俺の名前はルウィン!
お久しぶりです、作者です!
まずは11日ぶりという、かなりの長期間の更新停止になってしまい、本当に申し訳ありません……!
実は高校の生活(部活や学業など)がバタバタと忙しくなってしまい、なかなか執筆の時間を確保することができませんでした。
待っていてくださった読者の皆様には、ご心配とご迷惑をおかけして本当にすみません。
大変お待たせいたしましたが、ようやく第5話を投稿することができました!
今回は、ルウィンの名前が決まる超重要な回であり、王女様との出会い、そして物語が一気に大きく動き出すターニングポイントになっています。
少しでも楽しんでいただけたら嬉しいです。それでは、どうぞ!
「……大人しく同行してもらおうか!」
弁明の余地もなく、俺は王都の騎士たちに拘束された。
サナと引き離され、連行されていく。冷たい地下牢に放り込まれ、一生光を見られない覚悟すらした。
だが、騎士たちに連れ出された先は、豪華な王の屋敷の一室だった。
部屋の最奥、最も高い上座に置かれた椅子に、その女性は座っていた。光を反射してきらめく、美しい金髪。
その顔を見た瞬間、俺の脳内に半年前の記憶が激しくフラッシュバックした。転移してすぐ、メルル村の薄暗い酒場で、酔っ払いに絡まれていたあの金髪の女性――。
最高権力者であるヴァレンティナ王女は、最初は不審者を検分するかのように怖い顔をして俺を睨みつけていたが、俺の紅白の錦鯉模様の髪の毛を見た瞬間、その美しい瞳を丸くした。
「えっ……あ、あの時の!? ちょっと待って、嘘でしょ!?」
まるで地球のJKのような素の反応でヴァレンティナは椅子から立ち上がった。
俺を捕まえた名門騎士ジット・エクスカリバー騎士団長が、顎が外れそうなほど驚愕して王女を見る。
「ヴァ、ヴァレンティナ王女!? い、いかがなされましたか! この不審な魔力を持つ者を、このまま生かしてはおけません!」
その瞬間、ジットから凄まじい殺気が俺に向けて放たれた。
だが、半年間シラ師匠の地獄の修行に耐え抜いた俺の身体は、無意識に反応していた。
――シュッ!!
激しい風切り音と共に、俺の指先から極細の水の刃――初見殺しの『水カッター』が放たれ、ジットの頬を正確に掠めて背後の柱を深く切り裂いた。
「なっ……!?」
「おいおい、そう簡単に人に殺気とか向けるもんじゃねぇぜ?それに俺はあのシラ師匠の弟子だぞ? ——俺の『術』は、あんたらの生ぬるい魔法とはワケが違うんだ」
ジットが驚愕のあまり硬直する。一歩間違えれば首が飛んでいた。その場にいた全員が、俺の圧倒的な実力と異常な速度の魔法に息を呑んだ。それはヴァレンティナ王女も同じだった。
「ちょっと待って、君ってもしかして転移者!? 本当に魔法の『ま』の字も、魔力の概念すらもない世界なの!?」
玉座から駆け下りてきたヴァレンティナは、俺の両肩をガシッと掴み、顔を限界まで近づけてきた。その瞳は見たこともないほどギラギラと輝いている。
「サナから聞いたわよ! 『インターネット』だっけ? 手のひらサイズの板ひとつで、世界の裏側の人と顔を見て話せるって本当!? それに『ヒコーキ』! 風の結界もなしに、金属の塊が何百人も乗せて雲の上を音速で飛ぶなんて……流体力学だかジェットエンジンだか知らないけど、そんなの神の領域じゃない! ねぇ、そっちの地球ってのはどうなってるの!? ああっ、もう耳から煙が出そう……!」
「……は? え、あ、あの……?」
あまりの豹変振りと、聞いたこともあるようでどこか耳馴染みのある「チキュウ」という単語の洪水に、ルウィンは完全に思考がフリーズした。
一国の気高き王女が、完全にただの早口なオタクと化して息を荒くしている。その距離わずか数センチ。名門騎士ジットをはじめとする周囲の大人たちは、顎が外れそうなほど驚愕して固まっていた。
「……そ、その話は、またいつかしますね……!それより、顔が…顔が近いです………!」
俺は冷や汗を流しながら、引き気味にそう絞り出すのが精一杯だった。
「で、殿下……!? な、何を仰って……このガキは国家反逆のスパイの容疑が——」
「うるさいわジット、少し黙っていなさい! 今はそれどころじゃないの!それにこの方は私の命の恩人よ!……それにしても、あの時より若返っている?
王女は俺の前に駆け寄り、尋ねた。
「おっと、ごめんね。先に、なぜあの時メルル村に?と気になるでしょうが、実はあの時の酔っ払いはクーデターの勢力だったの。今まで私の護衛の魔法使いとして君臨していた男に裏切られ、私は絶体絶命の状況だったのよ。それをあなたが救ってくれたの。……お名前を伺っても?」
「そう、だったんですね。名前……ですか……」
俺は必死に脳の記憶領域を探ったが、異世界の呪いで記憶が出ない。
「たしか、あか、あかま……? る、りゅ……あーーー! クソ、忘れた!!」
頭を抱えて悔しがる俺を見て、ヴァレンティナはクスッと小さく微笑んだ。
「ふふ、うろ覚えなのね。じゃあ、あなたに新しい名前を授けるわ。あなたの記憶の『あかま』と『る』……そして私の『ヴァレンティナ』から響きを取って――今日からあなたの名前は『ルウィン・ヴァレンツ・アッカーマン』よ」
ルウィン・ヴァレンツ・アッカーマン。
俺は自分の胸に手を当て、力強くその名を刻むように口にした。
「……よし。俺の名前はルウィン! 今日からこれが、俺の本当の名前だ!」
失われた過去に囚われず、この世界で新しく生きていく覚悟が決まった。
俺の本当の名前が何だったとしても関係ない。この世界で『ルウィン』としてのし上がり、何が何でもお姉ちゃんを救い出してみせる。
王女から直々に無罪放免を言い渡され、俺は名前を授けてくれたお礼として、彼女の目を真っ直ぐ見据えて言った。
「王女様、素晴らしい名前をありがとうございます。俺はお人好しなんで……もし何か困ったことがあれば、いつでも頼ってください!」
「ええ、ありがとう、ルウィン」
王女は嬉しそうに微笑み、俺を解放してくれた。
◇屋敷を出た俺は、待たせていたサナと無事に再会を果たした。
目的だった「お姉ちゃんを探すための世界地図」を大きめの本屋でなんとか買い求め、ほっと一息つく。
「急に連行されたから心配したんだからね。で、結局どうなったのよ?」
「いや、実はさ……」
俺はかくかくしかじか、あの王女が最初の酒場の女性だったこと、そして新しい名前を授かったことをサナに伝えた。
「はは、ルウィン・ヴァレンツ・アッカーマン……。なんだか、すごく格好いい名前だね!」
サナが心からの満面の、にっこりとした笑顔で俺の新しい名前を呼んだ。
「っ……! あ、ああ。まあな」
不意打ちの笑顔の破壊力に、俺は顔が少し赤くなるのを自覚しながら、誤魔化すように視線を逸らした。
「よし、地図も買えたし、ひとまず宿に戻って作戦会議を――」
そう言って歩き出そうとした、その時だった。
本屋の並びにある大通りの雑踏の中、ひときわ華やかな、しかし酷く不安そうなオーラをまとった女性とすれ違った。お忍びのフードを被っているが、間違いない。ヴァレンティナ王女だ。
先ほど、ジットの殺気を一瞬で制した俺の桁違いの実力を目の当たりにし、さらに「いつでも頼ってください」と言われた言葉が、彼女の頭に残っていたのだろう。
フードの隙間から悲痛な表情を覗かせるヴァレンティナは、すがるような目で俺を見つめ、震える声でこう告げた。
「ルウィン……もしかすると、このマレストラ王国は、近いうちに戦争状態に陥るかもしれません。……それを、あなたの力で止めてもらえるでしょうか?」
――世界の命運をかけた、俺たちの物語が、いま真に動き出す。
第5話を最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました!
どれだけプライベートや高校生活が忙しくなろうとも、この物語の投稿は何があっても絶対にやめません! ルウィンたちの冒険、そしてお姉ちゃんを救う最後のゴールまで、責任を持って絶対に書き切りますので、どうか安心してついてきてください!
今回のルウィンの活躍や、王女様の意外すぎるギャップはいかがでしたでしょうか?
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次回、第6話のタイトルは「12歳の不法入国」です。
ここからルウィンたちの、まさかのスパイ作戦が始まります。お楽しみに!




