緑鬼の王、再び 13
「こ、これは一体…!?」
「薬草採取の依頼をしていたら、偶然ゴブリンオーガが出てきまして、それを討伐してきました」
ここは冒険者組合の入口のすぐ横。
イーリスが受付の人を外に呼んできて説明している。
受付の人はイーリスの後ろにあるゴブリンオーガ五匹を見て、驚いて言葉が上手くでないようだ。
それを見て、私は小さくため息をついた。
私たちはあれから薬草採取を切り上げ、ゴブリンオーガを持って帰ることにした。
五匹もゴブリンオーガが出るということは、近くにそれなりの規模の巣があるということだ。
このままでは近くの村や私たちがいる街にまで被害が及ぶ可能性がある。
これは出来るだけ早く冒険者組合に報告し、対処してもらおうということで少し早めに帰ることにしたのだ。
ヴィサス様は風の魔法を使って一匹運んでくれるとのことで、一匹は任せることにした。
そして残る四匹だが、イーリスは聖女の魔法しか使えない。
聖女の魔法に物を運べるような便利なものはないため、仕方なく私が四匹を山のように重ねたまままとめて担いで運ぶことにした。
「すみませんメアリー様…」
「まあ、仕方ないですよ」
何故か無属性魔法を知らないという。
無属性魔法なんて、魔力があれば平民ですら、生活を便利にするために多少なりとも使っているのが普通なのに。
……そうだ、今度私が教えてあげよう。
魔力だけならいっぱいあるようだし、魔力操作の方も悪くない。
弟子としていっぱい可愛がってあげよう。
「__ん!?な、なに!?」
ブルルッ!といきなりイーリスが身震いする。
どうしたのだろうか。
風邪でもひいたのだろうか?
これから私と毎日楽しい修行をしなければいけないのだから、健康には気をつけてほしいものだ。
「ゔー、寒気が止まらない…なんで?」