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【50万PV突破!】いつ、この地位から離れよう。〜勇者の末裔を筆頭に、凄い人たちで構成された組織の代表です〜  作者: とい
10章前編 交易都市ベルシュテット

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今から付き合って

 交易都市ベルシュテット、東地区。大会の登録を済ませたアイト、スカーレット。


「これで大会の手続きも済んだことだし、一旦ここから別行動するか。君も1人でじっくり見たいだろ?」


「はいとても」


 スカーレットの提案に対し、アイトは間髪入れずに同意する。


「ふっ、やっぱり君は面白いな。さすがマリアの弟。揶揄いがいがある」


「それ本人の前で言います?」


 アイトが目を細めて呆れていると、スカーレットはニヒルに笑う。


「それが私だからな。今日はありがとう。おやすみ」


「夕食時にまた会いますけどね!?」


「ふっ。それじゃあまた後で、後輩くん」


 スカーレットは嬉しそうに笑うと、踵を返して歩いていった。まるでアイトの反応を楽しんでいるかのような振る舞いだった。


(色々あった‥‥‥明日はもっと大変かもしれない。でも今は、ようやく舞い降りた自由行動っ!)


 アイトは深呼吸すると、一目散に走り出した。まずは今の服を取り替えるべく、宿屋へと。


「うわっ! これ超綺麗っ、でも高っ!!」


 思わず出てしまう独り言。周囲の女性から訝しげな目で見られたため、アイトは縮こまりながら飾られている物を見渡す。

 アイトが来ていたのは、宝石店。理由は単純明快。宝石が大好きだからだ。価値がある。綺麗。ずっと見ていられる。最悪、換金できる。

 前世では手持ちのお金が足りず、ただ眺めているだけだったが今の世界では手が届く。

 アイトは自制を意識しながらも、目を惹く宝石を見つけたら渋々買ってしまうことがある。

 エルジュの代表になる前は、よく鉱山や迷宮ダンジョンに向かって収集していたほどである(その過程でエリスやミアなど、一部の仲間に出会った)。


 アイトは目を輝かせながら瑠璃色の宝石の値段を確認する。値段を見ると、夢心地から我に返っていた。


(うわ、これ高いな。でも買えなくはないか)


「ーーーこれ欲しいの? 私が買ってあげるよ?」


 すると隣から声が聞こえ、思わず反応してしまう。


「え!? ってそんな上手い話あるわけないよな。都合の良い幻聴が聞こえるなんてーーー」


「いらないの? じゃあどっか行こ」


「‥‥‥ん?」


 なぜか自分を誘ってくる発言が聞こえたため、アイトは声がした方を向く。

 すると自分の視界に入ったのは、宝石なんて比にならないほど輝いている長い金髪。女神と言われても納得の整った顔立ち。

 そんな彼女に白いワンピースは最高に似合っていて、背中には白く美しい翼。


「‥‥‥えっ、え?」


 彼女を見た周囲の女性客も歓喜どころか悲鳴の声が上がるほど昂奮している。

 だがアイトは彼女の外見というよりも、彼女()()に驚いている。


「ーーーて、天使さん!?」


 それはアイトの言う天使さんこと、『使徒』シャルロット・リーゼロッテの登場によって。


「うん。久しぶり、あーちゃん。今から付き合って」


「え」


 シャルロットは僅かに微笑むと放心状態のアイトの手を掴み、瞬く間に店を出る。


「うわぁぁぁぁ!!!?」


「本当に久しぶりだね」


 そして、アイトを連れてそのまま上空へ羽ばたいていった。



 ‥‥‥それから数分後。


「ーーー急に飛ぶのやめてくれませんか!?」


「え、なんで。楽しいのに」


 アイトはシャルロットに引っ張られ、交易都市が小さく見えるほどの上空に連れてこられていた。


(楽しいって思ってるんだ!? ってなんかこの感じ、懐かしいな‥‥‥)


 アイトはシャルロットと久々に再会したことを無意識に懐かしむ。叱ってもいい場面だったはずなのに。


「まさかこんな所で会うなんて。やっぱり私とあーちゃんとは何かで繋がってる」


「いや、俺がここにいるのは偶然なんですけど」


 アイトがそう呟いてやんわりと否定すると、シャルロットは真顔で首を振る。


「いや、違う。偶然を引き当てる、つまり必然だよ」


(あ〜うん。今の発言、天使さんって感じするわ)


 そして全く意味が分からない発言を唐突にぶっ込んでくる彼女を見て、アイトは最早嬉しそうだった。だが、アイトが再会を懐かしんでいたのはここまで。シャルロットに、今1番聞きたいことを尋ねる。



「‥‥‥エリスは? まさかエリスもここに?」



 それはシャルロットの弟子となって、現在組織から離れている少女のこと。アイトが最初に出逢った仲間のこと。


「ううん、あの子は少し離れた森で修行してる。でも今は気が散らないように魔眼の力をほぼ0に抑えてるから、君の魔力にも気づいてない」


 勇者の魔眼により、自分の魔力が探知されてエリスの邪魔をしていないか。そんな心配をしていたアイトだったが、シャルロットの発言で一安心する。


「‥‥‥そっか。エリスの修行は順調?」


「うん。でもごめんね。あの子、自分が強くなった所を君に見せたいって意気込んでたから、修行の詳細は話せない」


「あ、それは全然大丈夫です。俺に図々しく聞く権利は無いんで。でも、エリスが元気そうで安心した」


「‥‥‥ん〜。元気では無いかもね」


 そう言って微笑んだシャルロットを見て、アイトはなんとなく察知して苦笑いを浮かべる。その後、アイトは交易都市に来た経緯を話す。


『え。君、明日の闘技大会に出るの? しかも変装して本気モード? そんなの、私も出るしかない。今日戻るつもりだったけど、明日まで滞在する』


 その情報にしか興味が無かったのか、シャルロットは受付に向かおうとする。


『また明日、すごく楽しみ。じゃあね』


『ーーーまたこのパターンかよぉぉぉぉ!!!?』


 ‥‥‥アイトを上空(その場)で手放して。


(これも君への抜き打ち実力試しだよ、あーちゃん)


 『天帝』と『使徒』は、思わぬところで巡り合ったのだった。

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