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課題

アーシャと別れた後、アルシー達はアルシーの部屋に戻った


「ミーナ、これ」

「ルーネ、これだよ!」


と、二人は自分たちが使っていた杖をルームメイトに渡した


杖はかなり使い込まれているが、状態はかなりいい


「アルシー、本当にいいの? これ……」

「シル、やっぱり貰えないよ……」


「気にする必要はないわ、ルーネも素直に貰っておきなさい」


「でも……」


「どのみち母上から他の生徒には渡されるのよ」


「でも、二人がずっと使っていたものなんじゃ……」


「母上曰く自分の杖は一本にしておきなさいって」


「先生はもし杖を買い替えるなら今まで使っていたものは売りなさいって言ってたの」


「だから、ミーナもルーネも遠慮しない」


「そうだよ!」


「「わかったよ(わ)」」


その後他愛もない話をした後シルベリータとルーネは自分たちの部屋に戻って行った


アルシーの部屋にはアルシーとミーナ、ルーミアだけになった


「アルシーは今からどうするの?」


「ん? 俺か? 今からこの課題やるけど」


「どんな課題?」


「見てみるか?」


「うん」


アルシーはミーナに課題の紙を渡した


「……えっと……何これ?」


「えっとな、空間魔法における空間転移時の衝撃について」


「?????」


「そりゃそうだよな……、まあ、そのうち教えてもらうと思うけど、空間魔法って知ってる?」


「うん、空属性の魔法だよね?」


「そうだよ、その魔法の一つの空間転移っていう魔法を使うことで人体に与える衝撃について調べよっていうもの」


「え? それって転移魔法の事?」


「そうとも言うね」


「一回使ったことあるのだけど……それって」


「はは、そんなに心配しなくてもいいって! 町と町を結ぶ転移陣はその衝撃や弊害を取り除いて発動するようになってるからな」


「そうなんだ」


「これで調べるのは……まあ見てて」


「うん」


「”空間転移”」(さっ)


「え? アルシー?! どこ行ったの!」


「ぐへっ」


なんとも少女が発した声とは思えない変な声が寝室から聞こえてきたのでミーナは急いで寝室に入った


「アルシー! 大丈夫!」


「いてて、転移先のイメージが漠然としすぎたな……ああ、大丈夫だよ」


「よかった、急にいなくなったからびっくりしたよ!」


「悪い、悪い」


「今のが?」


「そう、”空間転移”」


「本当に大丈夫なの?」


「この距離ならね、まあ転移した先が部屋の天井だったってのはびっくりしたけどね」


「え?」


「ああ、気にしないでくれ、この距離であの衝撃だと……確かに危険か」


「アルシー?」


「ああ、ごめん、これで課題ができそうだよ」


「それはよかったね」


「じゃあお茶でもしようか」


「うん(さっきのもお茶じゃなかったのかな)」


「ルーミア!」


「はーい、なんですか?」


「いつものお願い」


「はいはい」


ミーナは貴族のお茶というのを知らなかっただけだった


ちょっとして


「えっと……アルシーこれは?」


「お茶だけど?」


「どうしてこんなにお菓子が……」


「お茶にお菓子は当然だ」


「作法とかは……」


あ、それ地雷だよなとアルシーは思った


「そうでしたね、今度お教えしないと!」


案の定ルーミアが食いついたのだが


「…………」


「ふふ、そうなると思った」


「ミーナ様、キツイ方か、早く終わる方かどちらがいいですか?」


「えっと……ふぇ?」


アルシーは端で聞きながら『同じじゃね?』という感想を抱いた


「あ、ばれました?」(てへ)


「ルーミア、可愛いけど言ってることが凄く黒いって」


「どっちでも同じですよね?」


「はい!」


わかりきっていることではあったのだが、ミーナは軽く絶望していた


「今度こそ程々にね」


「善処します!」


ルーミア、元気は良いがほんとに善処するのだろうか


「それにしても……今日のお茶は何?」


「えっと、ルイス様から送られてきたものですけど……確か『プリンスオブアルマーニャ』だったかと」


「うはっ、ルイスの奴なんて物を……」


「アルシー?」




以下アルシーとルーミアのコソコソ話


(これって精神衛生上ミーナに言うべきかな?)


(いや、アルシー様、私とこんな感じで話している時点ですでに怪しいですよ!)


(でもな、このお茶箱で金貨5枚だぞ)


(そうなんですか!)


(お前も知らんかったんかい! でどうしよう?)


(うーん……)




コソコソしているのはどう見ても怪しい


ミーナは耐えかねて聞いた


「アルシー? どうしたの?」


「いや、なんでもないよ」


「そうですよ! ミーナ様、このお茶が凄く高いという、あ」


「……え?」


「ルーミア……」


「すみません!」(てへ)


「え? どれくらい?」


「箱あたり金貨5枚です」


ルーミアーーーー!

こうアルシーは心で叫ばずにはいられなかった


なんで言ったのか! と


「ふぇ……ぇえええええええええ!」


「ルーミアが正直すぎる……」


この時絶叫したミーナであったが、この2週間後のお茶の席ではすでに気にならなくなるという適応力を見せるのはまた別の話です







所変わってシルベリータとルーネの部屋


「シル、今から何かするの?」


「ううん、特には……あ、でも課題やらなきゃ!」


「どんな課題なの?」


「アルシーは難しいって言ってたけど……えっと、簡単に言うと空間転移における衝撃について。 えっと……あ! この前教わった魔法だ!」


ルーネは一瞬でこの課題がどれだけ異質なものかを理解していた


「えっと、『一回近くに転移して衝撃を確かめましょう』、どこに転移しようかな?」


「……シル、その魔法って」


「どうしたの?」


「うん、なんでもない」


「へんなルーネ、よし! アルシーの所だね!」


「シルちょっと待って、いきなり転移したらアルシーが驚くよ!」


「あ、そうだね!」


「隣の寝室とかは?」


「そうする!」


ルーネはルイスの言っていたことの本当の意味がわかった


「えっと『転移先をよくイメージして魔法を発動しましょう』、よし! ”空間転移”」(さっ)


「シル?!」


「やったー」


隣の部屋から声が聞こえてきたのでルーネは寝室へ入った


「シル?!」


「成功したよ! でも、ちょっと痛かったよ……」


「大丈夫?」


「大丈夫だよ!」


実はこの空間転移はこんなに簡単に発動するものでは無い


アルシーはともかくシルベリータが初見で成功させているのは彼女が正真正銘の天才であるということである


ルーネはそのことがよくわかっていた、なんせ彼女も同年代では天才と言われる域にいる人間であるから


まあそれはミーナにも共通していることではあるのだが


「シルはどうしてこんな魔法が使えるの?」


「私もアルシーのお母様に教わっていたの!」


「アーシャ様に! どうして?」


「良く知らないの、でも貴族の間では5歳になると魔法の勉強を始めるって風習があるって聞いたよ!」


だから魔法使いに貴族が多いのかとルーネは今まで抱えていた疑問が解けたので納得顔だ


「私とアルシーはお隣さんだからアルシーのお家で魔法を教えてもらっていたの!」


「えっと……シルってフォンダー侯爵家だよね?」


「うん!」


「アルシーはジャンヴァルディ侯爵家だよね?」


「そうだけどそれがどうしたの?」


「う、うん、ちょっと興味があって」


ルーネが感じたのは同じ侯爵同士が親密だという点

なぜなら彼女の中では同じ爵位を持つ貴族同士は牽制しあっているという認識だからだ



ルーネのその認識に大きな違いは無い


ただ、例外が数家存在するということである


その一例がフォンダー侯爵家とジャンヴァルディ侯爵家である



「ルーネの家ってどんなことしているの?」


「私の家? 商人だけど」


「商人! という事はお店があるのかな! 今度連れて行ってね!」


「え? う、うん、いいよ」


ちょ、ちょっと待って。 シルがくるような店じゃないのに何言ってるの私!

と心で自分の言動に後悔を感じていたルーネだが


「やった! アルシーとミーナも誘って、あ、夕飯っていつだった?」


シルベリータは既に行く気まんまんである


「シルベリータ様、先ほど昼食をとられたばかりではありませんか」


サーシャがそう答えてきた


「あ、そうだった!」


「しかし、なぜそのようなことを?」


「時間がありそうだから、今から行けるかなって」


「え?」


ルーネは知らない、この二人の貴族の娘の行動の速さを


「行けますね」


「ルーネの家のお店ってこの町にあるの?」


「う、うん」


「じゃあ行こうよ! アルシーに言ってくる!」


「あ、し、シル?!」


「行ってしまわれましたね」


「サーシャさん! どうしたらいいですか!」


「まあ、諦めるしかないかと」


「そ、そんなあ!」


「貴方の家に伝えてきましょうか?」


「いいの、サーシャさん? じゃなくて、お願いします、サーシャさん!」


「わかりました、あ、地図は不要ですよ」


「え?」


「シルベリータ様の周辺の身元は既に総洗いしてますので」


「え……」


「では、行ってきます」


「あ、はい……」


サーシャがでて行ったあと残されルーネは


「本当に貴族って大変なんだ……」


と呟いた


食事の作法といい、そう考えていたルーネであった

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