ツンデレではない、私はデレデレなのだ。
これは珍しい・・・ぼっちだ。
「べ、別に寂しくなんてないんだからね!」
言って後悔した。激しく似合わない。
そうだ、私はツンデレではなくデレデレなんだ!なんて言って友人に殴られたのは記憶に新しい。
なぜあんなに怒ったんだ友人よ、私は至って真剣だったのに・・・。
周りを見てみた。切り揃えられた芝生に薔薇・・・薔薇薔薇薔薇薔薇。
どうやらここはバラ園らしい。ソウマっちの庭かどうかすら怪しい。呼び方安定してないのはほら、あれ。まだ慣れてないからなんだぜ!
なんて心の中で一人芝居打っても虚しいだけなのである。
「はあーぁ、どっこかなここはー。」
とりあえず歩いてみよう。
きっと誰かにはぶちあたるだろ。あ、オカマはノーセンキューでお願いします。
「あれ?」
「はい?」
ばったりと出くわしたのはいつかの勇者だった。
いや、翔くんじゃなくて、怜悧な美しさを持ってる方。
「あぁ、あの天使を背負投た挙句魔王に止めさしちゃったあの時の・・・。」
「よく覚えておいでっすね!さすが勇者!握手してください!!」
残像見えるくらい素早い動きで頭を下げて手を差し出した。
いや金髪翠目の勇者だよ?テンプレだよ?もう握手求めるしかないよね!
怜悧な美貌じゃなくてイケメンだったらもう完璧すぎてサインまで求めてたけどね!!
とりあえず美人なので握手はしてもらった。
よく覚えているもなにもそんな光景はインパクト大だろうなと言ってから気がついた。
「案外あっさりすんだね、握手。意外です。」
「敬語を話すのか外すのか統一してください。」
しかめっ面で言われた。その美しい眉間にしわできちゃったら投獄もんですね私。
いややはりその時は責任もって男らしく責任は取るぜ!とドヤ顔で言うべきだろうか・・・迷うところである。
「そんなどうでもいいところで悩まなくてもいいですよ。」
「しまった口に出していたか。」
ばちんと音を立てて自分の手で口を塞いだ。意外と痛い。
とそこで勇者は何を思ったのかその白磁の手で私が口を塞いでいた手を取った。
・・・・ん?
「女性なんですから、もう少し体を大切になさい。」
信じられないが、痛ましげな表情でそうのたまった。
ついでに空いている方の手でいまだにじんじんと鈍い痛みのする唇をついと撫でて・・・は、はあああああ!?
ちなみにものすごく意外そうにされること度々あるが、私はこの手の事はまったくもって苦手だ。
からかいだろがマジだろが下心があろうがなかろうが、苦手なのだ。大事なことなのでついでにもう1回言っとこう、苦手だ。
少女漫画なんかでポッとかいう効果音あるがその比ではなく、どかぁっと物凄い勢いで顔に熱が上がる。
「あれ、君なんでそんな顔赤いの?」
風邪?なんて聞いてくるサボり魔王。マジ空気読まねぇ察せ!
無表情ながらきょとんとしている勇者。
とりあえず、魔王に向けて勇者を背負投げした。
登場人物少し変更しました。