2話 夜の学校へ
「なー、どうするよ?」
じゅんぺいがふてくされながら言った。さっき置いてかれた事がまだ尾を引いているようだ。
ここは、小学校近くのカタツムリ公園。大きなカタツムリのすべり台がある公園で、いつも、学校帰りに寄り道して帰る、子供達の憩いの場だ。行くあてのない時は、ついつい足が向いてしまう。時刻は夜の10時をまわる…。先程の出来事と、もう夜も遅いのとで、また数人は減り、今はタケル、ヤマト、タケシ、じゅんぺい、ツトムの6人だけになっていた。
「じゃあ、解散するか?」
タケシが解散命令を下す…。
「ちょっ、待てよ!俺がまだなんだよ!!」
タケルは慌てて言った。まだ物足りない。このまま帰ったら、つまらない日常に戻るだけだ。何のための肝試しだ。タケルの中に苛立ちが募る。だが、ニュアンスには出来るだけ苛立ちを出さないように、自分がまだ肝試しを終えていない事をアピールする。
「そうだね。僕もまだだ。このまま帰ったら、夏休み明けには僕ら、ビビッて肝試しから逃げた臆病者扱いだよ。」
それを察したのか、ヤマトがフォローを入れる。タケルは、ナイスフォロー!とヤマトの耳元で囁いて、右手でパンッと小さくロータッチをする。タケルとヤマトは、幼稚園からの幼馴染で、長く一緒にいる分、お互いなんとなく相手の気持ちがわかるような所があった。ま、これは一重に、ヤマトの気づかいのおかげだったのだが、タケルはそんな事には一切気づいてはいなかった。
「そっかー、じゃあどうする?あ、もう一度夕暮霊園に戻るのは嫌だぞ!」
タケシは言った。最後の方は真顔だった。よほど怖かったのだろう。
「でも、どこいくんだ?」
ツトムが言った。
「そうだね。何処か肝試しが出来る場所…?」
ヤマトが考えていると、じゅんぺいがこう叫んだ。
「墓場がダメなら学校だろ!」
「え?」
いきなりの大声に、みんなが驚く。
「だってさ、肝試しと言えば墓場か学校だろ?それ以外の選択肢があんのかよ?」
じゅんぺいは、自信満々に言い放った。
…他にも選択肢はあるだろう。とタケルは思ったが、あながち悪くはない。
「学校か…。面白いな。」
タケルは言った。
「ここから近いしね。」
ヤマトが付け加える。
「よし!肝試し第2部は、夕暮小学校だ!」
リーダーのタケシが号令をかけた。
学校の裏の田んぼの用水路を進んで行くと、学校のプール横の溝に出る。これは、学校を探検した者だけが知り得る秘密の通路だ。タケル達は、そこを通って学校内に侵入する。
そして、学校の玄関に出る。
「さすがに玄関は開いてないよな?」
タケシは、そう言って、とりあえず扉を開けようと試みる。が、やはり鍵がかかっていた。
タケルは、辺りの窓を。ヤマトは、教職員用の通用口を確認するが、やはり施錠されている。すると、体育館の方からじゅんぺいの声がする。
「おーい!こっから入れるぞーっ!」
一行は、体育館の方へ向かう。
「どこだー?じゅんぺー!」
タケシが叫ぶ。
「ここ、ここ!」
そう言ったじゅんぺいは、体育館の横にしゃがみ込んでいた。そして、そこには、体育館内に風を通すための平べったい窓が…。
「ここが開いてたぜ。」
じゅんぺいは、満面の笑みで言った。




