第2話 勇者様はプレッシャーにまみれた人生をおくってきたらしい
勇者カインは名家に生まれた人間だ。
幼い頃から優秀であれと、厳しい教育を施されてきた。
しかし彼は優秀ではなかった。
そのため、何をするにも努力を積み上げなければならなかったのだ。
努力型である彼は、才能のある人間に嫉妬していた。
自分が持っていないものを持つ人間を羨み嫌っていたのだった。
それが間違った事だと知りながらも。
そんなカインたちの旅は続いている。
勇者として、様々な町に出現する魔物たちを討伐し、人々を困らせる魔王の元へ向かっていた。
彼等を手助けするのは各地の兵士たち。
その中の一人は、昔のカインとよく似ていた。
兵士の名前はウィドラ。
カインたちが立ち寄った。アルクシピという町で働いている若者の男性兵士だ。
ウィドラは自分の弱さを嘆き、苦しんでいた。
そんな彼を見た勇者は、ウィドラに稽古をつけることに決めた。
旅で立ち寄った町や村に一時的に滞在する間、その土地の兵士に稽古をつける事があるので、それ自体は珍しい事ではなかった。
稽古をつけてから三日後。
町が魔物の軍勢に取り囲まれた。
勇者たちは町の人たちを守るために厳しい戦いを強いられる。
相手を攻撃して戦うだけならば、勇者たちは楽に終わらせる事ができたが、一般市民を守る戦いは敵の数が多く、すぐに不利になった。
カインたちは町に籠城して戦う。
そんな中、ウィドラが守っていた箇所のバリケードが魔物に突破される。
近くで戦っていたカインは自分の力だけでは、ウィドラ達を助けられないと悟り、別の場所にいたヨウナに助けを求めた。
遠くでも連絡できる魔道具を使って話を聞いたヨウナは、カインが指示した座標に向けて遠距離魔法を正確に放って、ウィドラ達を助けたのだった。
彼はヨウナを嫌っているが、助けるべきものを助けるためなら、自分の劣等感を乗り越える事ができる。
ヨウナはそう判断し、勇者を見守ることにした。




