激情 2
「……どこですか?どこにいますか?」
ここは王城。
私はあれからすぐに自身の寮を抜け出し、その足でそのまま王城にまで来ていた。
王城に着いたとき、普段ならいるはずの警備の人がおらず、仕方なくそのまま王城の中に入る私。
いつもなら目的を伝えればその場所まで誰かしらが案内してくれるのだが、今回はそれがいない。
あの人がどこにいるかわからず、広い王城をひたすら歩き回って探すことになってしまった。
「うーん、ここにもいないですねぇ……」
手当たり次第近くの部屋を見て回っているが、あの人どころか人の気配もない。
あの人の私室に行ければそこにいるのだろうが、それがどこか分からない。
こんなことなら、昔王城に来たときにしっかり王城のレイアウトを覚えておけば良かった。
夜なので灯りも消えてて、窓から入る月明かりしかなく、どことなく薄暗い。
「……あ、あれは…?」
そのとき、遠くに灯りが点いているところを発見する。
私は、吸い寄せられるように灯りに近づいていった。
「あ、灯りがいっぱい……もしかしてこれを辿ればあの人がいる…?」
灯りが点々と壁にそって点いている。
それから私は、何かに導かれるようにその灯りを追って壁際を進んでいった。
そして、ある扉の前まで来ると、そこで灯りが消えていた。
「…ここにきっとあの人が……」
私は意を決してゆっくりと扉を開ける。
一歩一歩と中に入ると、部屋の中は灯りが点いていないようで、外の廊下と同じ窓から入る月明かりしかない。
部屋の扉から手を離すと、ゆっくりと扉は閉じていった。
扉が完全に閉じると、部屋がより一層暗く感じる。
少し不安になってきた。
「えっと……いるんですか?」
人の姿が見えず、徐々に大きくなる不安から思わずいるかも分からない相手に声をかけてしまう。
そのとき__
コッ……
「誰っ!?」
急に部屋の中から足音が聞こえてきて驚いてしまい、音がした方にバッと顔を向けた。