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勇者から秘湯屋に転職します  作者: 藤泉都理
肆 第二の首都の蓬篇
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たったの一人




 ずっとずっとずっと。

 たったの一人。洞窟の中で暮らして来た。

 洞窟は雪と氷で覆い尽くされ、眩い白光で満ち満ちていた。

 洞窟の中の雪と氷と同化して生きて来たのだ。

 ずっとずっとずっと。

 

 何故。

 ずっとずっとずっと。

 雪と氷で覆い尽くされた洞窟の中で、たったの一人で暮らして来たのだろうか。


 ずっとずっとずっと。とはいつからか。

 この世に生まれ落ちてきた時からだろうか。

 それともこの世に生まれ落ちて時間が経って暫くして両親に捨てられて、一人になってしまったのか。

 仲間が居ない両親に捨てられたから、一人になってしまったのか。


 雪男の自分が一人で生きていく為に、生き延びていく為に、安全な場所に身を寄せ続けていたのか。

 雪男だから、雪と氷で覆い尽くされた洞窟の中で、自らを守る術を身に着けるまで。

 ずっとずっとずっと。




 いいや、そうではない。

 この世に生まれ落ちた時からか。

 この世に生まれ落ちて時間が経って暫くしてからか。

 いつからだったかは、分からないが。

 一人だった理由は分かる。

 両親は居ない種族だったからだ。

 星の気紛れで偶発的に生まれる種族だったからだ。


 力が操作できないと悟った瞬間。

 力を鎮めてくれる場所へと駆け走った。

 本能が嫌がる場所。本能が欲する場所。己を護ってくれる場所。己以外を護ってくれる場所。


 ずっとずっとずっと。

 本当ならば、ここに、雪と氷で覆い尽くされた洞窟の中に身を寄せ続けるべきだったのだ。

 一人だったのだ。

 生まれ落ちた時から。

 ずっとずっとずっと。

 たったの一人。

 ずっとずっとずっと。

 たったの一人で居るべきだったのだ。






箕柳みやぎ!!!」






 一人で居るべきだと身をもって実感した。

 他者と交わってはならぬと重々実感した。

 だから、

 けれど、

 このような残虐無比な形で、一人にさせようとしないでくれ。











(2025.1.24)




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