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図書室と先輩~ネオ!~  作者: にま
彼の憂鬱、彼女の鬱憤
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5/102

その5 彼は少々にぶい子です。

「こんちゃー」


 オレはカウンター内で本を読んでいた高橋先輩に挨拶する。


「こんにちは、寺山君。今日は当番?」


「そうっす。カウンター代わりますよ」


 高橋先輩は「図書室の魔女」というあだ名を持つ3年生。

 今度その由来を聞いてみたい。

 昼休み、放課後、いつ来てもカウンター内にいて本を読んでいる。

 ここに住んでいるんじゃないかって噂まである。

 とりたてて美人というわけでもない。ごく普通。

 スタイルも、まあたぶん普通。

 スラリとしてて。ホント、スラリとしてて。


「ちょっと! 今変なこと考えてなかった?」


 ギクッ!


「いえ。そんなことないです、ないです」


 あわてて両の手をふって否定する。

 さっきのこともあったから、思わず()()に目がいってしまったようだ。

 あぶないあぶない。気をつけなければ。

 この先輩(ヒト)の場合、モミジでは済まないような気がする。

 さて、オレが図書室(ココ)に来るようになったのは、漫画も置いてあるということ以外に、この先輩に会えるから、というのがある。

 誤解しないでほしいが、これは恋愛感情などではない、と思う。

 なんて言うんだ、コレ。うーん、よくわからない。

 あえて言うなら……。

 うん? あえて言う必要ってあるのか? いやない。反語だったっけ。

 とその時、一つの言葉がポンと頭の中に浮かんだ。

(怖いもの見たさ)

 その瞬間だ。

 パン!本を閉じる音。

 そして、カウンター内からニッコリとオレを見つめる高橋先輩。

 ただし、目が……、目だけが笑っていない。

 え、なにこの人? ホント魔女? こわい。こわすぎる!




「で、そちらはカノジョ?」


 ふう。今の一件は流してくれたか。助かった。

 そしてツレについて、オレ的には嬉しい誤解発言。

   

「いえ、単なる同級生です。借りたい本があるみたいだったんで」


 今のところ否定するしかないのが悲しいな、オレ。

 うん、なんだ? 先輩が首を振りながらため息をついている。


「っそ。じゃあカウンター当番は私がやるからいいわ」


 じゃあ、の意味がわからないんですが?

 その哀れな小動物を見るような目もなんで?

 

「せっかく来たんですけど」

 

 なんだかんだ言いながらですね、真面目にやっている姿を見せたいんですが?

 と言ってもいつものごとく室内には誰もいない。

 でもカウンターの中でなら、いろいろやっているフリはできるはずだ。


「カノジョのエスコート。それが今日のお仕事ね。頑張って」


 いや、カノジョじゃないって言いましたよね。

 隣のこの人、そういうの怒っちゃうタイプなんです。

 これ以上オレを危険にさらさないでください。

 それにエスコートってなに? お仕事? なにを頑張るの?

 言っていることに理解が追い付かない。

 で、おそるおそる隣の地雷装備者に目をやると……。

 あれ、どうした、その顔は? 

 心ここにあらず、どころじゃないような?

 初めて見る表情だな。

 くそぉ、かわいいからもっと見ていたいけど、そうもいかない。

 おーい、早く戻ってこーい。

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