コンカラーという男 18
「クソッ!時空の聖女なんて聞いてねぇぞ…!」
長年生きている俺ですら、見たこともない存在だ。
その実力は未知数。
あんな……こっちに向かってVサインしながら「ピースピースー」とか言ってるような奴でも最大限警戒しなければ足元をすくわれかねない。
「る、ルミナス様…!ちょっと…!」
「はい、ルミナスですが、なにか?」
「いえ…そのように挑発みたいなことをするのは如何なものかと……」
「えー、ダメー?」
そんな時空の聖女を、薄い黄色の髪をした女が止める。
しかし、時空の聖女は不満があるのか、ブーブー文句を言っている。
(おそらく、時空の聖女は瞬間移動的なものが使える…それに出来るかは分からないが、俺の時間を止められたら終わりだ。その前に創造の聖女だけでもなんとかしないと……)
時間を止めるなんて神業、もし使えたとしてもいろいろと条件があるはず。
しかし、それを探る前に創造の聖女が邪魔してくるだろう。
そして、創造の聖女の相手をしていては、時空の聖女を止めることは出来ない。
(……詰みか。一旦退くか?)
冷静に考えてどうしようもないことを察し、素直に退くことを考える。
いくら魔族としてのプライドがあろうとも、無謀なことをするつもりはない。
退くべきときは大人しく退くのが、本当に賢いというものだ。
(そのためにも奴らの隙を探らねぇと……ちっ、なんで俺が逃げるためなんかに隙を探さなくちゃならないんだか……)
心の中で文句を言うが、そうしないとやられてしまうので仕方なく隙を探す。
……そのとき、急に後ろから気配がした。
「__っ!コンカラー様!」
空間転移してきた気配を感じ、後ろを振り返るとそこには緑色のローブとフードをかぶった二人組の姿があった。
その内の一人が俺の名前を呼ぶ。
「……ちょうどいいところに帰ってきたな、ドール、マスル」
このフードの二人組は俺の部下で、女の方がドール、男の方がマスルという。
理の聖女を捕まえてこいと命令していたために今まで別行動をしていたのだが、たった今それが終わって戻ってきたらしい。
持たせていた使い捨ての転移魔法が使える魔道具を使えば、この距離も一瞬で移動出来る。
つまり、今この二人がここにいるということは、無事理の聖女を捕まえてきたということだ。
……だが、辺りを見回してもそれらしい人影は見えない。




