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公爵令嬢は、元魔王です?  作者: ゆー
本編 11
159/379

緑鬼の王、再び 35

「__その程度か?」


「なっ!」



キングゴブリンの両腕はみるみるうちに治っていく。



「なるほど。これがお前の言う本気を出さない理由か?だが、この程度の力では我を傷つけることはできぬぞ」



そう言って、私に放った拳のパワーを上げる。


私はさらに、地面にめり込むように下がってしまう。



「このっ!メアリー様を離せ!」


「くっ!」



イーリスとヴィサス様はさらに追加で魔法を放つが、キングゴブリンは気にする素振りも見せない。


先に私を潰すつもりだ。



「まだわたしたちがいるぞ!」



そのとき、わたしの後ろからプレシさんとレセプさんが飛び出してきた。



「大地よ、我を守護し我に力を!ウェポン・アース!」



プレシさんの足元の地面が盛り上がり、一つの形を形成していく。


それは、先ほどプレシさんたちがゴブリンオーガとの戦いで見せた、巨大なハンマーだった。


それを、思いきり振りかぶる。



「くらえ!プレシハンマー!」



よくわからない掛け声とともに、キングゴブリンの左腕の肘の部分をハンマーで思いきり叩く。



「うっ!?」



急に肘を殴られ、力の方向がズレる。



「ぐっ!」



その隙に、力を左にそらして私は右に逃げる。


キングゴブリンの左腕は、そのまま地面に突き刺さった。




ドゴォッ!!




凄まじい衝撃とともに、大地に亀裂が走っていく。



「そこです!」



そこにレセプさんが空中に飛び上がり、小刀を二本キングゴブリンの頭に向かって投擲する。


しかし、小刀はキングゴブリンの頭に当たると、甲高い音を響かせて刺さることなく落ちてしまった。



「くっ!この程度では刺さりもしませんか…」



小刀が刺さらないことに不愉快そうな表情になると、レセプさんは空中で身を翻して地面に着地する。



「どうした?これで終わりか?」



以前、余裕の表情のキングゴブリン。


地面に刺さった左腕を引き抜くと、右手に持った大剣を肩に担ぐ。



このままでは火力不足が否めない。


やはり、私が全力を出すしかないのだろうか?

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