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都市伝説事典  作者: ニカイドウ
幽体離脱編
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60/137

5話 カイジロウ

連日投稿5日目です。

あの漫画に愛を込めて。

「で、俺と戦うのはどっちだ?出来れば早めに決めてもらいたいんだけどな……。」


 界二郎(カイジロウ)は言った。何か焦っているようにも感じる。


 ジワジワジワジワジワジワジワジワジワジワジワジワジワジワジワジワジワジワジワジワジワジワジワジワジワジワジワジワジワジワジワジワジワジワジワジワジワジワジワジワ……


 界二郎の額に汗がにじむ。


『この指狩りジャンケン、かなりヤバイ何かを感じる……。早くこの場から逃げ出したい気分だぜ……。』


 彼はそう考えていた。

 しかし、彼にもこの指狩りジャンケンに参加する理由がある。この1週間のうちに金を手に出来なければ待つのは死。彼は今、そんな状況に陥っていたのだった……。


「んじゃ、まぁ先ずは俺が行って来るわ!」


 そう言って一歩前に進み出したのはじゅんぺい。


「おい待てよっ!作戦もなしに始めるつもりかよっ!じゅんぺいっ!!」


「グーかチョキかパー出すだけのゲームに作戦も何もあるかよ!直感だ直感っ!」


 じゅんぺいはそう言うと、タケルの制止も全く聞かずさらに進む……。

 すでに界二郎とじゅんぺいは、60センチほどの距離で向かい合わせに立つ。もう引き返せない距離だ……。


「さア、1戦目は界二郎対狭山じゅんぺいネ!いつでモ始めテ良いヨーっ!」


 珍さんが言った。

 界二郎はまずじゅんぺいを見つめる。じゅんぺいは手首をクルクルと回し、ニヤニヤ笑っている。界二郎は心で呟く。


『ジャンケンは、場を支配した方が有利に進む。今、この時も勝負は始まっているんだ。

 それなのにコイツは呆けた顔で何も仕掛けて来ない。って事はコイツは素人だ……。俺がこの場を支配してやる!』


「おい、掛け声はジャンケン ポンで行くぞ……。良いな!」


 じゅんぺいを睨みつけ威圧する界二郎。しかし、じゅんぺいはそんな雰囲気には全く気づかず……


「え?最初はグーにしようぜ!」


 と返した。


「駄目だ!ジャンケン ポンだ。わかったな?……ジャンケン ポンだ!!」


 語気を強める界二郎。異論は認めないという強い意志を感じる。


「えーっ。ま、良いけどさ……。」


 じゅんぺいは引き下がる。本当はどっちでも良かった。彼はただ言いたかっただけだった。

 再び界二郎の心の声。


『よし!この場を支配した。やっぱりコイツは素人だな。なら、グーを出す確率が非常に高い。しかし、パーを出すのはリスクが高いぞ……。負ければ一発でゲームオーバーだ。だが、それはコイツも同じ。パーを出す可能性は低い……。ならコイツの手はグーかチョキだ。コイツにチョキを出させない、もしくはグーを出させるためにはどうしたら良い……?』


 界 二郎はさらに考える……。


 ジワジワジワジワジワジワジワジワジワジワジワジワジワジワジワジワジワジワジワジワジワジワジワジワジワジワジワジワジワジワジワジワジワジワジワジワジワジワジワジワ……


 彼の額に汗がにじむ。その時。


 ブフォッ!


 何かが爆発する!


「な、なんだ!何が爆発した!?」


 界二郎は慌てる。


「……ごめン。私のオナラネ……。」


 珍さんは申し訳なさそうに言った。


「もーっ!珍さんっ!本当に爆発だと思ったじゃん。びっくりしたーっ!」


 じゅんぺいが笑いながら言った。


「でモ、私のオナラ臭くナイネ。」


「クンクン……。あ、ほんとだ!」


 珍さんとじゅんぺいのしょうもない話は続いている……。


「なんだよ……。ビビらせやがって……。」


 そう言った界二郎は、硬く握られた自分の拳に気づく。


「…………、これだっ!」


 界二郎は、思ったより大きくでてしまった声を隠すように右手で口を隠す。そしてニヤリと笑った。


『…………不意打ちだ。人は急な大きな音に萎縮してしまうと拳を握り閉めてしまうんだ。さっきの俺のように……。なら、その状況を俺が作り出せば良い。今、俺はこの場を支配している。俺が急に大きな声でジャンケンポンの掛け声を始めたとしても問題はないはずだっ!これなら不意の大きな掛け声によって、コイツがグーをだす確率は格段に上がる……!さらに、拳を握った状態からチョキをだすには親指が邪魔をして出しにくい!同時にチョキの確率を減らす事も出来る!!』


 そうと決まれば善は急げと言わんばかりに界 二郎は腹の底から声を出す!


「ジャンッケンッ……!!」


「えっ?えっ?」


 慌てるじゅんぺい。界 二郎は彼の手を確認する。そこには固く固く握られた拳!!


『今だっ!!!』


「ポンーーッ!!!!!!!!!!!!」


 界二郎の手はもちろんパー。

 そして、じゅんぺいの手は……

 ……

 ……

 ……

 ……


「な……?そ、そんな馬鹿な……。」


 界二郎の声……。


 ジワジワジワジワジワジワジワジワジワジワジワジワジワジワジワジワジワジワジワジワジワジワジワジワジワジワジワジワジワジワジワジワジワジワジワジワジワジワジワジワ……


 汗。止めどなく溢れる汗。

 界二郎が見ていたのはじゅんぺいの右手。確かに固く固く握りしめられている。

 しかし、じゅんぺいが出したのは左っ!!

 その左手の形はチョキ!!!


 勝負はじゅんぺいの勝ちだった……!


いかがだったでしょうか?気軽に感想なんか頂ければ嬉しいです。

53部分〜55部分にあらすじあります。よろしければご覧ください。

もし、更にお時間頂けれるのであれば1話から読んでいただけると幸いです。

よろしくお願いします。

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