緑鬼の王、再び 38
「そらそら、どうした?もっと楽しませてみろ!」
キングゴブリンの攻撃はさらに苛烈さを増していく。
「ぐっ!このっ!」
ガギィィンッ!!
私は、再びキングゴブリンの攻撃にハンマーを合わせる。
甲高い音と共に衝撃が辺りに伝播して、地面に亀裂が入る。
そして、私はその衝撃の反動を利用して大きく後ろに飛び退いた。
額に汗をしたたらせ、ハァハァと肩で息をする私。
キングゴブリンの攻撃が激しすぎて、息をつく暇もない。
距離を取った隙に少しでも体力を回復しなければ……
「いいぞ…もっと我を楽しませろ!」
キングゴブリンはまだまだ余裕の様子。
あれだけの攻撃を仕掛けてきたのに、息が上がっている様子もない。
この野郎……こっちはこんなにキツイのにまだあれだけの余裕があるなんて……
なんだかムカつきますね…
しかし、いい具合に私に注意が向いている。
このまま続けていれば、時間も十分稼げるだろう。
幸い、あれくらいの攻撃ならもう少し耐えられる。
今は守りに集中し、注意をこちらに引き寄せなければ。
私は、さらにハンマーを強く握る。
「…そう言えば、他の奴らがおらんな。何かしておるのか?」
一旦攻撃するのを止めたせいか、キングゴブリンに周りを見る余裕が出来ている。
今はまだバレる訳にはいかない。
「…っ!他の奴?そんなのどうでもいいじゃないですか。私が邪魔だから遠くに行ってもらっただけです」
「……それもそうだな。お前以外の奴は相手にならんし、いても邪魔なだけだ。それに仮に何か企んでいたとしても無駄だ。その上で、お前たちを叩き潰すだけだから……な!」
何とか誤魔化せたようだ。
私の言葉に納得したのか、キングゴブリンは会話を切り上げると同時に、大剣を振りかぶりながら私に迫ってきた。
私は、再びハンマーを構えた。
そこに、キングゴブリンは勢いよく大剣を振り下ろしてくる。
私はそれを、今度は受け止めることはせず、身体を捻ってギリギリで回避。
そのままの勢いで回転して、裏拳で殴るようにハンマーをキングゴブリンの脇腹に叩きつけた。
「ぐうっ!それは中々効いたぞ…!」
しかし、ハンマーの勢いが足りなかったのか、吹っ飛ばすにまでは至らない。
そして、そのハンマーを掴みながら苦々しくも楽しげな顔をこちらに向けるキングゴブリン。