あれ
あれ、おかしいな。
骸骨になればみんな幸せになれるんじゃないか。
そう、思っていた。
思うだけだ。
藤色の温泉を使って、みんなを骸骨にしようとは思わなかった。
心晴に頼まれたからだ。
骨だけではやっぱり不便だから、藤色の温泉に浸からないように注意喚起してほしい。
そう頼まれたからこそ、藤色の温泉に浸からないように対策を取り続けた。
その甲斐もあったのだろう。
藤色の温泉に浸かって骸骨になる生物は居なかった。
結局、骸骨になったのは心晴とおいらだけ。
あれ。
おいらは何で骸骨になったんだっけ。
元々骸骨だったんだっけ。
外見が気に入らないから骸骨になったんだっけ。
目立ちたいから骸骨になったんだっけ。
心晴と同じになりたいから骸骨になったんだっけ。
幸せになりたいから骸骨になったんだっけ。
あれ、おいらは何でこんなに必死になって走ってるんだっけ。
何でおいらは藤色の温泉を独り占めしようとしてるんだっけ。
誰にも渡すもんかって、こんなに必死になって走ってるんだっけ。
心晴に頼まれたからだっけ。
箕柳さんが誤って藤色の温泉に浸かって骸骨にならないように、近づけないようにしようとしてるんだっけ。
『藤色の温泉はおいらだけのもんだ!!!』
何でおいらはこんな事を言ったんだっけ。
骸骨になれば幸せになれるからだっけ。
幸せになれる骸骨で居続ける為に藤色の温泉を独占しようとしてるんだっけ。
心晴。心晴。心晴。
助けてくれ。助けてくれ。助けてくれ。
思い出せない何をしたいのか分からない。
心晴。
「おいら。おいら、おかしくなっちまった」
(2025.1.20)




