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都市伝説事典  作者: ニカイドウ
幽体離脱編
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22話 花子の鏡とそのスペア

 花子は話し始める。それは、花子が消えた時に起こった真実……。


「……あの日。タケルの世界の旧校舎3階奥の女子トイレが、動く人体模型の暴走に巻き込まれ瓦礫と化したあの時……。あの場所にあった花子の鏡も同時に破壊されてしまった……。」


「……え?花子の鏡?」


 聞いたことのない言葉に疑問符を浮かべるタケル。


「……それこそが私……トイレの花子さんの本体。そのキーホルダーに使われた鏡の事よ。」


 タケルは鏡のキーホルダーを見る。


「これを作った鏡が花子の本体だって……?」


 驚くタケル。話を続ける花子。


「ええ。そして、本来なら本体が破壊されれば私も消滅するはずだった。でも、タケル達の住む元の世界には夜の学校という表裏一体の世界が存在し、さらにそこには花子の鏡と対になる鏡が存在してくれたわ。それが花子の鏡のスペアとして機能してくれたおかげで、私は消滅せずこの夜の学校の女子トイレに定着出来た。でも、消滅を免れたとしても、元の世界に花子の鏡が無い限り、私はそこへは戻れない。だから私はあなたを呼んだ。そして、2つの世界の繋がりが薄い現在では直接行き来が出来ないと解り、タケル、あなたを繋がりの濃かった一年前へ飛ばしたの。あなたを過去の夜の学校から時間移動させ、私のいる現在の夜の学校へ連れて来るためにね。それもこれも、元の世界の花子の鏡を復活させるためなのよ!」


「花子の鏡を復活……それが出来れば、花子は元の世界に戻って来れるんだな?で、俺は何をすれば良いんだ!?」


 タケルが花子にそう問いかけ、花子が口を開こうとした正にその時、女子トイレ入り口前に異様な気配が膨れ上がる。


「……な、なんだよこの気配……!?」


 まず最初にタケルが声を上げる。


「……正に今、夜の学校にいる全ての都市伝説がこの女子トイレ前に集まったようね。これだけの数に結界なんて無意味だわ……。」


 花子の喉がゴクリと鳴る。緊迫感が2人を縛り付ける。体が動かない。


 カツ……カツ……

 足音が響き、入り口から何者かがタケルと花子の元へと歩み寄る……。

 タケルも花子も入り口から目が離せない。


「……こんなとこに隠れてやがったか都市伝説ぅ……。」


 そう言って、入り口の向こうから現れたのは、黒のスウェットのジャージ上下を着た20歳前後の長身細身の男。髪は肩までの長髪で、前髪で顔がよく見えない……。


「……え?」


 タケルはどれだけの数の化け物共が入って来るのかと身構えていた分、たった1人の男に拍子抜けする。そして、話しかける。


「おいっ!外にたくさんの化けモンがいただろ?大丈夫だったのか?」


「……。」


 男の返事はない。


「……なんだこいつ?」


 タケルはそう言って花子を見る。変な奴が来たと同意を得るためだったが、タケルの見た花子の姿は今がそんな状況じゃないことを伝えていた。

 身体中に汗をびっしょりと掻き、驚き、怯えた表情のまま固まる花子……!

 花子は無理やり口を開く。


「……タ、タケル、良く聞いて。この夜の学校に人間なんて存在しないわ。この男は人間じゃない……。しかも無数の都市伝説の気配がする……この男からね。」


「!!」


 タケルはその男を見た目だけで判断してしまっていた自分の浅はかさに気付く。

 改めて男を見ると、先程から感じる異様な気配はこの男が発しているとわかる。

 その時、男の前髪から目が覗く。


「はっ!」


 タケルはその目に見覚えがある。


「そ、その目……!どこだ?どこがで見たぞ!!」


「キシッ!」


 男は奇妙な笑い声を上げてから、タケルに向かってこう言った。


「誰かと思えば君かー?あの日以来だねぇ。」


 男はタケルに近づく。


「ど、どこかで会ったか?」


 タケルは恐る恐る男に聞く。


「何だ。覚えてないのか?あそこだよ!一年前くらいに理科準備室で……。」


「!!」


 タケルの記憶の扉がこじ開けられ、あの日の記憶が呼び覚まされる!


 理科準備室にある大量のホルマリン漬けのビン。その中にあった眼球のホルマリン漬け。

 その眼球が男の目に似ているような気がした。

 タケルは、その時面白半分に作った話を思い出す……。



 ある日の深夜、学校に殺人鬼が忍び込んだ。

 その日、学校には、まだ1人の先生が残っていて、殺人鬼は、その先生ともみ合いになった。

 そして、先生は、誤って殺人鬼の持つナイフで殺人鬼を刺してしまった。殺人鬼は、心臓を刺されて即死だった。

 その先生は、理科の先生で、殺人鬼を108の部分に切り、ホルマリン漬けにして、理科準備室に隠した…。

 今も、理科準備室には、その108のホルマリン漬けが隠されているという。

 そして、深夜になると殺人鬼の108に分かれた部分が元に戻ろうと動き出すのだという…。



「……ま、まさか、殺人鬼のホルマリン漬け?あれは、あの時俺が即席で考えた作り話のはず……。」


 タケルは言った。


「おいおい。俺がまるでフィクションみたいに言ってくれるなぁ。そうよぅ。俺はあの時のホルマリン漬けよぅ!……今は、ホルマリン漬けの殺人鬼って名乗ってるけどな。聞かなかったか?吉川って幽霊によ?」


 ホルマリン漬けの殺人鬼は、そう言ってニヤリと不気味な笑みを浮かべた……。



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