高飛車女は企む 3
「……上手くいきましたか?我が君」
「ああ、ずいぶんとすんなりと、ね」
例の媚薬を令嬢に渡したら、嬉々として受け取り、そのまま行ってしまった。
「…それにしても、我が君も人が悪い。薬の効果はあれではないでしょう?」
後ろからスーッと、一人の男が姿を現す。
「何を言う、ちゃんと本当の事さ。ただ、説明してない部分があるだけ」
「それが意地悪だと申し上げているのですが?」
「いいじゃないか。そのおかげで、僕たちの計画も簡単にいきそうなんだから」
「それもそうですね。我々には、あまり時間も残されていないですし」
「そういうこと。僕たちに手段なんか選んでられないってことさ」
僕は、令嬢が去っていった方向を見てニヤッと笑う。
「薬はちゃんと予定通り作ってあるよな?」
「はい。ちゃんと我が君の体液と混ぜ合わせて作っております。抜かりはありません」
「ならいい。これであの薬はただの媚薬ではなく、強烈な惚れ薬となった訳だ」
「そういうことです。インキュバスの体液と自身の体液を混ぜ合わせ、特殊な製法を用いることで出来る特別な薬。作るのに大変苦労しました」
「ああ、その分効果は絶大だ。なにせ、その辺の令嬢に試しに飲ませてみたら、一瞬の内に僕に愛をささやくようになり、僕に媚びるために自ら股を開くようになったんだからな」
「混ぜ合わせた体液の持ち主に惚れる……これが世に出回れば、一瞬で世界は混沌と化すでしょうね。場合によっては、滅んでしまうかもしれません……それほどに恐ろしい薬です」
そうなったときを想像したのか、男は少し身震いした。
「ああ、わかっている。だが、僕はこの薬を使ってでも必ず欲しいものがあるんだ」
僕は何が何でも手に入れる。
例え、どんなに汚い手段を用いたとしても。
「必ず手に入れてやる……魔王の力を…!」