1 プロローグ:勇者に裁かれる
初めて投稿させていただきます。
よろしくお願いいたします。(全5話)
異世界に来て8年、今日までこんなことが起きるとは思わなかった。
動揺する俺に剣を突き付けている『勇者』が言った。
「この悪人め、裁きを受けろ」と。
俺が異世界に来たのは8年前、山の中をさまよい、気づいたら異世界にいたというわけだ。
ワープゲートを通った覚えもないが、魔物と呼ばれる怪物に出会ってここが地球じゃないと理解した。
近くの村にたどり着いたときは、こちらの言語がわからず苦労したが、意思疎通ができたので、農作業を手伝いながら、読み書きを習い、居候をさせてもらった。
数か月滞在した村を追い出されるように出て、いわゆる冒険者というものになった。
冒険者になる前、最初に異世界に来たとき偶然倒した魔物から得た経験値を元に神殿でレベルを上げ、幸先の良いスタートを切った俺は、仲間と共にパーティーを組み、様々な出会いと別れを経て、失意の中で冒険者を引退したのが3年前である。
以降、辺境の地を開墾し、奴隷を買って身の回りの世話をさせ、小作人を雇った。また、地主である俺に対する土地代の回収などは奴隷に任せて隠居生活を過ごしていた。
そして今日、『勇者』を名乗る男が率いる5人の武装集団に襲撃され、剣を突き付けられているわけである。
『勇者』が言った。
「貴様は貴族でもないくせに、貧困に喘ぐ小作人から土地代と言って金や食料を取り立て、私腹を肥やしている。
また、多数の奴隷を奴隷契約により制限をかけて、非道なことを繰り返している。
更に貴様は小作人が顔を知らないことをいいことに、夜な夜な人を斬って隠れていると聞いた。申し開きの必要もない。皆の前で処刑してくれる。」
そうして俺は猿轡を噛まされ、広場に連れて行かれた。




