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図書室と先輩~ネオ!~  作者: にま
彼の憂鬱、彼女の鬱憤
6/102

その6 彼女は少々イタイ子です。

「こんちゃー」


 カウンター内で本を読んでいた上級生らしき女生徒に寺山芳樹(カレ)が挨拶をする。


「こんにちは、寺山君。今日は当番?」


「そうっす。カウンター代わりますよ」


 なに、その「っす」は? なんでいきなり体育会系?

 それに……。

 なにデレてんのよ! 

 その顔よその顔! ワタシといる時にそんな顔したことないよね!

 はぁ……。なるほど、ワタシの推理は当たってたんだ。

 図書室で出会った誰かさん、もしくは図書委員の誰かさんに一目惚れして、そのコに会うために通い詰めるようになった、と。

 それがこの先輩(ヒト)ってわけだ。ふーん。

 ……なによ。どこがいいっていうの?

 顔ならワタシのほうがいいんじゃない?

 それにスタイルだって……、うん、胸だけならワタシの勝ち。


「ちょっと! 今変なこと考えてなかった?」


 ギクッ! 


「いえ。そんなことないです、ないです」


 ビックリした。

 ワタシに言われたのかと思った。

 彼がキョドりながら両手をふっている。

 あ、さては同じようなこと考えていたな、コイツめ!

 さて、彼が図書室(ココ)に来るようになったのは、この先輩がいるから?

 このごろのよそよそしさもそのせい?

 うう、納得できない。それはないんじゃない! 

 なんか悔しい。

 でも、勝てるよねワタシ。この先輩相手だったら勝ってるよね。

 顔、胸、若さ。どれをとっても負ける要素無し。列挙法だったっけ。

 とその時、この場合では最凶な意味を持つ熟語が頭の中に浮かんだ。

(相思相愛)

 パン!本が閉じられる音。

 そして、カウンターをはさみ熱い視線を交わす二人。

 え、なに? 二人の世界? 惹かれあう二人? やだ、やめて!




「で、そちらはカノジョ?」


 は?

 あ、そう見えるんだ。

 あれ、じゃ二人のことはワタシの勘違い? 早とちり? 良かったあ。


「いえ、単なる同級生です。借りたい本があるみたいだったんで」


 くっ、なんで即答? しかも「単なる」はないでしょ! 蹴るぞ!


「っそ。じゃあカウンター当番は私がやるからいいわ」


 じゃあ? ……もしかしてワタシたちを二人きりにさせてくれようと?


「えっ、せっかく来たんですけど」


 何その不満気な顔は? この先輩の気遣いを無駄にすんなあ!


「カノジョのエスコート。それが今日のお仕事ね。頑張って」


 今の「カノジョ」って、そっちの意味よね。

 へへ。そっか、やっぱりそう見えるんだ。ふふーん。

 なんだ、この先輩いい人じゃん。勝手に敵認定しちゃって悪かったな。

 となると、やっぱり彼はカレシだよね。

 カレシとカノジョ。いい響き。

 それにエスコート? カレシに手をひかれ?

 うれしはずかし図書室デート。キャハッ!

 うーん、いいかもしれない! ううん、いいよ、絶対!

 ハァァ……。

 あれ、彼が変な顔して見てる。やだ、いまワタシどんな顔してた?


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