店内散策
ルーネの家もとい店
「さてと、此処ね」
「う、うん」
「どうしたの? ルーネ?」
(どうしたも、こうしたも、ないとおもうんだけどね……まあ言わぬが花ってってやつかな)
シルベリータの言葉についてアルシーはこう思った
とうのルーネ本人はおなかを押さえていた
「シル、ふつう私たちみたいなクラスの貴族はこんな下町の店なんかに買い物に来ないものなのよ」
「そうなの?」
「私たちの領内だと普通に買い物できるってのが普通の事なんだけどね、王都だとそういうわけにはいかないみたいね」
「そうなんだー」
すると店内からサーシャとルーネの両親が出てきた
「本日はわが商店に足を運んで頂き誠にありがとうございます! 汚い店ですがどうかご容赦を……」
「あら、そうんな事? 特に気にはしないわよ、ねえシル?」
「うん!」
「あ、ありがとうございます!」
「ちょっとルーネこっちに来なさい……」
「お母さん……」
そういって二人は店の奥に入っていった
「では、店内へどうぞ」
「この店は何を売っているのかしら?」
「は、はい! 私どもの店は魔道具を主体として日用品から食料まで幅広く扱っております!」
ルーネの父は案の定緊張しっぱなしである
「へえ、すごいわね」
「アルシー! この魔道具みて!」
「へえ、そんな物まであるんだ」
「それの良さに気が付くとは……」
驚愕の表情を浮かべていた
「ふふふ、私たちはその辺の貴族の令嬢とは違うのよ」
「アルシー? どういうとこ?」
「シルは他に面白そうなもの探してくれないかしら?」
「うん! 見てくるね!」
シルベリータがパタパタと駆けていった
「さて、ルーネの父上、少しいいかしら?」
「は、はい!」
(私が居るの絶対二人とも忘れてるって……)
そういうミーナの心の声
因みに彼女は入口付近で椅子に腰かけていた
(さて、ルーネは何時戻ってくるのかしら?)
貴族組のやる事は気にしない事にして母親につれていかれたルーネを待っていた
「まあ、ざっと見させてもっらったけど」
「…………」
「いい腕してるわね、貴方」
「へ?」
「このレベルの目利きの腕があるなら私たちの商売相手としても問題はないわ!」
「えっと……話が見えないのですが……」
「あ、ごめんなさい、私の領内の専属行商人が王都に販路を広げたいってぼやいていたのよ」
「といいますと……」
「わかっているくせにね、ふふ」
「……」
分かってはいても理解できるかは別問題であるが、それほどまでに突拍子もないことだった
「明日正式に打診いたしますわ」
「は、はい!」
「まあ、これだけ多くの物を扱えるということは下町での販路は広そうね、後は貴方が貴族街で商売をする度胸だけね」
「え?」
完全にアルシーのペースである
「まあ、直ぐにとは言わないわよ、そのうちよ」
「は、はあ」
そこに
「アルシー! こんなのあったよ!」
「シル、それは!」
「うん! ”理を超えた魔女”のお話!」
「マジであったのかよ……」
「アルシー、何か言った?」
「なんでもないわよ……でも本当にあっただなんて」
「えっと、アルシー様どういう事でしょうか?」
「いいたくないのだけどね、これ私の母上の話なのよ」
「え?」
「このモデルは私の母上のアーシャ・ラ・ジャンヴァルディよ」
「ええええええ!」
「そんなに驚くことかしら?」
「た、確かにこの本が最近刊行された物です、モデルが存在したなんて……」
「著者がえっと……何やってるんですかねあの人は」
「えっと、どうかいたしましたか?」
「イルマ・マリナって、マジかよ」
アルシーの心情を分かれる人はここには誰もいなかったのであったが
(真里菜さんには本当に驚かされる)
アルシーは母アーシャと、マリナの仲がいい事は二人と話しているうちに理解していたしかし……
(この本は無いわ……)
ページをめくれば厨二病の匂いしかしなかったのである
(呪文とか……これは無いわ……、てかあの人絶対拗らせてた人だ!)
その真偽はさておき
「あ、あの……」
「どうかしました?」
「その本は……」
「そうね、買うわ、おいくらかしら?」
「え、銀貨3枚です」
「意外ね……結構高いのね」
この世界の通貨事情は次の通りである
石貨
銅貨
水晶貨
銀貨
金貨
白金貨
魔銀貨
緋金貨
交換レートは順に
石1000→銅1
銅100→水晶1
水晶100→銀1
銀100→金1
金100→白金1
白金100→魔銀1
魔銀100→緋金1
であるが、石貨はほぼ使われていない為、実質的には銅貨が最低の硬貨である
魔銀は俗にミスリル
緋金はオリハルコンと呼ばれる金属でできている
因みにアルシーは水晶貨を集めるのが趣味である
それを見ていたシルベリータはというと魔銀貨に調味を持ち集めているのだが、如何せん高い
凄く高い
なのでアルシーはシルべりータの誕生日には各国の魔銀貨をプレゼントすることが多い
それはさておき、水晶は魔法の保存媒体として非常に優れた素材であるため、水晶貨には魔法がかかっている
ある意味、水晶貨の価値が魔法により定められている為、すべての国において同じ貨幣レートで取引できているのだ
そして一般家庭においては金貨が一枚あれば一年は生活できるといわれている
「アルシー? たった銀貨三枚だよ?」
「私たちの感覚としたらそうね、でもこの本は庶民向けに出されているわ、それなのに銀貨三枚っていうのは結構高いのよ」
「そうなんだ!」
「まあ、そのうちもっと安くなるわ、きっとね」
「アルシー、こんなのもあったよ!」
「また珍しい魔道具を……」
シルベリータが見つけてるくものはどれもこれも希少なものか、すごく珍しいものかに限られていたのである
(なんて目しているんだよ、シル……)
アルシーがそう思うのも無理はないのだろう
二人を見ていた店主も
(この方々は普通じゃない! なんで俺の店なんかに! でも、これはチャンスであることに違いはない……)
儲けがでるのは目に見えている
しかし、心労で死んでしまいそうだと感じていたのであった




