表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/10

アイアン.ジャッカル

ザハルディアでは、力だけでは生き残れない。

力を「売れる形」に整えた者だけが、長く支配する。

ラウル率いる傭兵団。

正式名アイアン・ジャッカルセキュリティの買収後の姿は

表向きは変わらない。

輸送護衛、港湾警備、要人警護。

だが実態は、ヴァルハルト商会の“牙”になった。

買収は静かに行われた。

誰も気づかないうちに。

気書き換わっていた。


アレクシスは、最初こう思った。

「雑だな」

帳簿は簡素。

現場主義の匂い。

傭兵上がりの組織らしい粗さ。

だが、読み進めるほどに違和感が出る。

数字が一切、ブレない。

不自然なほどに。

損耗率は業界平均より低い

契約履行率は異常に高い

未回収債権がほぼゼロ

裏金の痕跡がない

「……なんだこれは」


ラウルは淡々と答えた。

「無駄な金は嫌いでな」

本当はそれだけじゃない。


ラウルは元高位貴族だった。

傭兵に身をやつしたとはいえ、幼少から叩き込まれたのは

統治、財務、交渉、戦略。

高等教育が彼の基礎にある。

そして——

「数字は嘘をつかない。だが嘘を隠す道具にはなる」

その両方を理解する卓越した天賦の才。

だからこそ、

最初から“隠す必要のない構造”にしていた。

荒くれ者たちを束ねながら、

帳簿は一行の狂いもなく整える。

その異様さに、アレクシスは気づいた。

「何をおいても買う価値がある」


アイアン・ジャッカルで変わったのは、資本だけ。

中身はそのまま。

ラウルは現場を手放さない。

アレクシスも口出ししない。

ただ一つ変わったのは——

「規模」だ。

港湾警備の独占契約

陸路輸送の統合

情報網の一元管理

アイアン・ジャッカルは、

ただのセキュリティガードに見せかけた傭兵団から

「物流と安全保障を握る企業」へ変わった。

そしてそれは、そのまま

ヴァルハルト商会の躍進につながる。


その日、アレクシスは交渉ではなく、確認に来ていた。

「この規模、問題ないな」

ラウルは笑う。

「最初からそのつもりで買ったんだろ」

送金ルート遮断。

現場制圧。

被害最小化。

すべてが、計算通り。

ヴァルハルトの資本と、

ラウルの統率。

その組み合わせは、

市場にとってほぼ災害だった。


作戦完了後。

ラウルは港に残る。

次の契約がすでに動いている。

アレクシスは帰る。

戦場ではなく、

帰るべき場所へ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ