6話 敗者の末路
連日投稿6日目です。
「勝者、狭山じゅんペイ!!」
珍さんが勝ち名乗りを上げる。
界二郎はその場に崩れ落ちる。両膝と両手のひらを床に付けうな垂れる。そして下を向いたまま動かない……。
何処から現れたのか、バニーガール姿の綺麗な女性がじゅんぺいに馬鹿デカい封筒を手渡す。
「こ、これってまさかっ!」
封筒をもらい、興奮気味のじゅんぺい。タケルはじゅんぺいに近寄る。
「か、金?金だよな?金なんだろじゅんぺい!」
タケルも興奮している。
「うん。多分。しかもこの手触り……。札だよタケル!札束だっ!!」
もちろん二人は中身を確認しようと、封筒に手をかける……。
その時、珍さんが声をかけてくる。
「……そレ、今ノ勝負ノ配当ネ。あ、今ハ中身確認しないデヨ!すグ次ノ勝負行くからネ!!ハイハイ、サッサと封筒お姉さンに渡スネ!!」
訳の分からないまま、封筒は再びバニーガールに取り上げられ、部屋の外へと持って行かれてしまう……。
「ト、そノ前ニ、界二郎サン……退場ネ。」
珍さんがそう言うと、次は屈強な黒服の男が二人、界二郎の両脇を抱えて持ち上げる。
「い、いやだ!指は勘弁してくれっ!何でもするっ!借金だってちゃんと返すからっ!!」
叫びながら暴れる界二郎。しかし、黒服の二人は動じない。
「駄目ネ……。連れてっテ……。」
珍さんのその言葉を合図に黒服二人は、叫ぶ界二郎を連れて入って来た所とは違う扉へと消えて行った……。
「あれ?あんな扉あったっけ?」
じゅんぺいが扉へ近づく。
「危ないヨ!」
珍さんの声にじゅんぺいはビクッと一瞬立ち止まる。
すると、ゴゴゴ……という男と共に扉の前に壁がせり上がって来た。
もう少し近付いていれば、じゅんぺいは壁に持ち上げられて天井に潰されていただろう……。
「こえーっ。」
じゅんぺいはブルッと身震いをした。
「……この部屋ハ小さイけド色々ナ仕掛けありまス。動き回ルと危険ネ。」
珍さんが注意する。が、タケルにはそんな事よりあの扉の先が気になる。
「……で、界二郎さんはどこに行ったんだ?」
「お支払イネ。」
「まさか、向こうで指を切られてるんじゃないよな……?」
タケルは、自分の口から出た言葉を聞いてハッとする。
お金で興奮していて忘れていた。珍さんは中国人マフィアだった……。
しかし、何故だか先ほどまでと比べて恐怖が薄れているような気がする。再びお香の甘い匂いがする……。
「……お支払イ方法ハ個人情報だかラ教えらレなイね。」
「…………。」
怪しい……。
あの扉の向こうはもしかしたら拷問部屋なのかもしれない……。
「どうしたノ?怖くナタカ?」
珍さんの声が再び鋭さを増す。
「……でモ、モウ止めル事出来ないヨ。これガ大人ノゲームネ。」
フフフッ
そんな緊迫した状況で、笑う女性の声が聞こえる。
タケルは幻聴かと思った。しかし、そうではなかった。彼女は入り口の扉付近に立っていた。
「……私のこの指を賭けてのギャンブル。とてもゾクゾクしますわ。」
それは、黒髪の美少女。年は高校生くらいだろうか。見たことのない制服を着ている。この夕暮町にある高校の制服ではないようだった。
「ああ、もう来たアルか?御堂タケル。この娘があなタノ対戦相手。……ウワバミ蛇子サンネ。」
珍さんが名前だけの簡素な紹介をすると、蛇子さんは再び口を開いた。
「あなたとギャンブルが出来て嬉しいですわ。さぁ、一緒に賭けて狂いましょう!ポチ……ではありませんでしたね。御堂タケルさん……。フフフ……ハハハハハハ!」
正気とは思えない狂気の高笑い。
………一体全体なんのセリフだ?厨二病かなんかなのか、この姉ちゃんは……?
と、タケルは心の中で呟いていた……。
お時間ありましたらあらすじ.更にお時間頂ければ1話からお読みください。