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勇者から秘湯屋に転職します  作者: 藤泉都理
壱 自己紹介篇
9/199

クリティカルヒット




「ばっきゃろうがい!!!」

「ぶべらんばっちゃい!!!」


 僕は勇者だ。

 そう胸を張って言わず、もだもだもだついている奏斗かなとに苛立ちが頂点を突破した芽衣めいは奏斗の頬に拳を叩きつけようとしたが、避けられてしまった。ただ、完全に避けられたわけではない。

 動揺していて避けるのが遅くなってしまった所為で、奏斗の頬ではなく鼻にクリティカルヒットしてしまったのである。


「あばばばば僕の鼻がもげたもげたもげてる?」


 窪地に突っ立ったまま、奏斗は痛みをひどく訴える鼻に恐々と触れては、触れられた事に安堵して、鼻を片手で覆ったまま芽衣を見た。芽衣は怒り心頭極れりと言わんばかりに、全身が真っ赤に染め上がっていた。


「奏斗てめえ兄貴との約束を忘れちまったのかよ!? 勇者になるって勇者として魔王を倒すって兄貴に宣言したじゃねえか!!」

「わ。忘れてないよ。忘れてないけど」

「けど? けどなんだ? てめえ。勇者から秘湯屋なんかになりやがれ! 俺がぜってえゆるさねえからな!!!」

「わたくしもゆるしませんよ。あなたは勇者なのですからね。ゆめゆめお忘れなきように」

「俺は奏斗が勇者を辞めても引き留めはしない。ただ。逃がしてしまった魔王を放置する元勇者を世間がゆるしてくれるとは思うなよ」

「まあ。まだ決意できねえってんなら、待っててやんよ。じゃあな。ちゃあんと仲間と話せよ」

「………」


 突風が如く、芽衣、聖月せいげつ箕柳みやぎ琥紺ここんが去って行く中、不意に鼻の両穴から鼻血が垂れ流れてきた奏斗は、対処方法ってどうするんだっけと涙声で呟いたのであった。











(2024.12.5)



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