緑鬼の王、再び 14
そうですね……やはり修業といえば山が定番ですかね?
いや、海も捨てがたいです。
水の抵抗も使えそうですし、無理矢理水の中に沈めれば命の危機を感じ取って何か目覚めるかもしれませんし。
他には__
「__メアリー様。買取査定が終わりましたよ?」
「…あ、そうですか?」
いけないいけない。
ちょっと物思いにふけっていたら、いつの間にかイーリスが目の前に立っていた。
いかんせん、私は殺気のない者の気配に鈍い。
戦闘中なら見逃すことはないのだが…
「それで、肝心の金額なんですが……やはり、どうしても欠損が多いので下がってしまうようです」
「そうですか……」
「…ですが!少し交渉した結果、危険なゴブリンオーガの巣の情報を報告してくれたことと、冒険者組合が見落としていたという謝罪も込めて、金額に色を付けてもらいました!」
「おおー、それでいくらになったんですか?」
「なんと、全部で150万Gです!」
「お、いいですね。よくやりました」
「エヘヘ♪」
少し頭を撫でてあげると、ニッコリと満面の笑みを浮かべるイーリス。
こうしていると、なんだか猫みたいで可愛いですね…
「メアが…メアが…頭を撫でている……!」
それを見て、ヴィサス様がハンカチを噛み締めながら何故だかすごく悔しがっている。
「_フフッ」
イーリスは、チラッとヴィサス様の方に視線を向けると、勝ち誇ったかのように軽く笑った。
「あ、このアバズレが!_」
「ヴィー、ストップ。それに汚い言葉を使ってはいけません」
「うぅぅぅぅっ……だって……!」
今にも飛びかかりそうだったので、私は手で制して止める。
そんな私に、ヴィサス様は訴えかけるような目で見つめてくる。
瞳は潤み、涙が今にもこぼれてしまいそうだ。
そんな捨てられた子犬みたいな目で見られたら、まるで私が虐めたみたいじゃないですか。
「はぁ…わかりました。ほら、こっちに来てください」
「…っ!はい!」
小さくため息をつくと、私は仕方なくヴィサス様を手招きする。
すると、ヴィサス様私の意図を察したのか、さっきまでの雰囲気が嘘だったかのような笑顔で私のもとにすり寄ってきた。
「はい、ヴィーもありがとうございます。いつも助かっていますよ、こんな私についてきてくれて」
ヴィサス様の頭も、イーリスと同じように撫でて上げる。
「フフフ♪フフフ♪」
ヴィサス様は満面の笑みだ。
「…特に役に立ってないくせに同情で撫でてもらおうなんて、なんて厚かましい…」
「何か言いましたか?お情けでメイドにしてもらったイーリス様?」
「は?」
「何ですか?」
「こらっ、止めなさい!」
ゴチンッ!ゴチンッ!
「あいたっ!?」
「きゃっ!」
睨み合っていた二人の頭に、ゲンコツを一発ずつお見舞いする。
「メアリー様ぁ…痛いですぅ…」
「酷いですメア…なんでこんなことを…」
「黙りなさい。貴方たちはすぐ喧嘩して…もっと仲良くできないんですか?」
私の言葉に、二人は顔を見合わせる。
「「無理です」」
「…………はぁ」
この二人、一緒にいるとすぐ喧嘩を始めてしまう。
喧嘩自体が悪いとは言わないが、この二人はいつもしょうもないことで喧嘩を始めてしまうので正に不毛と言わざるを得ない。
どうにかして、喧嘩させないようにする方法はないものだろうか。




