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まだ
『六花彩湯国』の第二の首都の『蓬』。
「みやぎ」
(あれ?)
ツンと。
鋭い冷気を吸った時のように、鼻の中に痛みが生じたかと思えば。
「みやぎ」
(あれ? 芽衣の拳が掠った時の衝撃がまだ、)
ぽたりぽたぽた。
ふと奏斗が視線を下げれば、いつの間にか地面にいくつかの血痕があったので、慌てて鼻を両手で押さえようとしたのだが叶わなかった。
ぐにゃり。
骨がこっそりと痛みなく引き抜かれたが如く、芯がなくなった足は支えきれずに奏斗を倒れ込ませてしまったからだ。
「みや、ぎ」
(あれ? え? あれ? これ。 え?)
咽て咳き込んでしまった奏斗の口から吐き出されたのは、呼気や痰ではなかった。
血だった。
「み、」
(え? え?)
鼻からも口からも静かに少量に、けれど、絶え間なく流れ続ける血に、奏斗は混乱した。
確かに、箕柳の全身から放たれる毒の煙は甚だしい威力ではあるものの、対応はできると踏んでいたのだ。少なくとも、奏斗自身の命を脅かすものではないものだ。そう。
「み、や、」
(あれ? え? もしかしてこれ。やばい、感じ?)
勇者の剣を糧に立ち上がろうともがく奏斗は、純銀の竜だった箕柳の全身の色が真紅に変わった事に疑問を抱いた。
「みや。ど」
(2025.1.25)




