緑鬼の王、再び 41
「ほう…合体魔法か。それでこの我を仕留めようというのか?」
キングゴブリンは一歩、プレシさんたちの方に近づく。
私は、そんなキングゴブリンの前に立ちふさがった。
「行かせません」
「行かせない?我を止めるつもりか?一体どうやって?」
「どうやって?もちろん、こうやってですよ」
私は構えをとる。
武器を失ってしまった今、私に残されたものは己自身しかない。
「ほう。なら、こういうのはどうだ?大地を司る精霊よ、巨人となりて我が敵を討て!ガイア・ゴーレム!」
その瞬間、空中に赤色の光り輝く玉が出現する。
そして、その輝く玉に向かって土やら岩やらが集まろうとして__
「そんなもの、完成する前に潰せばいいんです」
私は、土やら岩やらが集まる前に、コアと思われる光り輝く玉に向かって思いきり蹴りを放つ。
すると、光り輝く玉は全身にヒビが入ると、そのまま粉々に砕け散ってしまった。
集まろうとしていた土や岩は、集まる前にその場に落下する。
「なるほど、やるではないか。ならば、正々堂々正面からお前を打ち負かし、ゆっくりとあいつらを血祭りにあげるとしよう」
キングゴブリンも構える。
私の彗星をくらって大剣もハンマーもどこかに落としてしまったみたいで、キングゴブリンも何も持っていない素手の状態だ。
私とキングゴブリンの間に、ものすごい緊張が走る。
お互いの隙を探り合い、一歩も動かない永遠とも思える静寂。
しかし、その均衡もある出来事によりあっさりと壊れた。
戦いの余波でなぎ倒された木の枝の一本が折れ、地面に落下する。
そして、地面に枝が落ちたその瞬間、事態は一気に動き出す。
まずキングゴブリンが前に踏み込み、右ジャブを放つ。
私はそれに手を添える形で力をいなし、キングゴブリンの方から見て右側、つまり外に向かって避ける。
そしてその勢いのまま回転し、キングゴブリンの右脇腹に肘を入れようとする。
しかし、キングゴブリンはこれを素早くジャンプすることで回避。
キングゴブリンは空中で両手を握ると、そのまま落下と共に私に向かって渾身の一撃をお見舞いする。
私はそれをバックジャンプして避ける。
地面にキングゴブリンの拳が命中し、そのあまりの威力に亀裂が入り、地面はめくれ上がって破片が周囲に飛び散る。
私はそれを冷静に避ける。
よし、この程度ならなんとか耐えられます。
プレシさんたちとも距離があるから、余程のことがない限り攻撃に巻き込まれることもありません。
あと少し…耐えきってみせます!