アルシー誕生の日
「おぎゃああああ」
気が付いたら赤ん坊になっていた
最後の記憶は通勤途中のに運転してた車が事故ったという記憶
……あれ?
まさか、これって俺死んだのか!?
んで赤ん坊ってことは……
まさかの異世界っすか……
=====================================
[ドルイ・ラ・ジャンヴァルディの日記]
皇紀4045期 アルダーノの月 二つ
我が家に初の授かりものが生まれた
彼女は元気な姿を我等に見せてくれた
我の正妻も無事で何よりだ!
初の子供が男児でないのは些か残念ではあるが、我等の子供に変わりはない
かわいくないわけがない!
それにこの国では女児が家督を相続しても問題はないからな
これで我が家の断絶の恐れはなくなった
一安心である。
皇紀4045期 アルダーノの月 三つ
正妻とともに子の名を考えた。
聞くところによると既に名前は考えていたらしい
我は聞いていないのだがな。
彼女が提示した名、それは”アルシー”
生まれた月の名を冠してつけたらしいが・・・・・・
些か釈然としないが、悪くない名だ
我にもいい名が浮かばない以上、この名がいいだろう!
=====================================
皇紀4045期 アルダーノの月 三つ
ジャンヴァルディ侯領の侯都ルクトリンゲンは、今までに無いぐらいのお祭り騒ぎとなった
理由は至って簡単、侯爵に初娘が生まれたからだ
「おい、今日はどうしたって言うんだ?」
「何? お前知らないのか? 侯爵様のお子が生まれたんだよ!」
「何? ドルイ様のか!」
「そうだよ」
「だからか」
「それに、侯爵様が市井に資金を投じて下さったおかげで、今日はどの店に行っても金がいらねえらしいぜ!」
「「なんだと!」」
「お前等もそこでしゃべってないで、酒場行くぞ!」
「「おう!」」
ルクトリンゲン城(侯爵邸)
「ドルイ、そんなに大盤振る舞いして大丈夫なの?」
「心配はいらんよ、来月に開催予定の祭りの資金の一部を充てたのだ」
「え、それだと・・・・・・」
「アーシャ・・・・・・お願いが・・・・・・」
「はぁ、わかりましたよ・・・・・・私を火薬代わりにするのもあなたぐらいです」
「すまん!」
侯爵 ドルイ・ラ・ジャンヴァルディ
その妻 アーシャ・ラ・ジャンヴァルディ
ちなみにアーシャは魔法使いである
そしてドルイが今日に充てた祭りの資金は・・・・・・お祭りの際に打ち上げる花火代なのであった
ゆえに彼女に火魔法でのパフォーマンスをお願いしたのだった。
その年のお祭りは例年にない盛り上がりを見せたとか……
そうして、平和に時が過ぎ、五期の月日が経った