微差
神とは、絶対である。
触れることすら許されない存在。
だが――それを滅ぼし、力を奪う“例外”が現れた。
そのものは止まらない。
ただ前へ進み、神を越えていく。
そして今――
その先へ踏み込む
そのものは思考する。視覚を封じたまま、音や振動、空気の流れから敵の位置を捉え続ける。
だが決定打がない。このままでは削られ、いずれ破綻する。必要なのは火力でも精度でもない。“確定”――一度成立すれば覆らない状態。
そのものはそれを持っている。だが、そのままでは使えない。だから組み替える。
『複製』を発動し、『pétrification』を再現する。だが得られたのは劣化した権能、『偽・石化』。
条件は“十五秒間、視認され続けること”。致命的な欠陥。本来なら成立しない。
だがそのものは視覚に依存していない。ならば“条件”を作ればいい。
そこで使うのが統合権能『封緘』。対象との関係を強制的に固定する力。接触した瞬間から“関わり”は継続する。
つまり、視線と同義の状態を作り出せる。
そのものは躊躇なく『封緘』を発動する。関係が固定される。
同時に『pétrification』が襲う。不可逆の侵食。身体が軋み、感覚が削がれていく。
それでも止まらない。動きは封じた。条件は満たした。あとは時間。
だが進行は想定以上に速い。このままでは間に合わない。
『超越』を発動し、自身を引き上げることで石化への耐性を作る。侵食は遅れるが、それでも足りない。誤差程度。
さらに『解放』。石化という現象そのものに干渉し、発動条件を歪める。
“十五秒”という制約を圧縮する。結果――八・四秒へ短縮。
だがそれでも届かない。
八・四秒後、そのものの石化は八十七%。相手の石化も始まるが、僅かに遅い。
その差が致命となる。
そのものは理解する。このままでは負ける。
『超越』の出力をさらに引き上げる。身体は限界に近づき、崩壊と石化が同時に迫る。
それでも止めない。必要なのはあと一瞬。
だが結論は変わらない。届かない。わずかに足りない。
そのものは気づく。これは出力の問題ではない。構造の問題だ。
同じ手を重ねても覆らない。ならば変えるしかない。前提そのものを。
石化は進む。時間は削られる。
それでも――思考は止まらない。
第12話いかがでしたか?
もしかしたら負けるかもしれない、、そんな展開となってきました
次回もお楽しみに!!




