緑鬼の王、再び 40
「これでやれていれば簡単なんですが、恐らく……」
あることを懸念してキングゴブリンが飛んでいった方向を見ていると、その懸念は姿を現した。
「……いいぞ…こんな技も隠し持っていたとはな……それでこそ我が宿敵に相応しい…!」
やはり生きていた。
まだ私の一撃から回復しきれていないのか、足元がおぼつかない様子。
というか、勝手に宿敵とか気持ち悪いことを言ってますが、私はそんなの認めた覚えはありませんので。
あくまでも私は健全なので。
チラッ、とプレシさんたちの方を流し目で見る。
…順調に準備ができていそうだな。
と、そのとき、耳から聞き慣れた声がする。
((__メア!こちらはもうすぐ準備できそうです!こんなことを任せて本当に心苦しいんですが、あと少しだけ…どうかよろしくお願いします…!))
ヴィサス様の魔法の、音に指向性を持たせて直接届ける魔法だ。
これのおかげで、私はキングゴブリンにバレずにヴィサス様たちと会話することが出来る。
私は無言で小さく頷くと、耳から「頼みました…!」と聞こえてくる。
私の頷きをちゃんと認識できたようだ。
さて、この調子で行けば無事に__
「……なんだ?様子がおかしいな。そういえばあいつらもおらん…これは何かしているな?」
「っ…!」
ヤバい!
私の流し目が見られていたのか、小さく頷いたのが見えていたのか知らないが、キングゴブリンがキョロキョロしだす。
私はバレないように、慌てて口を開く。
「……はっ!何を言っているのですか?私の実力を恐れて、話しをしてうやむやにしようってことですか?結構臆病者なんですね。そんなんで私の宿敵とか言ってるとか、ちゃんちゃらおかしいですね」
「……なんだ、ずいぶんとよく喋るじゃないか。お前、我と会話するのも嫌がっていた口だろう?誤魔化し方が下手だな」
「…くっ!」
私が苦し紛れに誤魔化そうとして挑発しても、全然靡かない。
さっきはこれで引っかかってくれたのに、さすがに二度目は無理だったようだ。
私は悔しさと恥ずかしさのあまり、思わず歯噛みする。
そして、私の言うことは無視して再びキングゴブリンは辺りを探し出した。
「さて、一体何を…………ああ、そういうことか…」
「っ…!!」
キングゴブリンの視線がある一点に集中する。
これは完全にバレた。
キングゴブリンが見つめる先、そこには、プレシさんたちが合体魔法を準備しているところだった。




