贖罪81
ストローフィーは訳が分からなくて気が狂いそうだった。
もう彼女に会えないこと、彼女が永遠に彷徨うかもしれないこと、自分が労働期間を選択できたこと、そして彼女は実質マリスに殺されたということ、これらの情報が津波のように彼の脳内に押し寄せてきた。
『出会わなければ彼女は死ぬことがなかったのか?僕のせいで彼女は永遠に彷徨うことになるのか?僕さえ存在しなければよかったのか?』
マリスからの情報に加えて様々な疑問も激しく入り乱れた。
彼はとつぜん何も考えることができなくなって、自分はここで何しているのだろうと周りをキョロキョロしてみた。
『見慣れない景色だ、今は何時だろう、仕事に行かなくちゃ、仕事が終わったらフォスと…。そうだ…。彼女はもういなくなってしまった。永久にいなくなってしまったかもしれない。』
精神は相当に錯乱していたストローフィーは突然頭を地面にガンガン叩きつけた。
自分へのふがいなさから、はたまたこれは全て悪い夢で、こうすれば覚めると思ったのかもしれないし、その両方であったのかもしれない。
だが何度叩きつけても何も変わらず、変わったことは額から血が流れだしたことだった。
『なんでこうなったんだ?フォスが死んで、大天使が現れて、悪魔が現れた。悪魔…。マリス!マリス!マリス!』
顔を上げると、そこには全てをぶち壊したマリスが嬉しそうに立っていた。
彼はマリス目掛けて飛び掛かっていったが、マリスが何かを唱えると見えない力によってすぐに押さえつけられてしまった。
「オレを攻撃しようとしたって、そうはいかない。こちとら悪魔だ。呪文一つで人間ごとき簡単に抑えられる。ここは俺のホームグラウンド、地獄だ。これからはお前のホームグラウンドでもあるけどな。楽しくやっていこうじゃないか。」
『そうだった。オレはここで一生を終えることになっていたんだ。50年も…。ハハ…。』
現実を受け入れることができなくなり、笑いがこみあげてきた。
「その顔!素晴らしい!エビールさん、ついに私もここにたどり着きましたよ!あなたのやってた顔マネは実にそっくりだったことを知りましたよ!ああ、なんて愉快なんだ!」
バカな人間にペコペコしてきたことのこれまでの屈辱はすべて清算され、マリスはかつて味わったことのない幸福感に包まれた。
「やめてくれ…お願いだから…助けて…。」
ストローフィーは笑うのをやめ、膝をついて懇願するようにマリスの服をつかんだ。
マリスは邪魔くさそうに直ぐにそれを払いのけた。




