ。交易でも鋼の武器は出してないからのぅ。」

「要の技術を流出させないためか。」

「それもあるのかのぅ。国のことはわからぬ。」

「アルニカは俺も始めていくところだから案内はすべて飛鳥に頼ることになる。」

「任せるのじゃ。宿の代わりと言っては何だが、我が家へ招待しようじゃないか。」

「あ、まじで!飛鳥ちゃんの家だぜえええ!お父さん!飛鳥ちゃんをくださあああい!」

「泊まる先はこう言ってくれているし飛鳥の家で大丈夫だろう。アルニカに行くのは…まぁ、本音を言うと観光だ。スズもこちらにきて以来、ギルド漬けだったからな。その埋め合わせだ。」

「嬉しいです!ありがとうございます!」

「観光なんて本当に久しぶりね。冒険者始めた頃はどこの町に行っても観光気分だったけど、最近は見慣れてきたからそういう気分も無くなったのよね。」

「そうだな。俺も冒険者を始めた頃は新鮮だったな。」

「あら、アームもそうなの?」

「俺だって最初はそうだ。」

「王都までは二つの村を経由して向かうぞ。幸いこの街は王都までの定期馬車が出ているからな。それを使おう。料金は護衛も兼ねて安くしてもらおう。」

「交渉術ですね。」

「まだ六十万の借金があるからな。少しは節約しないといけない。」

「それにしてもオーガの件は…なぁ。」

「今後厄介ごとに巻き込まれなければいいが…。」


話が大体まとまってきた。

そこでアラスが一言つぶやいた。


「おかしい。いつもなら何かされるはず…これはどういうことだ…!」

「あら?何かしてほしかったのかしら?」

「いや…なにも。」

「そう?」


アラスはアイリスの体と杖に魔力が循環してるのを見ていた。


「(今までやられてきたが俺には分かるぜ…今のアイリスちゃんは最高にヤバい。魔力が大体扱えるようになったからわかったがアイリスちゃんの魔力がすごいことになってるぜ…。)」




アイリスは魔法使いのため循環系の魔力操作も慣れればそれなりに扱えます。

これらを簡単に言うと循環系は身体強化魔法、放出系は攻撃、回復魔法です。


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