神々
『神』それは古来からいると信じられ人々の拠り所となる存在。
この世界は奴らの手によって創りだされ、発展させられ、そして滅ぼされていく。
神々は気まぐれでありながら絶対的であり、その意思一つで文明は栄え、あるいは一夜にして消え去る。
そんな神々を滅ぼし、自らの力としていった“もの”がいた。
この物語はそのものの姿を示し、語り継いでいくものである。
神々――
どこから話していこうか……
神々の力を記さない限り、そのものの偉大さは伝わらない。
ゆえにまずは神について語ろう。
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神とは、人々から強く信仰される存在である。
その数は、九千九百九十九億九千九百九十九万九千九百九十九柱。
数えきれるようでいて、決して把握しきれない存在数。
それぞれが異なる権能を持ち、人知を遥かに超えた力を振るう。
炎を操るもの、時間を止めるもの、存在そのものを書き換えるもの――
人間程度では、そのいずれにも抗うことはできない。
かつて、そのような神々が人間に牙を剥き、世界に災厄をもたらした時代があった。
それは「神話の時代」と呼ばれる。
現代では架空のものとして扱われているが、確かに存在した時代だ。
その終焉は、とある一人の『人間』によってもたらされた。
そして神々は表舞台から姿を消し、人間の時代が始まった。
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ここまでが、この物語を読む上で必要な知識となる。
では『そのもの』について語ろう。
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時は現代。
一度滅ぼされた神々は、再び表に出ることなく息を潜めていた。
それぞれが己の役割を淡々とこなし、世界の裏側で均衡を保っている。
しかし、その静寂に飽きた神々がいた。
時を刻む神。
空間を歪める神。
命を司る神。
彼らは退屈しのぎに、一人の人間を選び、過去へと送り込んだ。
ただの戯れ。
神々にとってはそれ以上でもそれ以下でもない。
だが、その行為は決して些細なものではなかった。
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過去へ飛ばされた“そのもの”は、到達した瞬間に一つの力を得ていた。
『神域への侵入』
神の領域に足を踏み入れることを許される、極めて異質な能力。
通常、人間が神域へ入ることは不可能だ。
許されるのは神、あるいは神の力を得た存在のみ。
だが、そのものは例外として、最初からその資格を持っていた。
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そのものは、自らの状況に疑問を抱くこともなく、ただ一つの方向へと走り出した。
何が起きたのか。
なぜここにいるのか。
そうした思考すら存在しないかのように。
ただ“目的”だけが存在していた。
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そのものが辿り着いたのは、神話の時代の末期。
世界はすでに崩壊の淵にあり、神と人間の戦いは最終局面に差し掛かっていた。
道中、そのものの前には数多の神、そして神の使いが立ちはだかった。
だが、そのものは一切足を止めない。
敵を見ることもなく、ただ進む。
襲い来る攻撃は、当たることすらなかったかのように無意味に消え去る。
まるで、存在の位階そのものが違うかのように。
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やがて、そのものは一つの神殿へと辿り着く。
そこは『超越』の力を司る神の神殿。
神殿はどこも同じ構造をしている。
中央には石版のようなものがあり、それを破壊することで神を顕現させることができる。
そして顕現した神を打ち倒した者は、その神の力を奪い、自らのものとする。
それが神話の時代における唯一の“力の継承”だった。
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そのものは迷うことなく石版を破壊する。
次の瞬間、空間が歪み、圧倒的な存在が現れる。
『超越』の神。
全てを上回る存在。
あらゆる概念を踏み越える権能。
神々の中でも五指に入る強者。
普通の人間であれば、視認した瞬間に精神が崩壊するほどの存在圧。
だが――
そのものは、何も感じていなかった。
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神が顕現してから、わずか数秒。
そのものは一歩踏み込み、迷いなく攻撃を放つ。
それは決して強大な力ではない。
人一人を殺せる程度の、ごくありふれた攻撃。
だが、それで十分だった。
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『超越』の神の致命的な弱点。
それは石版破壊から2.9秒以内に“人間でも可能な攻撃”を受けると、即座に滅びるというもの。
強大であるがゆえに、極端に偏った構造。
そのものは、その性質を理解していた。
知っていたのか、あるいは最初から刻まれていたのか。
理由は分からない。
だが結果として、その神は一撃で滅びた。
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静寂。
神殿に満ちていた圧が消え、空間が安定する。
そのものの中に、新たな力が流れ込む。
『超越』
あらゆる限界を踏み越える力。
常識、法則、因果――
その全てを上書きする権能。
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そのものは、次なる目的地を定める。
『超越』の神域。
神の巣。
力を得た者だけが踏み入ることを許される場所。
そこには、まだ見ぬ神々が存在している。
第1話読んでいただきありがとうございます
初めてゆえおかしな所がると思いますな暖かく見守っていてください




