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僕だけの箱庭  作者: 田古 みゆう


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p.6

「心配することはない。キミはまだ若い。すぐに、箱庭に力を食い尽くされることはないはずだ」

「本当に?」


 男はそう言うが、僕は不安を隠しきれず、思わず瞳が揺れる。


「怖いかい?」

「僕、先生に一人で世話をするんだって聞いたんだ。でも僕は、箱庭の世話の仕方なんて、何も知らない。何も分からないんだ。そんな僕に箱庭の世話がちゃんとできるのかな?」

「大丈夫だとも。キミは愛情をもってこの箱庭を見守ればいいんだ。それだけでいい」

「それだけでいいの?」

「そう。それだけでいい。ただし、私のように一部を見るのではなく、全体を見守っておくれ。全体を見て、ゆっくりでいいから、箱庭の傷ついたところを癒しておくれ。キミが望めば、箱庭も応えてくれる。上手く箱庭の世話ができれば、キミも箱庭もずっと長く続いていくはずさ」

「わかった。僕、箱庭をずっと見守っていくよ」


 男の真剣な言葉に、僕の心は決まった。後は任せてくれと伝えたくて、力強く頷いて見せる。


 僕の頷きに安堵したように、弱々しい笑みを漏らした男は、自身の胸元へ手をやり、何かを引っ張るようにして胸元から握りこぶしを離すと、僕の目の前でゆっくりとその手を開いた。


「さぁ。これを受け取って」


 男の手の中では、青い球が弱々しい光を放ちながら、ふわふわと空中に浮いていた。


「これは?」

「Earthの核だよ。これを胸に刻んだ者が世話役となり、箱庭と繋がるんだ」


 僕は青い光を両手で掬うようにして、そっと受け取った。光は今にも消えてしまいそうな程弱い。


「さぁ。早く、それを胸に閉まって」

「ど、どうやって?」

「胸に当てるだけでいい。それで、核はキミの中に入っていくから」


 僕は言われたとおりに、青く弱々しい光の玉を、そっと自身の胸に押し当てる。光の玉はスッと僕の胸の中へと入っていった。


 核が僕の中へと入ってきた途端、僕の中でカチリと音がしたような気がした。まるで、(でこ)(ぼこ)がピッタリと合わさったような安心感が心を満たす。それと同時に、途轍もない寂寥感に襲われた。


 僕の瞳からは、どんどんと水が溢れ出す。拭っても拭っても止まらないそれを、男は辛そうに見ている。


「辛かったよな。苦しかったよな。ごめんな」


 男の目からも、水が溢れ出した。僕は、自分の水を拭うのをやめ、男の頬を流れる水をそっと拭う。


「大丈夫。大丈夫だから。あなたは本当に良くしてくれた。ありがとう」


 それは、僕の口から出たEarthの言葉だった。

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