一話「ドキドキ!サイバーファイト!」
少し前に書き溜めていたもののストック放出となります。拙い部分もありますが温かい目でお願いします。
2XXX年。
時代はサイバーファイトが一世を風靡していた!
サイバーファイトとは!各々の用意した「電脳甲冑」を身に纏い、電脳闘技場にて一対一で相手の甲冑がブッ壊れるまでバッチバチに殴り合うドッキドキでワクワクの近未来スポーツである!
「おい、今日の配信見たかよ!」
スマホ片手に興奮する中学生、渋木は金子の席でぴょんぴょんしている。
「落ち着け。授業始まるぞ?」
金子はサイバーファイトの話になるといつも無表情。あんなに流行ってるのに興味ないのかな。
キーンコーンカーンコーン。
つまらない授業が終わり、僕たちは学校を後にする。
「あー、そうだ渋木。サイバーファイトの観戦チケットが2枚当たったんだ。お前にやるよ。」
友達でも連れてけ、とサイバーファイトの話をするといつも嫌な表情をする金子が珍しくチケットを差し出してきた。
「どうせなら俺ら2人で行こうぜ?」
金子は目を白黒させている。まさか自分が誘われるとは思わなかったんだろう。
「お前にゼッテー好きにさせてやるよ。サイバーファイト。」
金子の中で何があったのか知らないが、僕の好きなものを好きになってくれたら嬉しいから。一緒にこの世で一番好きなものの話したいから。
呆れ顔の金子の手を引いて、僕たちはウキウキで夕焼けに向かって走った。
もちろん僕も好きだったんだよサイバーファイト。あの日が来るまでは。
あの日から-2日。
金子は珍しくカテイノツゴウとやらで学校を休み、一人で帰ってた帰り道。
それにしてもカテイノツゴウってなんの病気なんだろう。
ゴッ。イッテ〜。ゲンコツ落とされたみたいな痛みがする。
なんだコレ?
「もしかして…コレって…!!」
「あのサイバーファイトの入場パスじゃん!!!」
キラキラ輝くサイバーファイトの入場パス。
入場パスとは観戦チケットとは当然異なり、選手がサイバーファイトにエントリーする際に使うパスである。このパスにはスーツが紐付けられており、このパスを使うと電脳甲冑を身にまとって戦えるようになるのだ!
要するに、サイバーファイトにエントリーできるってこと!
僕はウキウキしながら入場パスを宝物のようにしまい込んで家に帰った。
あの日から-1日目。
「ちゃんと観戦チケットは持ったか?忘れ物はないな?人が多いから紛れないようにするんだぞ?特に今回の試合は〜…。」
金子がお母さんみたいになってる。
へへっ分かってますよ!大会が始まる前に紛れ込んで、エントリーの時間にこのパスを掲げればいいんでしょ?
なぁんて金子には当然内緒である。
謎に包まれたヒーロー!あの憧れだったサイバーファイトに俺が参戦してやるんだ!
「そろそろ始まるぞ?オイ、どこ行くんだ…!お前サイバーファイト好きだろ?始まるって言ってんだろうが!!」
叫んでる金子を尻目に人混みを掻き分けてバックヤードへと駆け出していく。
「すみません!遅れました!」
燦然と輝くパスを渡し、バックヤードに我が物顔で入る。
「遅刻はしないでくださいね?」
「って、これエントリー情報抜けありますよ!」
ゲゲッ。拾ったものなのバレちゃった?
「ほら、肝心なヒーロー名が空っぽ。」
「今でいいから入れちゃってください!」
サイバーファイトも結構ルール緩いのかな。僕でも入れそうだ。
ー第一回戦ー
「レースクイーン」vs「ブロックシェル」
「さぁ始まりました第一回プリズム杯。今回は特別枠。普段の賞金争いと異なり、今回の戦いの覇者には権利として『夢を叶えられ…」
ド派手な実況とともに真っ赤なメカチャイナドレスを身にまとったヒーローと硬そうな甲羅を持ったコンクリのカニみたいなヒーローが戦っている。
「観客の方でも初めてだよって人もいると思うので、ルール説明です!
『ルール其の一! プリズムコアを破壊されたものは失格となる!』
これはスーツに埋め込まれている『魂』みたいなもんで、どこに埋め込んでも大丈夫!エントリー時、スーツを発注するときにどこに埋め込むかオーダーできます!
『ルール其の二! 一度エントリーしたら後戻りはできな…」
控え室で実況を見ながら金子は気が気でないんだろうなぁと考えてしまうけど…。まあいいか、アイツも試合を見て考え方が少しでも変わってればいいな。
おっ、レースクイーンが足技でブロックシェルの甲羅を壊したぞ!
「レースクイーンの『オールドロップ』がここで決まった〜ッ!!!!」
と、全身をタイヤで全方位から蹴り飛ばすレースクイーンの「必殺技」、「オールドロップ」で腰に埋め込まれていたブロックシェルのコアが破壊された。
当然ブロックシェルは失格。
スキンヘッドにタオルを巻いたコワモテのブロックシェルは無念と言いながら消えていった。ブロックシェル昔からお父さんが好きだったんだけどな~。最近は弱くてがっかり。年かな。
ー第五回戦ー
「サンダーナイト」vs「スプラッシュ」
「スプラッシュさん、出番ですよ。」
ついに俺の番が来た。ポーズもちゃんと考えてある。
名前に関してだけど、しぶきだからスプラッシュ。子どもの頃から考えてた俺だけのヒーロー名。ついに夢が叶うときが来るんだ!
「さぁ〜!次の戦いも対戦相手が出揃いました!」
夢にまで見たサイバーファイト。ついに僕もヒーローか…!
対戦相手は真っ黄色のトゲトゲヘアーのサンダーナイト。奇抜な外見してるけど…。
「今回はよろしくな。勝っても負けても、後悔のない戦いにしようぜ。」
良かった礼儀正しい人だ…。
「こちらこそ、お願いしますね。」
とかペコリと頭を下げて…!
「赤コーナー! サンダー〜〜〜〜〜〜〜!!!!ナイトォッ!!!!!!」
サンダーナイトが紫のマフラーをたなびかせて電脳闘技場に進んでいく。
キャーという歓声が上がってサンダーナイトの背中は見えなくなった。
「青コーナー! スプラッシュ〜〜〜〜〜〜〜!!!!」
金子はビックリしてるだろうな。客席で倒れてるかもね。フフと笑みがこぼれる。まさか僕が出てくるとは思わなかっただろ!
「それではいざいざ見合って見合って〜〜〜〜〜〜〜!!!!」
「『『着装』ッ!』」
サンダーナイトと睨み合っていた目の前が真っ青な光に包まれる。




