遺跡探索
「つ〜か〜れ〜たぁ」
疲れたなどと言いながらもシンに背負われながらぐでっとしているユナ、2人分の力を使い歩いているのはシンなのでユナはそれほど疲れてはいないはずだ。
若干イラっとしたので無視をする。
だが無視したら無視したで後ろから嚙みつきなどされるので困ったものである。
「無視すんな!」
「うるせぇ!ちょっとはおとなしく出来んのか!」
「なによ!」
返事をしてもヘッドバットが飛んでくる。
どうすりゃ良いんだなどとシンは思っているが、背負うのを止めるという選択肢はない。
なぜなら背中で感じる2つの柔らかい感触を味わえなくなるからだ。
何故2つで出かけているのかというと、復活したユナが赤姫のメンバーに挨拶しに行ったのだが副長のナナのもとに行き共和国はどうだっか?と問いかけると短く「たのしかった」とナナは語ったのだ。
ナナが楽しいなどと言う事は滅多にない。
それを知ってるユナは「ナナばっかりズルい!私にも付き合ってよ!」とシンのもとへと突撃して来たのだ。
いつも通りレベッカの朝食を食べていたシンはいきなりの事に「へっ?」と間抜けな顔をしていたが、物凄い力で拘束され一気に王都の外まで担ぎ出されてしまった。
だが行き良いよく飛び出したユナだったがどこに行こうか何も決めていなかったらしく、どこか行かなきゃと本能に従ってシンを連れ出したが、その事に気付いたユナはあたふたしてしまっていたのだ。
だが「ボクが良いところを知ってるよ!」と今まで何をしていたが知らないが出て来なかったノアが飛び出して来た。
「どこ⁉︎」
困っていたユナにとってまさに最高のタイミングで現れたノアにくいついたのだ。
「まあまあ、落ち着きたまえ」
と、偉そうにエッヘンと言った様子でノアが語り出した。
どうやら共和国で気になる事があると言っていたのはこの事だったらしい。
今まではその場所の特定を探していたらしいのだが遂に見つけた所で、ユナがシンを連れ出したのがわかったので出てきたらしい。
「遺跡があったんだ!あれは創世期の物だ、何かお宝があるはずさ!」
お宝、そう聞いたユナの目は一気に輝きだした。
さらに遺跡だもともとそういった物を求める冒険に憧れていたのでそこに向かうと決めたのは即決だった。
ノアから詳しい場所を聞いたユナは素早く準備を整え自分のバイクを持ってきて、乗り気でないシンを無理矢理またもや拘束しノリノリでぶっ飛ばして来たのだ。
だが途中から道が無くなってしまい、仕方なく徒歩にて移動しだしたのだが、道は整備されていないうえにかなり入り組んだ地形の山だったので途中から飽きてしまい、「おんぶ!」と言ってシンに飛びついてきたのだ。
最初はお前が出掛けたかったんだから自分で歩けと言っていたが背後を取られている事で自分の不利に気付いたのと、背中の感触に気付き大人しく背負いながら移動して来たのだ。
「まだ着かないの?」
と完全に飽きてしまったユナは聞いてくるが、お前のせいで移動速度が下がってるなどと言ってしまえば無数の攻撃が飛んでくる事は間違いないので「もうちょっとだ」と返しておいた。
「わかった」と大人しくしたユナであったが気付いたら後ろから寝息が聞こえてきた。
のんきな奴だと思いつつ移動を続けるとやがてそれらしき所に到着した。
「ユナ、着いたぞ」
後ろのユナを起こし、ユナが降りると言ったので降ろした。ちょっと残念だ。
「ここね!なんか凄そうじゃない!」
先ほどまでぶーたれていた癖に元気になったユナは遺跡らしき建造物に興味深々だ。
遺跡らしき物はノアの言う通り創世期に造られたのだろう。
年数の蓄積で石造りの建物はボロボロになっていた。
(壊れないよな?)
不安になっていたシンであったがユナはそんな事お構いなしなようでズカズカと入り込んでしまった。
慌てて追い付いたシンだったが建物の内部が予想通り砂やら埃やらを溜め込みかなりむせてきて咳こんでしまう。
ユナも顔をしかめてはいたが砂の世界の住民なので慣れていたのだろう、すぐに建物の内部を捜索して行く 。
「何もないじゃない」
想像していた冒険と違ったのだろう何もない建物に軽く憤慨していた。
何か知ってるだろうノアは何やらしているらしく出て来てくれない、肝心な時に役に立たない奴だ。
壁画みたいなのがあったりしたがあいにくシンとユナには興味がない。
広めの部屋に移動しどうしたもんかと悩んでいたが答えは出ない。
「も〜なんなのよ!」
遂に耐えられなくなったユナがジタバタする。
楽しみにしていたのにこんな事なってショックだったようだ。
だがジタバタするユナがやらかしてしまう。
「うが〜」と暴れているといきなり、ガゴッという音が聞こえた、ああこれ知ってるやつかもしれないと嫌な予感がするシンだったがもう遅い。
「なっ何よ」と理解出来ないユナと共にいきなり消失した床から落下する。
「こんなお決まり本当にあんのかあああああああ」
「きゃああああああ」
重力に抗う事は出来ず、叫びながら落下した2人。
少ししてドスッと着地すると今度は滑り台のような通路を滑り落ちて行く。
「ユナ!捕まれ!」
こんな所で離れ離れになる訳にいかないのでユナを掴み、引き寄せる。
パニックになってるユナを抱きかかえそのまま滑り落る。
暫くするとまたも感じる浮遊感、放り出されたとわかった時にはもう落下を始めていた当然体重の重いシンが下をいきユナが後を追ってくる。
着地の衝撃を2連発でくらいシンは気絶してしまった。
意識を取り戻すと何やら頭の裏が柔らかい事に気付く、そして目を開けると見えてきたのは少し大きめな2つの塊とその奥にあるユナの顔であった。
膝枕されているらしいと結論付けたシンはいまだこちらに気付いていないユナの胸をさわる。
うん、背中もいいがやはり手だな、などと結論付けるとすぐさま拳が飛んでくる。
せっかく取り戻した意識がまたも消失する。
次に目を覚ました時にはもう膝枕はされていなかった。残念に思いつつ体を起こす
「あっやっと起きた!」
気付いたユナに声をかけられ、何もなかったか?と問いかける。
「うん、大丈夫」
そう返事をするユナの顔は赤くなっていた。
実は落下した時に気絶したシンがなかなか目を覚まさないので、心配になったユナはシンを起こす為いろいろと、昔話を思い出してキスをしてみたりしたのだが気絶していたシンは当然そんな事を知らない。
「なんだ?ここ」
辺りを見渡すが落下した事だしどうやら地下にいるらしい。
しかし薄暗くなっていてよく周りの状況がわからない。
地面はサラサラした砂が溜まっておりこのおかげで落下しても気絶だけで済んだのであろう。
「ちょっと待ってろ」
そう言ったシンは魔導具の袋から松明を取り出し火を灯す。
すると薄暗い部屋に明かりが点き視界が開けた。
どうやら何かの通路に放り出されたようだ、一直線に道が続いている。迷路のスタート場所のようだ
「これはもう進むしかないな」
ユナに進む事を言い歩き出す。「手、繋いでもいい?」とユナが言ってきたので手を繋ぎ歩き出す。
実は暗い所が苦手なユナはここがちょっと怖いのだ。
迷路だと嫌だなと、松明をユナに持たせ、右手を壁に当てながら歩き出したがどうやら迷路ではないらしい暫く歩いてもずっと一本道だった。
「あっ!」
とユナが叫ぶ、何やら見つけたらしい。まっすぐ進むと扉が見える。ユナは目が良いな
だが喜ぶユナを尻目にシンは嫌な予感に顔をしかめる。
シンの予想が正しければこの扉の向こうには宝があるだろうがお決まりのように宝を守護するボスの存在があるはずだ。
創世期の建物だ、絶対なんか古代兵器みたいなゴーレムとか物凄い強力な奴がいるはずだ。
こちらは2人、しかも主戦力のユナは元気になったとはいえあの大怪我からの病み上がり、しかも持ってる武器はその辺の武器屋で買った普通の剣だ。
ここまでお約束通りな遺跡だ。
ボスがいない訳がない。
仕方ない、いざとなったら俺が本気を出そうお宝が巻き込まれる可能性があるが死ぬよりは良いだろう。
「開けるわよ!」
シンの不安などお構いなしにユナはワクワクしながら扉を開ける。
やっと冒険らしくなってきた為嬉しいのだろう。
ユナが開けた重そうな割にやけにあっさりと開く扉の先には広い空間があり、何やら魔術文字らしき物が部屋中に描き込まれている。
これ絶対なんか召喚される奴だよとか思いながら部屋に入る2人、そして目に入ったのは部屋の中央。
仰々しく祭壇みたいになっている部分の中央。
そこには何やら半透明なドーム状の結界みたいなのに封じ込められている半分ほど刀身を台座に埋めながら、真っ赤な刀が突き刺さっていた。
「あれ絶対危ない」
そんなシンの忠告を無視してズカズカと台座に向かうユナの姿が恐ろしい。




