第56章:回廊の白い魔法
翌朝、春の東京は、まるで失われた高貴な名の帰還を祝福するかのように、ひときわ厳かで鮮やかな輝きを放ちながら咲き誇っていた。朝香家の黒いリムジンは、午前八時三十分ちょうどに新暁学園の鍛造の正門前へと滑らかに停車した。重厚なドアが静かに横へと滑り開くと、アスファルトの上に確かな足取りで竜之介が降り立った。少年はいつも以上に揺るぎない巨岩の如き帝王の佇まいを見せ、振り返ると、贅を尽くした涼やかな車内からゆりが出るのを手助けするために、恭しくその手のひらを差し出した。ゆりは、温かい彼の手に自分の細い指をそっと委ねた。その夏の空の色をした瞳に宿る瑠璃色の輝きは、彼女の深い動揺を物語っていた。昨日のあの衝撃的な知らせの後、学校の敷居をまたぐのはこれが初めてだったからである。指定の制服である厚手の桃色サテンの下では、竜之介からの密かな贈り物であるあの瑠璃色の絹の裏地が彼女の肌を心地よく包み込み、今のゆりにとってはそれが世界で最も強固な鎧のように感じられた。竜之介は、検問所に到着するまで彼女の手を決して離さなかった。そこでは、いつもは完璧に距離を保っている厳格な八島先生が待っていた。しかし、この年老いた女教師は、古くからの深遠な敬意を込め、ゆりに向かって深く頭を垂れたのである。その瞳に宿った温かい承認の光に、ゆりの心臓は恐れを抱きながらも、甘美に激しく脈打つのだった。「王道の一対」が新暁学園の広々としたガラス張りの回廊へと一歩足を踏み入れた瞬間、いつもの朝の喧騒が、まるで誰かがスイッチを切ったかのように一瞬で途絶え、静まり返ったような、ほとんど畏怖に近い沈黙へと変わった。桃色、サファイア色、ターコイズ色、そしてすみれ色の衣装をまとった全学年の色鮮やかな奔流が、廊下の両脇へと一斉に動きを止め、二人を迎え入れるように一糸乱れぬ見事な人の列(花道)を作り出した。昨日まで特待生のことを高慢に嘲笑っていた現地のスノブどもは、今や誰もが深く頭を下げ、山階家の偉大なる血統の前に視線を合わせることすら恐れていた。一年B組の瞳と、その忠実な取り巻きである一年C組のさやかは、文字通り壁へと身を押し付け、恐怖のあまり自らのサファイアとターコイズのドレスの裾を強く握りしめていた。そして彼女たちの恋人であるスポーツマンの少年は、あの冷徹な朝香が、無人の教室での先日の無礼な一件を永遠に忘れてくれるよう心の中で必死に祈りながら、強張った背筋を必死に伸ばしていた。竜之介は完全に表情を消した鉄の仮面のまま進んだが、その広い肩は、いつも通り何百もの好奇の目からゆりの姿を完璧に遮り、自らの絶対的で揺るぎない庇護を学園全体に無言で示しつけていた。ゆりは気恥ずかしさを抑えながら、天性の驚くべき気品をもって毅然と佇み、誇らしげに真っ直ぐ前を向いて歩いた。ただ、その頬にぽっと浮かんだ淡い紅潮だけが、彼女の心臓の高鳴りを物語っていた。自分たちの教室である一年A組の入り口では、固い結束を誇る仲間たち全員が、忠誠を尽くすように二人を待ち受けていた。佐藤と健太は感激のあまり声も出ずに口をあんぐりと開け、南と葵は嬉しそうに手を振り、麻衣と田中は几帳面にメガネの位置を直し、どんな新しい事態が起きようとも、大切な友人の平穏を全力で死守するという絶対的な覚悟をその全身で表していた。しかし、全員にとって最大の衝撃となったのは、机に固定された名前のプレートだった。かつての「長野ゆり」という古い文字は跡形もなく取り外され、その場所には、非の打ち所のない見事な金色の毛筆カリグラフィーで、新しい名前が刻まれて輝いていた。
「山階ゆり」
竜之介は静かに一歩歩み寄り、回廊の群衆から彼女の姿を優しく庇うように立つと、その峻烈な顔立ちを、彼が四歳の頃から胸の奥に秘め続けてきたあの隠された愛おしさで、ほんのコンマ数秒の間だけ和らげた。彼は手を伸ばし、彼女の頭の上で可笑しなほど揺れていたツインテールの毛先を優しく整え、それから指先を滑らせて彼女の首元へそっと触れた。そして、鉛のように重く、しかしこの上なく温かいそのバリトンボイスで、この名は最初から君のものだったのだと静かに告げた。ゆりはその瞳を瑠璃色に輝かせて彼に微笑み返し、胸の奥底から湧き上がる絶対的な平穏と愛を感じていた。「新暁学園」がどれほど複雑な旧宮家の法や上流階級の規律を突きつけてこようとも、彼女の専属の「龍」は、すでに彼女のためだけに、誰にも侵されることのない彼らだけの不朽の世界を築き上げていたのだから。
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