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勇者から秘湯屋に転職します  作者: 藤泉都理
肆 第二の首都の蓬篇
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64/199

忍び




 『六花彩湯国りっかのさいゆこく』の第二の首都の『蓬』。


(ああ。暑い。熱い。蒸し暑い。魔物はあっしたちを蓬の蒸し煮にして喰っちまうつもりっす)


 ふらりふらふらふらりふら。

 勇者一行お抱えの情報収集担当の忍び、劉吉りゅうきちは、濛々と立ち込める白い湯煙と蓬の香りがする中を一人で歩いていた。

 各地に存在する、絶対に熱する事のない泉の下に設けられたシェルターに避難した『蓬』の住民に、行くな蒸し煮にされちまうぞと止められたが、行かないわけにはいかないのだ。


(忍びの秘伝道具がなければ、あっしなんて、あっという間に蒸し煮になっちまって動けずにいたっす。ああ。もう、奏斗かなとたんたちは着いている。あっという間に魔物をやっつけて早くこの蒸し煮地獄から解放してほしいっす。好戦的な魔物だって言ってたっすから、奏斗たんたちの前に姿を見せているはずっす。芽衣めいたんが一発KOっすよね。はあ。あれ? 何であっしはこんな蒸し煮地獄の中を歩いているんすかね。ああ。そうだ。魔物と一緒に魔王も見たっていう情報を得たんで、確かめる為に歩いているんっす。そうだそうだ)


 冷却作用のある忍び装束に全身防備をした劉吉は、さらに冷却作用を高めるべく、雪ん子玉を忍び装束に叩きつけつつ、一つだけ飲み込んだ。

 すれば、全身を侵す厚い白煙が少しだけ薄れたようだ。


(魔王は秘湯を吸収するんすよね。地元の人たちの話によれば、候補は九つ。確認しに行かなくっちゃいけないっす)











(2025.1.22)




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