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都市伝説事典  作者: ニカイドウ
幽体離脱編
58/137

3話 地下カジノ

連日投稿3日目です!


「うわぁーーーーーーっ!!」


 ボフッ


 さっきのソファのような感触。続いてプールにあるウォータースライダーのような長い急傾斜のスロープを滑り落ちていく……。

 タケルの背中がザワザワする。


「!!」


 タケルは、ズボンの背中側に都市伝説事典を挿し込んでいる事を思い出す。どうやら都市伝説が記入されたようだ。


「珍さんはどう考えても中国人だ。まさか、これは?シャワールームから失踪した人が中国に売られるっていう例の都市伝説??」


 その時。


「ぎょえーーーーーーーーーっ!」


 声は上から滑り近づいて来る。


「わわっ!タケル?危なーいっ!!」


 ドーン!


 スロープの上方から来たのはじゅんぺい。かなりの衝撃だったが、幸運なことにお互いどこかを痛めた風ではない。しかしさらに!


「あーブなーーイネーーーーーーッ!」


 タケルはそのイントネーションで誰だか分かる。その声の主は間違いなくあの人だ!!


 ドカーン!!


 3人はもつれ、からまりさらに勢いをつけてスロープを滑り落ちていく……!!


「な、なんで珍さんまで………??」


 タケルの疑問は疑問のまま2つの意味で流され、3人はドドドドッと暗闇の先へ……。

 しばらく身動きもままならないまま暗闇を転がると、前方に光の筋が見える。それは、何かの接ぎ目から入る外からの光だ。光の筋が太くなっていく。

 その接ぎ目は扉だった。扉が左右に開き、タケル達を飲み込む。

 そして彼らは暗闇から抜け出し、やけに明るい部屋へとなだれ込んだ……。


 ガヤガヤ……ザワザワ……

 人の話し声……足音……服の擦れる音……


 しかもそれは1人じゃない。その部屋には、所狭しと人が行き来していて、まるで祭りのような賑わいを見せていた。


「な、なんだ?ここは……?」


 タケルはあっけに取られる。そこは、今の日本には存在しない場所……存在してはいけない場所だった。その理由はもう少し音を聞けばわかる。


 何かがカラカラと回る音……コロコロと何かを振る音……シャッシャッとカードを切る音……そして、ジャラジャラとコインの音……


 じゅんぺいが口を開く。


「お、俺聞いたことがあるぞ!この夕暮町には、中国人マフィアが経営する地下カジノが存在するって!!まさかここがその巨大カジノなんじゃぁ……?」


 タケルの背中が再びザワザワする。


「地下カジノ。これも都市伝説なのか?」


「はっはっは。驚いタ?そうよ。ここは中国人マフィアが経営すル巨大カジノね。そしテ ココガ幽体離脱道場ノ資金源アルヨ。」


 珍さんが言う。黒服の男達が珍さんの周りに集まってくる。

 彼らは珍さんと中国語らしき言葉で何か話しているが、タケルにはわからない。しかし、黒服の男達が珍さんに頭を下げている姿を見ると、珍さんは彼らよりかなり上の人間らしい。

 会話が終わり、珍さんが片手を上げると、黒服の男達は蜘蛛の子を散らすようにサッと各々の持ち場に戻った。

 タケルは思う。これから俺たちどうなるんだろう……と。

 珍さんがツカツカと、まだカジノの床に倒れこんだまま動けないタケルの元に歩み寄って来る。

 間違いない。珍さんは中国人マフィアだ。

 お金のない小学生の俺たちは、このまま人買いに売られ、もう父ちゃんや母ちゃんにも会えないかもしれない。

 そう思うとタケルの目にどんどん涙が溜まっていく。タケルは斜め上を向き、かろうじてそれが流れるのを抑えることしか出来ない。

 それなのにコイツは……!!


「なぁオッサン!俺にも何かやらせてくれよ!カジノなんて初めてだからさっ!スッゲー楽しそうじゃん!!」


 おいおいじゅんぺい!何言ってやがる!このマフィアからすれば、俺たちは家畜と同じなんだぞ!売るための肉に馴れ馴れしく話す権利なんか許されるわけ……


「良いヨ。」


「え?」


 タケルはその呆気ない答えに拍子抜けする。


「もとモトココにハ 君達ニ、あるゲームヲしてもラうために来たアル。それガ幽体離脱道場の特別コースだかラネ。」


「…………。」


 ここは中国人マフィアが経営する地下カジノだが、俺たちはあくまで幽体離脱道場の特別コースを受ける生徒……。

 そういうことで良いんだろうか?


「さぁコッチネ。」


 珍さんが再び歩き出す。じゅんぺいは、楽しいオモチャを見るようにキョロキョロしながら珍さんについて行く。タケルもそれに続いた。

 珍さんは、ルーレットやスロット、カードゲームなどのテレビで見たことのあるゲームを素通りし、奥へ向かって進んで行く。

 そして、何も書かれていない扉の前に着くと立ち止まり、振り向いた。


「ココはVIPルームネ。」


 そう言って胸ポケットから取り出したカードを扉横のカードリーダーにかざす。


 ピッ!


 シャーッと扉が横に滑る。

 その部屋は12畳くらい。床はフローリングで部屋の中には家具も机も何もない。殺風景な部屋だった。


「さぁ入っテ。」


 珍さんに促されて部屋に入る二人。

 シャーッと扉が閉まる。


「でハ、本日君達ニしテもらウ ゲームノ説明ヲさせてもらうアル……。」


 珍さんが話し始める。そしてタケルは、彼が次に発した言葉に得も言われぬ恐怖を感じる事になる……。


「そノ ゲームの名前ハ…………、指狩りジャンケンあるヨ……。」



もしよろしければ、あらすじも是非。

さらにお時間ありましたらじっくり1話から。

お願いします。

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