ナナの故郷
「なんだ⁉︎これは?」
ナナの案内に従い向かった先には確かに村があった。
「誰もいない?それに家が壊れてる、廃村なのか?」
エルリックも驚き声を上げる、エルリックが言った通りだ。
確かに村はある、だが人は誰もいなくそして家は無残にも壊されている。
「ナナ殿!ここはいったい⁉︎それにこの状況は」
なぜこんな所を知っているのか、これはどう言う事なのか、エルリックはナナに問いかけるだがナナは気にせず先に進み続ける。
「私がやった」
「なっ⁉︎」
進みながら自分がやったと告げるナナ、みんなが驚くなか、平然と進み
「こっち」
短い言葉で先に進む事を言う、驚いたまま進むが村だった場所の光景が目に入る。
村の家は何かに切り裂かれたようなものや爆発でもしたかのようなものもある。
確かにナナは大剣を使う、だがここまで破壊できるのだろうか、と考えていたが目的の場所に着いたようだ。
「ここから道が繋がってる、ここを通れば共和国まで近道」
そうナナが指差すのはこの景色には似合わない鋼鉄で舗装されたトンネルのような所だった。
だが扉らしきものは切り裂かれ、役割を果たせていない。
「ナナ、ここはなんなんだ?明らかにおかしいだろ!」
シンがナナに問い詰める、確かにおかしい。
この場所は明らかに人工的に作られている。
巨大な岩山を削り、中を鉄で整備しまるで要塞のような造りだ。
あちこちに伸びた道を迷いなく進むナナだがその途中で見えるのは何かの研究室のような所だった。
「ひっ」
思わず悲鳴を上げるリリアナ。
だが無理もない研究室の中に見えるのは、白骨だ、それにどす黒く変色した血が散乱している、リリアナは目をそらしうずくまってしまう。
無理もない人の死体など初めての見るのだから、それに1つや2つじゃないどの部屋にも同じものがあるのだから。
切り裂かれ胴体が真っ二つのものや首のないもの、数々の死体が散乱している。
「ナナ!どう言う事だ!説明してくれ」
ナナが訳もなくこんな事をするとは思えない、何があったのか問い詰める。
「ここは、研究施設、表の村はただのカモフラージュの役割だった。でも村人のふりをしていたのは全員ここの研究員だった」
思っていた通りここは研究施設だったようだ。
でもなぜナナはここの事を知っている?
「行われてた研究は、対神用生物兵器『アンチゴッドヒューマノイド』の創造」
タイジン?それにアンチゴッドってどう言う事だ?
「人じゃなくて神、この施設はこの世界の神ミリアスが他の世界の神を殺すために創り出したもの」
そういう事か、自分が神の戦いに勝つためにこの施設を造り、戦力にしようとしてたのか。
「でもなんでナナはこんな所を知ってるんだ?」
ナナの関係性がわからない。
ヒューマノイドって事は戦闘人形でも作ってたんじゃないのか?当然の疑問を問いかける。
「私の本当の名前は、対神兵器試作4057号コードネーム『ナナ』、私はこの施設で作られた戦闘兵器」
戦闘兵器、その言葉が頭の中を埋め尽くす。
なんて事だ、この子はこの施設で生み出された戦闘人形だったのだ、でもどう見ても人間にしか見えない。
「ナナ、お前は機械で出来てるのか?」
つい言葉に出してしまう、衝撃が強すぎて自分が抑えられない。
「違う、完全な人形型は完成出来なかった。私は普通の人間、それを生物実験によって戦闘力を強化された4057番目の被験者なの」
ナナは人体実験の被験者だった。
それも4057人目の、そんなに作られたのか、ナナは強いそれがそんなにいるという事実と人体実験に対する嫌悪感が脳内を支配する。
「そんな、ひどい」
ついに耐えきれなくなったリリアナが泣き出してしまう。
まさか自分の世界の神がそのような事をしている事実に耐えきれなかったのだ。
エルリックも悲痛な面持ちをしている。
「私はこの施設の初めての成功だったの、私以外の子たちはみんな実験で死んだ」
追い打ちをかけるようにナナが話す。
これを話すナナはいつものように感情の読めない顔をしているが、こう感情の表に出さない事も実験の影響だろうか。
「他にこのような施設がこの世界にあるのですか?」
エルリックが聞く、それもそうだこんな実験潰してしまいたい。
「あと2つあった、でも私が潰したからもう残ってない」
淡々とナナが答える。
その答えに安心するがナナに対しどうにも言えない気持ちが湧いてくる。
「私は大丈夫、もう施設を潰したから何も思ってない。それにユナが私を助けてくれた居場所もくれたから怖くない」
そう、ユナがナナをここから救ってくれたのだ。そして赤姫という仲間も。
「シンくん、私怖い?」
ナナがいつものように首を傾げながら聞いてくるそんなの答えは決まってる。
「そんなわけないだろ、俺とナナは友達だろ?」
頭を撫でながらそう答える。
「うん、ともだち」
そう満足そうに答えるナナ、それを可愛らしく思いながら施設を進む。
町に着いたら腹いっぱい食べさせてやろうと思いながら、もちろんリリアナの金で。
だが、一同にはやはり重い空気がながらてしまっている。当然の事だろう。
(空気が重い、しょうがないか)
と思っていると
『ミリアス、あの性悪女こんな事してたのか』
「うおぉ!」
「どうしたシン!何かあったか!」
いきなり声をかけてくるな、思わず声が出てしまった。
なんでもないとエルリックに言ったが何か疑いの目を向けられてしまった。
『返事はしなくていい、人が多いからね』
いきなり声をかけてきたノアがそう答えてきた、まったく驚かせやがって。
『言った通りだろう?ミリアスはこういう事をする奴だとは思っていたが、ここまでの事をしているとは、人間はあいつの道具じゃない』
珍しく怒った様子のノア、ミリアスって奴はなかなか性格の悪い奴見たいだ。
ノアに言われるくらいだから想像以上なんだろう。
『しかし、潰されているのなら良かった。さすがにあれだけの戦闘力を持った者が量産されたら他の神に勝ち目はないからね』
ナナの事を知っていたノアは安心したように言った。確かにその通りだ。
『気分が悪い、早くこんなところからは出るんだ』
そう言って念話が途切れた。
しかしいきなり出て来ないでほしいものだ、心臓に悪い
その後狩って本当に大丈夫か?」と何度もエルリックに聞かれたが問題ないと言っておいた。
こんな場所にいるからだろう、心配になるのも無理はない。
ノアが言った通り早く出ていきたいものだ、そう思い移動速度を上げてもらった。
*******
「今日はこの辺りで寝る事にしましょう、近道しましたが町はまだ遠いです」
日も暮れていたので野宿する事に。
野宿と言っても王族車両にはテントや食料、寝具が生活魔法でしまわれているため、キャンプのような感じになる。
すると、リリアナについて来たメイド達が手際よく作業を進める。
正直シンやエルリックにする事はない。
「ごはんとってくる」
ナナがそう言ってどこかに走り去って行く。
心配なのでついて行こうとしたら見失ってしまったので大人しく待っていた。
すると30分ほどで戻ってきた。
「たいりょー」
そう言いながら背負ってきたのは、ナナの5倍の大きさはあるであろう大きな馬のような動物だった。
なんでも沢山食べるため狩りは得意なようだ、ほんと俺とエルリック何もしてないな。
しかし意外な事にエルリックは料理が美味かった。
ナナの狩って来た動物を華麗に捌きメイド達が絶賛するほど巧みに料理を作っていた。
どんだけ才能あるんだよ、完璧超人か。
やめろエルリック、俺たちは役立たず組だろ。
そんな事されたら俺だけ無能の烙印を押されてしまう。
「シン様はいて下さるだけで良いのです、お座り下さい」
手伝っていた俺だったが、どうやら邪魔をしていたらしい。
それを見たリリアナが席について大人しくしろと言ってきた、ちくしょう俺だってやれば出来るんだ。
「ごちそうさま」
大量の料理を綺麗に食べ尽くし、就寝する事になった。
どうやらナナは実験の影響で大量に食べる必要があるようだ。
「燃費が悪い」と本人が言っていたので、お前は機械じゃない燃費とか言うんじゃないと言ったらちょこんと膝に乗ってきた。
可愛いやつだ、相変わらず無表情だが。
夜、テントに入るとナナがやって来た。
「一緒に寝る」と言って布団に入ってきたので一緒に寝る事にした。
やはりあの場所では特別な感情があったのだろう。
辛い事を思い出したに違いない、それにしても妹がいたらこんな感じなのだろうか。
シンはそのまま寝てしまったが、別のテントではいつも通りリリアナが「むきー、あの子またシン様の所に⁉︎ああ、私も行きたいのに!」と騒いでいた。
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