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【50万PV突破!】いつ、この地位から離れよう。〜勇者の末裔を筆頭に、凄い人たちで構成された組織の代表です〜  作者: とい
9章 交流戦代表選抜試験

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はみ出し者

 ユニカ・ラペンシアは、怒りを露わにするミアと堂々と対立した。


「なに灰色女?? 新入りのあんたがミアに文句でもあるの???」


 ミアの刺し殺すような視線が一直線にユニカへ向けられる。だがユニカは物怖じせずに軽く息を吐いて両手を振った。


「序列第6位っていうからどれだけ凄いかと思ったけど、呪力が使えるだけの子どもだったなんてね。私が『黄昏トワイライト』に入るのもそう遠くないわね」


 そして躊躇なく挑発的な言葉を言い捨てる。彼女の態度は完全に煽っている。当然、ミアは静かに怒りを募らせて睨みつける。


「は?? あんたに何か言われる筋合いないけど? 構成員どころか『監視対象』のくせに生意気。ていうか話しかけないでくんない??」


「そうね。あなたは自分勝手に解釈して話を歪曲するものね。私から何か話しても無駄だと思うわ」


「はぁ!!? マジで調子乗ってると後悔する事になるけど!!?」


 ミアは声を荒げて睨み、呪力を両手に集め始める。いつ攻撃が始まってもおかしくない。だが、ユニカは全く動じずに両手を広げた。


「好きなだけやればいいわ。それで代表の彼がこの事を知った時、あなたをどう思うか楽しみね」


「っ‥‥‥うるさいっ!!!」


 ユニカの言葉は間違いなくミアに効いていた。ミアが怯んだ瞬間を逃さず、ユニカは畳み掛ける。


「そもそも彼がミストさんに頼んだのは、彼女の暗殺者としての腕を信じてたからじゃないかしら? あの距離を拳銃で撃ち抜くなんて私にはとても出来ない」


 ユニカは自分の意見を話す。それを聞いて真っ先に反応したのはリゼッタだった。


「リーも、できぬ」


「私もできないと思う‥‥‥」


 カンナも後に続く。これでユニカの発言に信憑性が増した。それでミアが反論できないことを利用し、ユニカはまだ話を続ける。


「それにミストさんは生粋の暗殺者。彼を殺すつもりだったなら銃で簡単に殺せてたと思うの。でも実際に彼は生きている」


 彼女の言葉はミアに唇を噛ませた。ミストは援護されたことで涙を溢れさせる。ユニカの話はまだ続く。


「じゃあ『周囲に怪しまれないように重傷を負わせろと指示された』っていうミストさんの言動は騒動を知らない人でも信用に値すると思うけど」


「っ‥‥‥だったらなんだっての!!?」


 ミアは苦し紛れに声を荒げた。だが当然、ユニカの動揺は誘えない。冷静な態度で言葉を紡ぐ。


「もう駄々をこねても無駄だから。これから私やミストさんを殺そうとしてもあなたは正当化されない。組織内で悪とみなされて立場が危うくなるだけよ」


「ミアに知ったような口を聞くなっ!!!」


「はみ出し者だった私には分かるの。あなたには感情を制御する事が必要よ。今のように暴走すればあなたの居場所はすぐに無くなるわ」


 ユニカの諭すような言葉は室内の全員に届いた。だが、ミアは止まらない。


「うっさい!!! そんなのどうでもいい!! ミアはおにいちゃんさえ居れば他には何も要らない! 他の有象無象なんて興味無いのっ!!!」


 彼女の怒声を聞いたユニカは深く息を吐いた。いつまでも噛み続けようとする彼女を一瞥して、告げる。


「ーーー集団の中ではみ出し者になったことすら無いくせに、分かったようなこと言わないで」


 彼女の言葉は、ミアを黙らせるには充分すぎた。ミアは何も言い返せない。他の人も皆黙り込む。

 まるで大人と子どもだった。壮絶な過去を背負う2人でも、考え方が大きく違ったからだ。


「‥‥‥うざっ、あ〜ウザいッ!! 別におにいちゃんが心配なだけで、王都で暴れるつもりなんてなかったし!! 変な勘違いしないでくれない!?」


 それでもミアは謝らない。その仕草が本当に子どもらしい。だが譲歩と取れなくもない言葉を呟き、不機嫌そうに椅子に座る。


「ええ、あなたがそうするとは思ってなかったわ。それに明日は普通に学園だから、医務室で眠ってるローグくんの状態を確認できるから。もちろん確認でき次第、すぐに伝えるわ」


「‥‥‥ほんっとにウザい」


 ミアが目を逸らして愚痴をこぼすと、ユニカは微笑んで踵を返す。


「私の話したい事は全てカンナとミストさんが話してくれました。だから質問が無ければ学生寮に戻ります」


 ユニカは室内を見渡しながら話しかけると、誰も彼女に話しかける者はいなかった。


「それでは、私はこれで失礼します」


 そう言ったユニカは一礼して、会議室から出て行く。それを見届けるラルドは、内心で吐露した。


(まさかあのミアを言葉だけで抑えるとは。魔力と呪力を併せ持つ素質に、あの胆力‥‥‥癪だが、レスタ殿が仲間に引き入れた理由がわかった気がする)


 因縁深い犯罪組織『ゴートゥーヘル』の元最高幹部である彼女ユニカを、ラルドは認めるしかなかった。それは反対派のミストも同様だった。


(今回、彼女がいなかったら上手くいってなかった可能性が高い‥‥‥さすがに、評価せざるを得ない)


 悔しそうに唇を噛みながらも、助けて貰った恩を感じて複雑な気分になっている。

 彼女と同じ暗殺者であるターナは、ひと息つきながら室内を見渡していた。


(完全に皮肉だが、あいつには人の上に立つ器がある。だからゴートゥーヘルの奴らも、最高幹部という地位を与えていたのかもしれない‥‥‥)


 そして扉から出て行った彼女を見送る。だがユニカ本人は当然、そんなことを知るわけもなく。


(仲間内での崩壊はとりあえず防いだ。あとはあなたが何をするか。早く目覚めなさいよ‥‥‥ローグくん)


 彼女はただ、アイト・ディスローグが目覚めるのを待つだけだった。

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