↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
都市伝説事典  作者: ニカイドウ
一年前の肝試し編
PR
14/137

4話 弾むバスケットボール

「とりあえず、体育館の中に入れば大丈夫だろう?」

タケシは言った。

「登り棒も見えないしね。」

ツトムも続く。先程より少しは表情が戻っていた。

「暗いなぁ。電気つけようぜ!」

じゅんぺいが、スイッチのある体育館入り口に向かおうとする。

「待て待て待てっ!」

みんなに止められるじゅんぺい。

「電気を点けたら、学校に侵入したのがバレるだろっ!」

タケシが怒って言った。

「ははっ。そうかそうか。」

じゅんぺいは、笑っている。

「ま、遮光カーテンが開いてるし、月明りでもある程度は明るいでしょ。」

ヤマトは言った。そして、タケルを見る。

「…まずは、理科室までのルートの確認だな。」

タケルは言った。それを受けて、ヤマトがルートを説明する。

「まずはこの体育館の2階から、渡り廊下を渡って旧校舎の3階に。旧校舎はコの字になっていて、そのまま字を書くように真っ直ぐ進むと、正面に階段、右に廊下が続く。右に曲がって真っ直ぐ進むと、さらに廊下は右に曲がっている。その曲がり角の手前、左側に旧校舎と新校舎を繋ぐ渡り廊下があるんだ。そこを通って新校舎に入ったら、渡り廊下を出た真正面の階段を降りて、左へ行けば理科室だね。」

「で、理科室から何を取ってくるんだ?」

じゅんぺいがワクワクした目で聞く。

「…チョークとか?」

タケシが言う。タケルは、じゅんぺいを見る。かなり不満そうな顔をしている。タケルは口を開く。

「次は俺の番だろ?じゅんぺい、持って来てやるよ。」

「え?何を?」

「決まってるだろ?理科室に行くんだ。夕暮小学校七不思議の一つ、動く人体模型の内臓だよ。」

そして、タケルの肝試しは始まった。


全員で体育館の2階に上がり、渡り廊下に続く扉の前で立ち止まる。ヤマトが扉を確認すると、ノブの真ん中の出っ張りを押すと鍵がかかる方式の扉だった。

「これなら、学校のトイレと同じだから、ノブを回せば開くね。」

ヤマトは言った。タケルはノブに手をかける。

「じゃあ、行ってくるわ。」

タケルは、ガチャリと扉を開けて、渡り廊下へと歩みだした…。

渡り廊下から、運動場が見える。

「…アレは、作り話だから…な。」

アレとは、カシマユウコのことだ。しかし、登り棒は見ない。

「…みんなといるのと、一人じゃ、やっぱちがうな…。」

タケルはブルッと身震いする。彼は、もともと怖がりだった。非日常を求めるのとそれとは、別の話だ。いや、信じているから怖いのであり、興味をかきたてる。怖いもの見たさ…である。そして、タケルは、渡り廊下を渡りきる。旧校舎へと足を踏み入れる。

「なんか出て来そうだな…?」

ひとり言が多くなる。不安がそうさせる。

「いち、に、さん…」

無意識に歩数を数える。数える度にギシギシと床がきしむ…。

「よんじゅうよん…。」

ギシ…。その時、タケルは気付く。旧校舎とはいえ、木造というわけではない。歩く度にギシギシときしむ訳がないのだ…。タケルの額に脂汗が浮かぶ。しかし、逃げ出すわけにはいかない。

「音…、だけだろ?こんなんでビビるかよ…。」

タケルは、強がりを言った。すると、きしむ音はしなくなった…。

「ふぅ…。」

曲がり角に到着する。前に階段があるが、不穏な空気が流れて来ているように思えて、目をそらす。タケルは、慎重に角の向こうをのぞく。壁に、児童の描いた絵が何枚も貼ってある。ただの絵だが、恐ろしいもののように見えるのは何故なんだろう?と思いながら、タケルはその前を通り過ぎていく。絵が動いているような気がする…。だから、

「俺は見ないぞ!絶対に見てやらねぇ!」

タケルは、大声で言った。そして、新校舎へと続く渡り廊下の前へとたどり着く。しかし、タケルは、さらに奥、旧校舎のもう一つの曲がり角のその先が気になってしまう。

「この先はどうなっているんだ…?」

今いるこの場所よりも暗闇が深いように感じる。その暗闇へ、タケルは一歩踏み入れようとしていた…。

ブワァッ

急に風が吹く。閉じていたはずの渡り廊下の扉が開いて、風が入って来ていた。タケルは、我に返る。

「そうだ。肝試しの途中だった。俺が向かうのは理科室だ…。」

タケルは、そう言って渡り廊下を渡り、新校舎へと入っていった…。


所変わって、体育館。タケルを見送った仲間たちは、…まだ体育館の2階にいた。

「ヒマだなぁ〜。」

じゅんぺいは、そう言って体育館の2階を物色し始める。体育館の2階は、体育館上部の明かり取りの窓や、遮光カーテンの開け閉めに使う通路の他に、体育館内用の放送室。そして、体育用具室がある。もちろん 放送室も用具室も鍵がかかっていて開かない。その時、一階でダム…という音が聞こえる。バスケットボールのはねる音のようだった。

「今、なんか聞こえた?」

ヤマトが言った。

「聞こえた!聞こえた!」

じゅんぺいがはしゃぎ始める。

タケシは、耳をふさいで、

「聞こえない、聞こえない…」

と言っている。

「ね、ねぇ、もしかして、夕暮小七不思議って、体育館にもあるの?」

勇気と声をしぼりだしてツトムは聞く。

「ああ、あるぜーっ!弾むバスケットボールッ!!」

嬉しそうに言うじゅんぺい。そして、

「上からじゃ何にも見えねェなぁ。降りて見に行こうぜ!」

と言って階段へ向かおうとする。それをタケシとツトムが必死で止める。

ダム…ダム…ダム…ダム…

まるでバスケットボールをしているように、リズミカルに鳴る。そして、ファサッとボールがゴールに入る音…。

「うわーっ!」

タケシは、たまらず渡り廊下へと飛び出す。ツトムもそれに続く。ヤマトは、下に降りようとするじゅんぺいを引っ張って、無理やり連れて行こうとする。が、じゅんぺいのほうが力が強い。

「んん…、僕たちも行こ……!ほ…ら、理科室…、行きたいって…言っ…てただろ…う?」

「おっ!じゃあオレたちも行くか?理科室に!」

じゅんぺいを引っ張る力が急に軽くなり、ヤマトは、前のめりに倒れこむ。と、その腕を掴んだのはじゅんぺい。

「なにしてんだよヤマト!さっさと行くぞ!」

さっきとは逆に、じゅんぺいがヤマトを引っ張り、2人は旧校舎へと続く渡り廊下へと出て行った…。

ダムダムダンダンダダダダ…ン…。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。