浄化
『六花彩湯国』の第二の首都の『蓬』。
純銀の竜になってしまった箕柳から放たれる甚だしい毒の煙に、奏斗は身体に力を入れて対応し続けた。
(毒に耐性のある勇者の僕でも毒の影響があるなんて………え? いやいやいや。え? そもそも箕柳って雪男じゃなかったの? え? 毒のある純銀の竜の姿の雪男だったの? いやいやいや、設定を盛り過ぎだよ。え? 乱斗との闘いの時には見せなかったけど今見せたのは何で? 乱斗との闘いの時より危険な状態だからなの? 白い湯煙が? 蓬が? そっか。蓬は邪気を祓う力がある。毒も邪気に含まれるし。雪に最悪な濃厚な湯煙と、毒に最悪な濃厚な蓬の香りが箕柳にとって最悪の組み合わせだったんだ。え? え?)
「箕柳! 箕柳、分かる!? 僕だよ! 奏斗だよ! 毒を鎮めて!」
「………」
「箕柳! 箕柳! 箕柳!」
箕柳の反応は一切合切なかった。
ただ静かに奏斗を見下ろしているだけである。
毒の煙を濛々と放ち続けながら。
奏斗は呼びかけは効果はないかもしれないと思ったが、箕柳の名を呼び続ける事を止めずに、これからどうすればいいか脳漿を絞った。
(もしかしたら、箕柳、意識が飛んでいるのかも。覚醒させるにはどうすれば。いや、まずは毒をどうにかしないといけない。一刻も早く。避難しているここの住民たちが、最悪。でも。全方位浄化したら箕柳への致命傷は避けられない。毒、つまり、闇属性の箕柳にとっては、光属性の浄化は毒だ。いやでも。そもそも、僕の今の力で、この深くて濃ゆい毒の煙を浄化できるのか? できたとして。いや、するとして、箕柳は浄化しちゃだめだから。っう。うえっ。やば。きつい。だめだ。少しずつとは言っても、このまま毒に侵され続けたら、浄化すらできなくなる。それはだめだ)
(2025.1.25)




