7話 ウワバミ蛇子
連日投稿7日目です。
「くゥーッ!面白クなっテ来たヨ!さァ、指狩りジャンケン2戦目始めるネ!2人トモ準備ハ良いカ?」
珍さんは興奮している。いや、珍さんだけじゃない。この場にいる全員が妙な興奮状態の中にいる。
そして、御堂タケルも例外ではなかった……。
「ちょっと待ってくれよ珍さん!」
タケルは珍さんに声をかける。
「どうしたネ?御堂タケル……。」
「……賭けるの、両手にしても良いか?」
タケルはどうして自分がそう言ったのかわからない。ただ、妙に体が熱い……。もっと賭けたい!
珍さんは、焦らすように少し考えるポーズをとった後、
「ウンウン!まだ始まってナイかラ良いアルよ。でも、ウワバミさんノ了解が得らレれば……だケドね。」
と言ってウワバミ蛇子のほうをチラリと見る。蛇子は即答する。
「……あら、私ならよろしいですわよ。」
蛇子はにっこりと微笑む。
「か、かわいい……。」
じゅんぺいは、目をハートマークにしている。
「デ、ウワバミサンはどうすルノ?あなタも両手にすル?相手が両手ノ時は両手賭けタほうが良いアルヨ……。」
珍さんは蛇子に両手を賭けるよう促す。しかし……。
「いいえ。私は片手にさせてもらいますわ……。」
蛇子は憮然とした態度でその申し出を断る。
「どうしテヨ?両手ニ片手ハあまりにモ不利ネ?」
タケルも気になる。蛇子さんは何故不利な状況を選んだのだろうか?
しかし、その理由はあまりにも簡単……。
蛇子は口を開く……。
「……私は片手で良いんですの。いいえ。片手が良いんですわ……。なぜなら私は、そのギャンブルが不利であればあるほど…………、滾りますもの!」
そう言った蛇子の両目が赤く光ったような気がした。
タケルは思う。
まさかこれは、都市伝説の暴走……?
しかし都市伝説事典は反応していなかった……。
次に蛇子はタケルに向き直り、近づいて来る。
「ねぇ、あなたにも分かりますでしょう?」
「!!」
急な蛇子のフリに驚くタケル。即答出来ない。それ以前に何を質問されているのかも分からない。
だが、タケルの中の高揚感が彼の口を借りて言葉を紡ぎ出していく……。
「…………タギ……ル……だっけ?まだ習ってない言葉だけどさ、体が……熱いんだ。全身の血が沸騰してるみたいに。もしそれがタギルって事なら、俺も今全身がタギッてるみたいだ……!!」
蛇子は恍惚な表情を浮かべてこう言った。
「そうそうそれですわ。生きているって感じるでしょう?それがギャンブル!ギャンブルは生を感じさせてくれるのですわ!!」
甘い香りがする。いや、もうこの部屋自体が甘い。だが、部屋の中にいる者はもう誰一人そんな事には気づかない……。
「……60センチ以内に近づいたネ!指狩リジャンケン2戦目スタートヨ!!!!」
珍さんの声が部屋に響き渡った……。
タケルと蛇子の指狩りジャンケン2戦目は明日です。お楽しみに!
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もっと都市伝説事典を知りたい方は是非53部分〜55部分のあらすじをご覧ください。
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