緑鬼の王、再び 33
「とにかく、我の部下たちをこんな目に遭わせたんだ。ただで帰れるとは思っておるまい?」
「くっ!」
キングゴブリンからの圧力が増す。
私は思わず身構えた。
『これは妾の不始末。代わってくれるなら、妾が憂いなく終わらせるが?』
内側からルナが語りかけてくる。
自分がしっかりとトドメを刺しきれなかったからだろう。
しかし、私はゆっくりと頭を左右に振る。
「いえ、ここは私にやらせて下さい。あのとき、私はみんなを守りきれなかった。その借りを今、返させてください」
『……そうか。そなたがそこまで言うなら任せよう。妾は暇つぶしに寝るとするかな』
ルナが内側に引っ込む気配がする。
というか、最近寝すぎでは?
「メア!私も加勢しますよ!あのときのように一人にはさせません!」
そのとき、後ろからヴィサス様が駆けつける。
あのとき、私一人に戦わせたことを後悔しているのだろう。
よく見ると、足が小刻みに震えている。
キングゴブリンの恐怖を克服した訳では決してない。
それでも、あのときのように後悔したくない。
その思いだけで、恐怖をねじ伏せここに立っている。
しかし__
「ヴィー。申し訳ないですが下がっていてください。その気持ちは嬉しいのですが、相手が相手です。アレが相手では危険すぎます、ここは私に任せて__」
「絶対に嫌ですっ!!」
「!」
強い意志のこもった言葉に、私は思わず振り返る。
身体は震え、目尻に涙をためながらも必死な表情のヴィサス様がそこにいた。
それを見て私は、ゆっくり前に向き直った。
「……わかりました。ヴィー、背中は任せましたよ」
「っ!はいっ!」
私の言葉に、ヴィサス様は嬉しそうに返事する。
それに私は、クスリと笑った。
「……話し合いは終わったか?それでは、楽しもうではないか」
ついにキングゴブリンが動き出す。
わざわざ私たちの話が終わるのを待っていたみたいだ。
前に戦ったときも正々堂々と戦うことに拘りがあるみたいだったし、不意打ちは趣味ではないらしい。




