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スタンピードの後  作者: 花屋敷


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第12話


「もちろん。それが啓示を解くために必要なんだろう?」


 ラッセルが言うとその通りだと言ったカイルが立ち上がった。他の4人も立ち上がると彼に続いて教会から街の中に出るとカイルにの後ろをついて街の中を歩いていく。彼が向かっていたのは街の北側だ。


「やっぱりあった」


 そう言ったカイル、後から来た4人も彼の背後に立って前を見ている。そこには崩れた門があり、その先に山に続くであろう道が真っ直ぐに伸びていた。


 彼らは再び教会に戻ってきた。車座になると4人がカイルに視線を向ける。


「啓示は、大きな炎も元は小さな炎です。だよな?」


 確認する様に言うカイル、頷く4人。


「これから何を連想する?」


 カイルが言うと皆が考える仕草になる。


「火事」


 ローズが言うと、その通りだとカイルがローズを見た。


「俺が連想したのは火事だ。じゃあなぜこの場所で火事の話が出たのか?今までの街で出てもよかったんじゃないか?そう思った俺は街の北に行った。みんなも見ただろう?北に道があったのを、あの道は山に続いている」


「山火事?」


 レミーが言った。


「それじゃあ啓示にならない。そのままだよ」


「そうか」


「それで啓示の解釈だ。啓示が出たこの街で山火事を連想した。そして街の北には山に伸びている門と道があった。山に向かえというのは間違いないと思う」


 ここまで話をして皆を見るとと全員が頷いている。


「炎と言っているのでそこに人がいるとは思わない。人なら光とか灯りとか言うと思うんだよ、じゃあ炎って何だ?それが大きな炎になるってどう言うことだ?」

 

 そこで間を開けて全員を見ながら言葉を続ける。


「山には敵、魔獣がいる。そして放置しておくとその数が増えて脅威になると言うことじゃないかと思ったんだよ」


「将来、それが脅威になるから今の内に倒しておけということか」


「カイル、それって黒幕とは違うの?」


 ラッセルがいい、その後にローズが言った。


「黒幕がいる啓示に聞こえたかい?」


「黒幕の場所の啓示とは思えない」


 それまで黙っていたスミスが言った。カイルはスミスに顔をむけた。


「俺もそう思った。いずれにしてもだ、山に向かわないか?そこに行けば分かるだろう。啓示は山に行けと言うことだと思う」


「そうだな。カイルの予想通りそこにいるのが魔獣なら倒しておく必要がある」


 方針が決まった。少し早いがこの日はここで野営をして明日の朝一番から北に向かうことにする。長い移動をしている中で、比較的安全ば場所があればそこでしっかりと休んで疲れを取るのが良いということをここにいる全員が理解していた。


 日暮れまで手分けをして街の中を探索して旅に使えそうなアイテムを探す。ローズが鑑定できるのでとりあえず持って言っては彼女に見てもらう。その結果武器、防具関係では良いのはなかったが寒さを防ぐ厚手のコートや予備のテントなどを手にいいれた。各自が持っている魔法袋に分けて収納する。



 日が暮れると交代で見張をしながら睡眠をとる。夜の組み合わせは毎回くじ引きで決めていた。この日はカイルはラッセルの2人が組んだ。教会の前の階段に座り、焚き火に木片を投げ込んでいる2人。


「あの啓示をよく読んだな」


 感心した声を出すラッセル。


「山に行く道を見た時に確信したよ。ただ魔獣かどうかは実際に行ってみないと分からないぞ」


「だとしてもだ、ただ山に向かうだけじゃなくて、そこに魔獣がいる、それもそれなりの数がいると事前に予測しているだけで準備ができる」


 ただ山に行けということだけならスミスとレミーナを見つけた時の様にのんびりと道を歩いて街を目指せばいい。ただ魔獣がそれなりにいるとなると常に周囲を警戒しながら進む必要がある。時には道から外れて隠れながら進むこともあるかもしれない。準備、心構えができているか出来ていないか、それが生死を分けることがあるのをラッセルはこれまでの経験から知っていた。


「明日はゆっくり進もう。道を歩く必要もないよな」


「その通りだ。周囲を警戒しながら進もう」


 翌朝、朝食を済ませた彼らは崩れた北門から外に出た。北に伸びている道の前方に山が連なっているのが見えている。山に続く道とはいえ、しばらくは平地を歩く。ラッセルとスミスが先頭、次にレミーナ、背後にローズとカイルという並びで左右を警戒しながら北に向かう。


 北に向かって3日目、道を歩いている彼らの目の前に森が見えてきた。同時に道が上りになってきた。彼らは森に入る手前で野営をする。途中で数度魔獣を倒しているが、それらは他の場所にる魔獣と同じ強さだ。彼らにとって苦労する相手ではなかった。


「明日からは慎重に進もう。まだ山の入り口だからと気を抜かない様に敵はどこにいるか分からないからな」


 カイルの話を真剣な表情で聞いている4人。いつの頃からかこのパーティの作戦参謀はカイルになっていた。彼が大きな方針を打ち出し、それを皆で肉付けしていく。


「山の中に入ったら野営をする場所も限られてくる。日が暮れてから探すのは危険だ。夕刻前までに野営のポイントを見つけて少しでも安全を確保しよう」


「そうだな。暗くなって慌てるよりは早めに野営場所を決めた方がいいな。休める時間も多くなる」


 カイルとラッセルの言葉に他の3人も頷いた。

 森の入り口にテントを張ると交代で食事をする。ここは柵もない草原だ。いつ、どこから魔獣が襲ってくるか分からない。彼らはこれまでの移動中の経験から海に近い草原は魔獣が少なく、いたとしてもレベルが低い。一方で海から少し離れた場所にある森には魔獣の数も多く、海にいる魔獣よりも強い魔獣が徘徊しているということを理解していた。


 ここはそれよりもさらに奥になる。

 食事を終えると寝るにはまだ時間があるので全員がテントの近くで周囲を警戒しながら座って話をしている。


「私達が住んでいたロベルソンの街の周辺にいる魔獣の強さかしら」


「姉貴、それだったら脅威にならないんじゃないの?」


 レミーナとスミスが言っている。


「まだ分からないが。森の入り口付近でロベルソンくらいの強さ、奥に行くともっと強くなる気がする」


「どうして分かる?」


 ラッセルがカイルを見ながら聞いた。


「女神の啓示だよ。普通の魔獣の強さならあんな言い方はしない。今でもかなり強い魔獣がいて、今ならまだ俺たちで倒せる。成長したら俺たちでは倒せない。だから今のうちに倒せという話か、あるいは今でもある程度の数がいるが放っておくともっと数が増えてくるぞという話か」


「俺たちってこの5人のことよね」


 やりとりを聞いていたローズが言った。


「俺はそう思っている。5人が力を合わせて倒せる強さだ。つまり結構強いのがいるってことだよ。覚悟しておいた方がいいと思う」


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