激情 3
「__いや、ごめんね?驚かせるつもりはなかったんだよ」
部屋の奥から声とともに人影が姿を現す。
「……セルパン殿下!」
そこにいたのは《《私の愛しの相手》》。
セルパン・ソル・シャーユ殿下だった。
綺麗に切り揃えられた、テクノカットの金髪。
王族を象徴する、まるで宝石のように美しい金色の瞳。
その姿は、ただそこに立っているだけで尊く、麗しい。
さすがは、私が唯一お慕いしている人だ。
「謝らないでください。私が変に驚いてしまっただけなので……」
タッタッと、セルパン殿下のもとに駆け寄る。
やっぱり美しい。
その美しさのあまり、ご尊顔を直接見ることができないほど。
恥ずかしくてついつい視線を下に下げてしまう。
……手くらい握ってもいいですよね?
それでも好きな人に触れたくて、勇気を振り絞りセルパン殿下の右手に手を伸ばす。
「……ああ、やっぱり恥ずかしいです…」
しかし、恥ずかしさのあまり途中で手を引っ込めてしまった。
まるで乙女のようにモジモジしてしまう。
「……へぇ、あの薬が効いていてもここまで理性が働くものなのか…薬の効きが悪いのか、メアリー嬢が特別なのか…興味深いな……」
右手を口元に当てて何やら小さい声で呟くセルパン殿下。
声が小さくて何を呟いているか分からない。
「セルパン殿下…?どうかしましたか?」
「…いや、何でもないよ、メアリー嬢」
そう言って、セルパン殿下は私に微笑みかける。
「あ………あ、あわわ…!セ、セルパン殿下…!」
私は一瞬その微笑みに見惚れてしまうと、途中で見つめてしまっていることに気づいて恥ずかしくなって慌てて視線をそらした。
「フフフ…可愛いね、メアリー嬢…」
そんな私を見て、セルパン殿下は目を細めて笑う。
さっきとは違い、今度は目が離せない。離したくない。
ああ…もう我慢できない。
身も心も全部捧げたい。
「セルパン殿下……私……」
「…いいよ。君の望むとおりにしてあげる。さあ、こっちにおいで…」
私の気持ちを察してくれたのか、セルパン殿下が私に向かって右手を伸ばしてくる。
ああ…ついに結ばれるのですね…
これから起きることに期待して、私はゆっくりと目を閉じた。




