↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
プロクラトル  作者: たくち
森の世界
83/205

氷の世界

 獣王に勝利するのは困難である。

 シーナの体に宿った氷狼の力は獣王レオル・フリードにより昇華され、本来の氷狼以上に引き出された。


 その力はまだ馴染んでいないにも関わらず、獣化という最後の手段に出たメリィと互角以上であり、今後は更に力を増すと思われる。


 その氷狼の力ゆえに捕らえる事は難しく、シーナの体から獣王レオル・フリードの精神と木製の像に封じられたと思われるシーナの精神を入れ替える事は不可能に近いだろう。


 シーナを救出する為、他に考えられるのは世界樹の攻略だ。

 獣王は月に1度世界樹の頂上で何かをしている。

 それを確かめる為に世界樹の頂上に到達しなくてはならないが、現状30階層から先に進む事は叶わない。


 シン達に残されたシーナ救出の僅かな手がかりは、まだ世界樹に来たばかりの頃に出会ったSランク冒険者達だけだった。

 獣王に付いて何かしらの情報を知っていると思われる桃色の髪の女性に再度接触する以外にできる事はない。


「どれだけの時間がかかるかわからない。1年以上かかる可能性も高いだろうな」


【氷の世界アイシア】は7つの世界で最大の面積を持つ。

 アイシアに潜む未知を求めて数多の冒険者達が集う世界で数少ないSランクとは言えすぐには見つからないだろう。


「そのSランク冒険者を見つける前に1年経ってしまうなら、次の獣王様の世界樹の頂上への訪問に間に合わない。ここに残る者と氷の世界に行く者で分けた方がいいな」


 獣王が次に外の転移魔法陣で世界樹に向かうのはおそらく1年後、そこで世界樹に向かわせるのを妨害するのもシーナ奪還の手がかりとなる可能性もある。


「俺はここに残る。イグジステンス・イーターの力なら獣王に気付かない。監視として必要だろう」


 序列10位アルファスはその能力で獣王を監視する為に、森の世界に残る事を決めた。

 存在を認識出来なくする彼以上にその役目の適任者はいない。


「私は氷の世界に行くわ」


 ユナはシンと共に氷の世界への同行を決める。

 彼女はシンの力となる為に旅に付いてきた、ユナはシンにどこまでもついて行くと決めている。


「わたくしは残ります。シン様と共に居られないのは辛いですが、氷の世界でわたくしは足手まといとなってしまうでしょう」


 悔しさに口を歪ませながらリリアナは言う。

 王族として生きてきたリリアナでは氷の世界の厳しい環境や強大な魔獣に対抗する事は出来ない。

 リリアナは己の非力さを理解している。

 例えどんなに悔しくても足手まといになる訳にはいかないのだ。


「僕はリリアナ様の盾だ。リリアナ様が残るのなら僕もこの世界に残ろう」


 リリアナの判断にエルリックは自身も残る事を決意する。

 リリアナの守護はエルリックの役目である。


「妾はゆくぞ、リリアナが行かないのであれば妾の知識は必要であろう。それに氷の世界に行くのに妾の力が要るはずだ」


 少しずつ魔力が回復しているティナはもう以前よりもひと回りほどの大きさまで残っている。

 ノアが万全でない以上、世界転移には彼女の魔力が必要だ。


「私は、残る。寒いのは苦手」


 ナナは森の世界に残ると決めた。

 戦闘兵器として改造された彼女の体は寒さに弱いらしく、エルリックと共にリリアナの護衛を申し出た。


「メリィは付いてくるのか?」


 獄炎鳥となったメリィはシンの肩に止まる。

 極寒の地でシン達を凍えさせない為に彼女は氷の世界に同行する。


「僕は付いて行くよ。吸引闇虫は何かの役にたつだろう」


 最後にロイズがシン達に同行する事を決めた。

 彼の力は汎用性が高く、未知の氷の世界では役立つ事も多いだろう。


「これで、決まりだな」


 氷の世界アイシアにはシン、ユナ、ティナ、メリィ、ロイズが。

 森の世界にはリリアナ、ナナ、エルリック、アルファスが残る。


 氷の世界から戻るのはどの程度になるのかわからないが、しばらくの間リリアナ達とは別れなくてはならない。


 砂の世界から共に旅をしていた仲間と一時的とは言え別れるのは寂しいがシーナを救う為、シン達は別行動を決意した。


「リリアナ、何か会ったらノアを通じて俺達に連絡をしてくれ。こっちからも定期的に連絡を入れる」


 ノアの使徒であるリリアナ達と腕輪を通じて連絡は出来る。

 別の世界からの通信はノアに負担があるが仕方ないだろう。


「わかりました。シン様、ご健闘をお祈り致します」


「ああ、リリアナ達もな」


「ユナさん、シン様をよろしくお願いします」


「当たり前よ、リリアナもナナの事を頼んだわよ」


 別れの挨拶を終え、ティナが転移魔法陣を描く。

 世界樹の都市ユグンでシン達の拠点と定めたメリィの隠れ家に他の世界に通じる転移魔法陣が青白い光を放ち始める。


「ここからアイシアに行く。転移先は安全な所を妾が見つけ出す」


 転移魔法陣にシン達は乗り込む。

 ティナが魔力を注ぐと青白い輝きは更に強くなった。


 **


「これは、凄いな」


 転移独特の意識のみが移動する感覚の後、目を開けたシン達の目に映るのは白銀に輝く極寒の大地だった。


 真っ白な雪がゆっくりと空から舞い落ち、シン達の体に触れ、溶けていく。

 白銀の世界にユナは感嘆の息を吐き、初めて目にする降り積もった雪をすくい上げていた。


「ここが氷の世界アイシアだ。メリィから離れるでないぞ、獄炎鳥の炎に暖められていなければ妾達は氷の彫像となってしまうからの」


 シンの肩に乗るメリィは燃え盛る体を操り、シン達を凍えさせぬ様に暖を取っていた。

 メリィの力は円形に広がりシン達を囲う様に降り積もった雪が溶け始めていた。


「まずは、冒険者ギルドに向かうべきだの」


 ティナの案内のもとシン達は白銀の世界を進み出す。

 シーナを救い山の証を手にする為、人類の最終兵器とも称されるSランク冒険者を探し求めて。

いつもご覧頂き、ありがとうございます!


もしよろしければ、最新話↓から評価やブクマ頂けると励みになります!


森の世界編一旦終了です!



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。