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勇者から秘湯屋に転職します  作者: 藤泉都理
伍 第三の首都の紫陽花篇
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時計




 『六花彩湯国りっかのさいゆこく』の第三の首都の『紫陽花』。




 ここを訪れる皆々様よ。

 時計を肌身離さず持ち歩くのを忘れるなかれ。

 ええええ、もちろん、町のあちらこちらに時計はありますがね。ご自身で持っている越した事はありやせんよ。


 え。

 何で時計を持っていなくちゃいけないのかって。

 赤、薄紅、黄、橙、青、紫、白、薄緑、黒。

 ええええ。この第三の首都の『紫陽花』は気紛れに空の色が変わるってんで、時計を見なければ今が何時か分からないってきたもんだ。


 時間が忘れられるなんて最高じゃないかって。

 そちはよほど時間に追われながら生きているんですねえ。

 どうぞどうぞ、ここに滞在している間は時計なんかほっぽり捨てて存分に朝も昼も夜もない世界を堪能してくだせえ。

 そんな事はできないって、そちは真面目ですねえ。


 そうそう、この首都にはまことしやかに噂が流れているんですよ。

 時間移動できるっていう噂がね。

 ええええ、噂ですよ。本当に時間移動できた生物に出くわした事は一度もございやせんが。


 未来か過去か。

 そちならば、どの時間に進みたいですかい。

 そちならば、どの時間に戻りたいですかい。











(2025.1.28)




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