激情 4
____ガシッ!
「……お前、一体何をしようとしている?」
妾に伸びてくる腕を空中で掴み取った。
「ぐっ!な、なんだ!?」
ネッチョリとしたいやらしい目つきに、無礼にも小汚い手で妾に触れようとしていたので、思わず悪寒が走って必要以上の力で掴んでしまった。
男の腕がミシミシと軋む。
そのためか、痛みに歪んだ表情をする男。
男は咄嗟に妾に掴まれた手を振り払おうとする。
妾も別に触れていたい訳ではなかったので、男の腕を解放した。
すると、男は予想していた抵抗がなくて勢いが殺せず、後ろにたたらを踏む。
妾に掴まれていた腕を押さえながら、ハァハァと荒い息を吐く。
「…なんだは妾のセリフだ。誰の許可を得て妾の身体に触れようとしている?」
「貴様……魔王だな…?」
「おお、妾のことを知っているのか。で、お前は一体何なんだ?」
冷えた目で男を睨みつける。
男は一度深呼吸すると、軽薄そうに笑いながら余裕の態度に変わった。
「…僕のことかい?僕は君の想い人さ。忘れちゃった?」
そう説明しながら、なおも軽薄な態度を崩さない男。
何か、自分は絶対に大丈夫だと確信を持っているかのようだ。
そして、妾に手を出そうとして拒絶されたにも関わらず、余裕な態度の男に少しイラッとした。
「…忘れるも何もお前のことなどそもそも知らん。何が想い人だ気持ち悪い…」
「っ!?」
冷たい視線をそのままに思ったことをそのまま口にする。
すると男はすごく驚いた表情になった。
「何故だ…薬が効いていないのか…?」
「……薬だと?妾にそのようなものが通じると思うか?妾は魔王であるぞ?」
フン、と鼻を鳴らす。
「それよりも、薬ごときで妾をどうにかできると思われていたほうが心外だな…お前、黒焦げにしてやろうか?」
右の手のひらを上にして自身の胸の前に構える。
バチバチッと音が鳴り、手のひらから雷がほとばしる。
「うわっ!」
その一部が、男のすぐ足元の床を抉った。
男は驚いてその場から慌てて飛び退く。
妾は、少し痛い目を見せてやろうと雷がほとばしる手を男に向けた。




